幼児と表現(美術)
担当者辻  政博
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 初等教育コース]
科目ナンバリングESS-118

授業の概要(ねらい)

 造形による表現は、子どもの生活にとって大切な「環境」を提供しています。それは、「形や色やイメージ」、そして「モノの肌触り(質感)」などを通した活動を、十分楽しみ味わうことで、子どもの感性を高め、表現力を豊かにし、創造力の芽生えを培うからです。
 こうした活動にかかわる指導者が、造形表現への苦手意識や、子どもの表現を大人の思い描く「鋳型(いがた)」にはめようとする意識をもっていては、子どもの主体性を育むことはできません。
 授業では、世界の子ども達の造形表現の鑑賞等を通じ、子どもの発達に適した活動や教育環境等の知識を身につけ、受講生自らが能動的に子どもの表現や子どもの持つ感覚やひらめきを理解していきます。また、培った知識をどう造形表現の題材や指導へと繋げられるかを考えていきます。

授業の到達目標

・幼児の造形教育の基礎的な知識を身に付ける。
・発想や構想の能力を高めて子どもの視点から考え、それに伴う分析や言語化ができるようになる。
・幼児の造形教育の指導に必要な知識やコミュニケーション力を身に付ける。
・学習内容を「ポートフォリオ」にまとめ、自分なりに省察する。
・授業で得た知識や経験をいかに子どもとの活動に生かすか思考し、グループディスカッションを通じて自分と違った角度からのアプローチにも気付くことができる。

成績評価の方法および基準

 ①「ポートフォリオ」作成と提出。60%
  ・配布資料を保管し読んでいるか。
  ・学習内容や活動を記録し明示しているか。
  ・学習内容や活動への自分の考察を書いているか。
  ・学習内容や活動を美的に構成し、まとめているか。
 ②授業での主体的な表現活動と鑑賞活動。20%
 ③授業への関心・意欲・態度。20%
 …以上の観点から総合的に判断します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキスト 特にありません。随時資料を配布します。
参考文献『幼稚園教育要領解説』(文部科学省)
参考文献『保育所保育指針解説書』(厚生労働省)
参考文献
参考文献

準備学修の内容

 ◯「ポートフォリオ」は、各自、写真等を印刷し、配布資料とともに、所定のスケッチブックに作成してください。
 ◯「ポートフォリオ」は、授業を振り返りながら、コツコツと作成してください。
 ◯授業で紹介した「展覧会」「児童作品展」「造形教育関係の施設」などに足を運び、鑑賞したり、見学したりするなど、造形教育への見聞を高めてください。

その他履修上の注意事項

 ◯子どもの気持ちや視線をもって、実際の指導に生かせるようにイメージしながら受講してください。
 ◯自分の意見や感覚を大切にし、能動的に授業に取り組んでください。
 ◯活動の服装(汚れても良い服装、エプロン持参など)や、友人との共同の活動、後片付けなどの環境設定等に気を配りながら活動してください。
 ◯進度や学習状況で、内容を適時変更する場合がありますので、留意ください。

授業内容

授業内容
第1回・オリエンテーション(授業計画、評価、授業を受けるにあたっての留意事項など)
・身体感覚を生かした造形活動について学ぶ。
第2回・材料を基にした造形活動①(身の回りの自然材や人工材などを生かした造形活動など)について学ぶ。
第3回・材料を基にした造形活動②(色をつくったり、並べたり、組み合わせたり、構成したする造形活動など)について学ぶ。
第4回・絵に表す造形活動(フィンガーペインティングなど)について学ぶ。
第5回・モダンテクニックを生かした造形活動(フロッタージュ、マーブリング、スクラッチ、デカルコマニー、スタンピングなど)について学ぶ。
第6回・立体に表す造形活動(粘土を活用した活動活動など)について学ぶ。
第7回・仕組みなどを生かした工作に表す造形活動(身の回りの材料を生かした造形活動など)について学ぶ。
第8回・能動的な鑑賞活動(世界の児童画、対話型鑑賞など)について学ぶ。
第9回・版に表す造形活動①(スタンピング、紙版画、一色刷りなど)について学ぶ。
第10回・版に表す造形活動②(スチレン版画、木版などで、多色刷り版画など)について学ぶ。
第11回・版に表す造形活動③(スチレン版画、木版などで、多色刷り版画など)について学ぶ。
第12回・グループワークで共同制作の造形活動(話し合いながら、発想を生かしたり、技能を工夫したりて活動する)について学ぶ。
第13回・子どもの主体的な活動を引き出す題材開発と発表(材料の特徴をもとに、教材を考え、わかりやすくプレゼンテーションする)について学ぶ。
第14回・ポートフォリオを作成する(ポートフォリオの意味と作成方法ついて)。
第15回・学習の振り返りとまとめ、ポートフォリオ提出。