担当者 | 安部 良 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [総合基礎科目] | |
科目ナンバリング | SCE-103 |
21世紀は生命科学(ライフサイエンス)の世紀と言われている。近年、ヒトを含めた生物の持つ遺伝情報やゲノムの解読が進むにつれ、生命科学は単に生物学や医学の世界を超えて、地球環境や、政治、経済、文化を含むヒトの活動のあらゆる分野に影響を与えている。今や人文科学、社会科学を学ぶ学生にとっても、生命現象の理解や、組み換えDNA技術に代表されるバイオテクノロジー、そして、我々の健康や病気を取り扱う生命科学は、必ず学ぶべき学問領域となってきている。
本講義は内科医であり、また免疫学者として生命科学の最先端の研究を長年続けてきた研究者が講師として担当する。
前期(ライフサイエンスI)では、まず、生命の発生から人類の誕生、繁栄への道のり(人類史)を振り返る。次に、生命を支える細胞の構造や機能、「遺伝」のメカニズム、個体の誕生、成長、老化、死に際して繰り広げられる生命現象について学ぶ。そして、微生物との闘いの中で人類の存続を可能にした「免疫システム」の理解を通じて、進化の過程で起こる適応・淘汰の過程で培われた「自然知能」について学ぶ。最後に生命科学の急速な発展とそれに伴い生まれた新たな課題について論じる。
前期では、生命の誕生から、人類の繁栄の歴史を生命科学の視点から学習し理解する。さらに、生命活動の仕組みや急激な生命科学の進展とそれにより新たに生まれた課題について学ぶ。
授業中に行われる質疑応答やグループワークへの参加(15%)と提出された小テストを含むレポートの評価(85%)により成績を決定する。レポートのテーマは授業時間内に担当教員より示される。次いで講義内に20分程度のレポート作成時間を設けるので、その間にレポートを作成し、授業終了時に提出する。提出は授業終了直後のみとし、それ以後の提出は一切認めない。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 購入テキストなし | ||
参考文献 |
生物の教科書を一通り読んでおく。授業で取り上げるテーマには、現在、社会的に注目を浴びているものが多く含まれている。新聞やテレビ、インターネット、図書館などを利用して情報を集め、事前に自分の考えをまとめておく。
この授業は、知識の習得を目標にしたものではなく、授業内で取り上げられた内容を理解し、考察することを通じて受講者がそれぞれの人生に役立てることを目標にしている。従って授業に集中することを特に求める。レポートについては、授業で取り上げたテーマや考察した内容が的確に表現されているかどうかで評価する。
回 | 授業内容 |
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第1回 | オリエンテーション、導入 生命科学とは何か |
第2回 | 生命の誕生と進化 38億年前に起こったとされる生命誕生から現在に至るまでの生物の多様な進化について学ぶ。 |
第3回 | 人類史(1)ヒトの誕生から繁栄 600万年前に大型捕食者におびえひっそりと生きる弱小哺乳類として現れた人類が地球の征服者に駆け上った奇跡の成り上がりストーリーを学ぶ。 |
第4回 | 人類史(2)人類と感染症(疫病)との闘い 人類の歴史は疫病と戦争の歴史でもある。ヨーロッパ人によるアメリカ大陸の侵略と征服は優れた武器を開発した文明の力とともに(あるいはそれ以上に)、ヨーロッパから持ち込まれた病原菌による疫病の爆発的な広がりが原因とされる。この人類と感染症との闘いから生物種の生存戦略の一端を覗く。 |
第5回 | 人類史(3)科学革命と生命科学の誕生、自然科学への展開 ヒトの繁栄は科学の進歩抜きには語れない。科学革命がいかに人類繁栄の道を開いたのかについて学ぶ。 |
第6回 | 生命の仕組み(1)細胞の成り立ち(分子、構造、機能) 細胞は生物の体を構成する最小単位であり、すべての生命体の誕生から死に至るまで起こるすべての生命活動の場である。この授業では、細胞を構成する分子、構造、活動、及びそのためのエネルギー産生について学ぶ。 |
第7回 | 生命の仕組み(2)遺伝のメカニズム、遺伝情報の伝達 生殖によって親から子へと形質が伝わるという「遺伝」という現象の中に潜む生物の生存、繁殖の戦略を学ぶ。また、遺伝子の本体や遺伝情報の伝達のメカニズムについて理解する。 |
第8回 | 生命の仕組み(3)細胞分化と器官形成、個体形成、成長と老化、死 発生の初期過程に見られる卵割や、細胞分化の際の全能性や多様性、多分化能を持った幹細胞の出現などを学び、再生医療への期待がかかるiPS細胞やES細胞についての基礎知識を養う。 |
第9回 | 生命の仕組み(4)死の生物学 生物の生命活動における“死”の重要性について学ぶ |
第10回 | 生命進化が培った自然知能、免疫系(1)人類の生き残りを可能にした“神の恩寵” 我々を取り巻く環境に無数に存在する病原微生物の侵入を認知し、排除する免疫応答のしくみを学ぶ |
第11回 | 生命進化が培った自然知能、免疫系(2)有限から無限へ 遺伝子書かれている限られた(有限な)情報から、地球上に新たに出現するどのような病原菌も見つけ出し、攻撃する無限の広がりを有する力を生み出す免疫システムに備わったマジック機構を理解する |
第12回 | 生命進化が培った自然知能、免疫系(3)免疫記憶、「一度かかった病気にはかから ないか、かかっても軽くすむ」という “疫(病)”を”免れる“力のメカニズムを学ぶ |
第13回 | 生命科学の発展(1)生命科学の技術はここまで進んだ 人類は有史以前より微生物の営みを利用し酒や乳製品を作ってきた。文明を生んだ農耕牧畜社会の歴史は、農作物や家畜の選抜による品種改良の歴史でもある。今や人類は動物、植物、微生物の遺伝子に直接手を付け、病気に強く、経済性の高い農作物や家畜を短期間で作ることができる。本授業ではバイオテクノロジーの進化の歴史を学ぶ。 |
第14回 | 生命科学の発展(2)噴出する問題 遺伝子組み換え生物であるトランスジェニック生物が広く使われる中で、生態系への影響、食品の安全性、さらにはプライバシー保護への不安などが広がっている。本授業ではバイオテクノロジーの進歩によって生み出された問題について議論する。 |
第15回 | 総括 地球の未来、生命の未来 |