西洋史籍講読3-Ⅳ
担当者能勢 和宏教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-406

授業の概要(ねらい)

現在のヨーロッパがどのようにして形成されていったのか。ヤン=ヴェルナー・ミュラー『試される民主主義』を読み、理解します。著者のミュラーは1970年生まれのドイツ人政治学者・歴史学者で、今世界で注目されている研究者のひとりです。20世紀のヨーロッパが2度にわたる大戦を経験したことはご存知の通りです。なぜ19世紀に自由主義が確立したにもかかわらず、ヨーロッパは戦争に突入したのだろうか。そして戦争を経て、何が変わり/変わらなかったのかを検討していきます。
授業は2~3名の受講者によるプレゼンテーションと、受講者全員でのディスカッションですすめます。補足的に映画等の映像資料を用いて、20世紀ヨーロッパのイメージを深めます。

授業の到達目標

一冊の学術書を隅々まで読み抜く経験を得る。
西洋史についての識見を獲得する。
効果的な発表方法を修得する。

成績評価の方法および基準

担当箇所をレジュメにまとめて報告をする:25%
レポートの提出:25%
議論への積極的な参加姿勢:50%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『試される民主主義:20世紀ヨーロッパの政治思想(上)』ヤン=ヴェルナー・ミュラー著、板橋拓己、田口晃監訳岩波書店
教科書『試される民主主義:20世紀ヨーロッパの政治思想(下)』ヤン=ヴェルナー・ミュラー著、板橋拓己、田口晃監訳岩波書店
参考文献

準備学修の内容

授業で講読する該当箇所を事前に必ず読み込み、不明箇所を明らかにするとともに、自分自身の見解を用意して授業に臨む。
報告担当ではない受講者も、ディスカッションに参加する準備をする。
授業で用いる書籍は指定図書コーナーに配架されているので、事前学習に用いて下さい。

その他履修上の注意事項

本を読んでいてわからない箇所があるのは当然のことです。決して恥ずかしいことではありません。教員を含めた受講者全員で疑問を共有し、みんなで理解を深めるような授業にしていきましょう。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:テキストについて解説し、発表の分担を行う。
第2回20世紀ヨーロッパについての映画鑑賞(『帰ってきたヒトラー』):20世紀の政治・社会思想の連続性を捉える。
第3回第1章「溶解した大衆』を読む(前半):第一次世界大戦の思想的影響を知る。
第4回第1章「溶解した大衆」を読む(後半):ロシア革命の意味を知る。
第5回第2章「大戦間の実験」を読む(前半):社会民主主義の発展を知る。
第6回第2章「大戦間の実験」を読む(後半):革命後のソ連の展開と共産主義を知る。
第7回第3章「ファシストの主体」を読む(前半):イタリアにおける展開を中心にファシズムとは何かを知る。
第8回第3章「ファシストの主体」を読む(後半):ドイツにおける展開を中心にファシズムとは何かを知る。
第9回第4章「再建の思想」を読む(前半):第二次世界大戦後に発展するキリスト教民主主義を知る。
第10回第4章「再建の思想」を読む(後半):自由主義と社会主義の戦後のあり方を知る。
第11回第5章「異議申し立ての新時代」を読む(前半):学生運動によって引き起こされた政治の変容を知る。
第12回第5章「異議申し立ての新時代」を読む(後半):学生運動の帰結とその波及的影響を知る。
第13回第6章「反政治、そして歴史の終わり?」を読む(前半):「大きな物語」への不信感の高まりを知る。
第14回第6章「反政治、そして歴史の終わり?」を読む(後半):新自由主義の台頭を知る。
第15回まとめ:これまでのテキストの内容を再検討する。