消防法と予防行政Ⅲ
担当者梅原  直
単位・開講先選択  2単位 [政治学科]
科目ナンバリングLAW-203

授業の概要(ねらい)

 火災により生命、財産に被害を生じさせないようにするための火災予防は、消防の重要な任務の一つとされている。消防機関が行っているこれらの火災予防行政は、防火対象物や危険物施設に対し、消防法に基づく審査、検査、立入検査、措置命令などを通じて行われている。
 こうした予防業務を的確に行うため、消防機関において予防業務を担当する組織には、予防技術資格者を配置することとされており、予防技術検定の合格者であることは、この予防技術資格者の資格要件とされている。このように、予防技術検定に合格することは、消防機関において求められる資格の一つとなっているほか、建築物や危険物施設の安全管理に携わる関係者にとっても有用な資格となるものと考えられるが、本講義は、この予防技術検定を受験するために必要な授業科目の一つとして認められているところである。
 本講義は、予防行政の柱の一つである危険物規制行政について、予防技術検定の専攻科目の一つである危険物の科目範囲をカバーして、規制の体系、危険物の指定、製造所等のハード面の対策、危険物の貯蔵・取扱いのソフト面の対策等について整理・解説し、我々の生活が様々な保安法令により守られていることを理解できるようにするとともに、火災等の災害に直面した場合に的確な対応をとれる知識を修得するものとする。
 本講義は、実務経験のある教員による授業であり、担当教員は総務省消防庁において長年予防行政に携わり、消防法令について多くの改正を手掛けた経験を有している。授業ではその実務経験に基づき、建築物や危険物施設等の安全が法令に基づきどのように確保されているのかについて解説を行うとともに、これら法令を読みこなすための実務的な知識についても紹介をして講義を展開していく。
 授業は講義形式で行い、原則として各授業の最後に小テストを実施し、各回授業のポイントに関し復習して、理解を深めることとする。また、最終の授業においては、予防技術検定の専攻科目(危険物)と類似の形式で授業内試験を実施する。
 なお、本講義は、危険物施設における必須資格である危険物取扱者試験の試験科目ともその内容が相当部分重複することから、危険物取扱者(乙種、丙種)の資格取得を目指す者にも有用なものと考えられる。

授業の到達目標

 消防機関が行う危険物規制行政について、その制度と果たしている役割について理解し、予防技術検定(危険物)等で必要とされる消防法令の基本的な知識について修得する。
 複雑・難解とされている法令の読み方を修得し、消防法令等を読んで、その内容を自分で確認し、他者に説明することができる。
 火災などの事故のない安全な社会を実現するための基本的・共通的な考え方について理解し、災害に遭遇した場合の行動に活かすことができる。

成績評価の方法および基準

 各回の授業及び小テストの内容を反映した授業内試験の結果を基本とし、これに小テスト(14回予定)の提出状況及び成績、授業参加態度を考慮(成績等に応じ授業内試験の結果に対し最大45%加点)して総合評価する。
 ただし、原則として授業時数の1/3を超えて欠席した場合は不合格とする。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『予防技術検定学習テキスト(危険物科目編)』(一財)消防防災科学センター
参考文献『消防関係法規集』(株)近代消防社

準備学修の内容

 次回の授業で取り上げる事項に関連する法令(消防法、危険物の規制に関する政令等)の関係個所について、事前に目を通して確認し、理解しにくい点について整理しておくこと。また、前回小テストの内容(とりわけ解答を間違えた個所)とその関連事項について復習しておくこと。
 なお、必要な関係法令及び前回小テストの内容、解説等については、随時Web File Server及びLMSに公開する予定である。

その他履修上の注意事項

 「消防法と予防行政Ⅰ」は、本講義の理解を容易にするうえで有用であるので、併せて履修することが望ましい。
 授業中の理解をより深めるため、事前に目を通した関係法令を参照し、確認しながら講義を聴くよう努めること。
 講義の中で理解しにくかった事項等疑問点については、授業中又は授業終了後に質問を行う等により正しく理解できるよう努めること。
 本講義は、我々の生活に欠かせない石油類や化学製品などの危険物の保安確保がどのようになされているのかについて理解することを目的としている。授業で学習した内容も活かして、災害・事故から自分自身や身近な人々の安全を守れるよう生活されるとともに、地域社会の安全・安心の実現のために自ら貢献されることも期待する。

授業内容

授業内容
第1回 危険物規制の概要
第2回 危険物の指定
第3回 指定数量
第4回 製造所・一般取扱所
第5回 屋内貯蔵所・屋外貯蔵所
第6回 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所
第7回 地下タンク貯蔵所
第8回 移動タンク貯蔵所
第9回 給油取扱所
第10回 消火設備・警報設備・避難設備
第11回 貯蔵、取扱い
第12回 運搬、移送
第13回 危険物取扱者、予防規程等
第14回 保安検査、定期点検
第15回 まとめ、授業内試験