道徳の指導法
担当者佐藤 高樹教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [教育文化学科]
科目ナンバリングESS-301

授業の概要(ねらい)

 本授業は、教職課程に位置づく科目の一つです(「道徳の理論及び指導法」)。授業のねらいは以下の通りです。
(1)道徳の意義や根本原理についての探究に加え、学校教育における道徳教育の位置づけや「特別の教科 道徳」(道徳科)の目標・内容等について理解を深める。
(2)教材研究や「特別の教科 道徳」の学習指導案作成、およびその検討・相互批評通して、道徳指導に必要な実践的指導力を身につける。
 「道徳の教科化」によって、「道徳」の学校教育上の比重は大きく変化しました。全国の中学校では2019年度から「特別の教科 道徳」がはじまりました。教育実習で道徳の授業を経験する学生も年々増えてきています。この授業を通し、道徳教育の実践とそれを支える理論について、さまざまな実践例・教材を切り口としながら学んでいきます。

授業の到達目標

(1)道徳の理論:道徳の意義や原理等をふまえ、学校における道徳教育の目標や内容を理解する。
  ①道徳の本質(道徳とは何か)について、教育思想・哲学や歴史の知識を活用しながら説明できる。
  ②現代における子どもの発達や道徳に関わる課題(いじめ、情報モラル等)について、社会的背景を含めて構造的に理解している。
(2)道徳の指導法:学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育およびその要となる道徳科における指導計画や指導方法を理解する。
  ①学校における道徳教育の位置づけについて理解している。
  ②道徳における教材研究の意義を理解し、その成果をふまえて授業を設計している。
  ③授業のねらいや指導過程を明確にして、道徳科の学習指導案を作成することができる。

成績評価の方法および基準

授業参加度=リアクション・ペーパーの提出(35%)、課題レポート=学習指導案の作成(25%)、および筆記試験の成績(40%)に基づき、総合的に判断します。 *提出は、LMS上に行ってもらいます。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科道徳編』文部科学省教育出版
教科書『道徳教育を学ぶための重要項目100』貝塚茂樹・関根明伸編著教育出版
教科書※その他、資料を配布するので、綴じるためのファイルを準備しておくこと。
参考文献授業時に随時紹介する。

準備学修の内容

(1)「道徳」授業の教材(道徳的課題=社会問題)となりうる読み物資料や新聞記事などを日頃からチェックし、スクラップするクセをつけること。
(2)授業で配布する資料をもとに、本授業の内容に関連する文献を読み進めること。
(3)学習指導案の作成にはいろいろな文献を読み、先行事例に書き方を学ぶ必要がある(毎年、受講生はここで苦労している)。積極的に図書館を活用し、参考文献にあたること。

その他履修上の注意事項

(1)授業内にリアクション・ペーパーの作成など課題が出ます。積極的に授業に参加し、自らの意見を提示しなければ成績に反映しないと心得てください。
(2)指導方法・技術のみを鍛えても、すぐれた道徳の授業はできません。真に授業の出来を左右するのは、授業者が持つ「教養」(知識・思考)の質です(「内容なくして方法なし」)。それを確保するためにも、読書を通した自主的な学びを進めてください。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:受講にあたっての注意、「道徳」授業の記憶と議論
第2回「道徳」「道徳教育」をめぐる根本的検討
第3回課題レポート(学習指導案)の書き方:主題・教材・指導計画について
第4回学校の教育課程における道徳教育および道徳科の位置づけ
第5回教育の歴史からみる道徳教育の課題
第6回道徳的課題の吟味と教材研究(1):読み物教材の課題
第7回生徒理解と道徳性の発達:生徒の規範意識をどう捉えるか
第8回道徳の指導法を考える(1):教材解釈の方法
第9回道徳の指導法を考える(2):「考え、議論する道徳」への創意工夫
第10回道徳の指導法を考える(3):学習評価のあり方について
第11回道徳的課題の吟味と教材研究(2):いじめ問題に向き合う
第12回道徳的課題の吟味と教材研究(3):ルール、情報モラルについて
第13回道徳的課題の吟味と教材研究(4):人権教育に向けた教材研究、実践の検討
第14回学習指導案・実践例の検討:学習指導案の講評と相互批評
第15回全体のふり返り・まとめと評価
(※受講生の人数や問題関心に応じて、授業内容に変更を加えることがあります)