観光地計画論Ⅱ
担当者大下  茂教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [観光経営学科]
科目ナンバリングTPA-308

授業の概要(ねらい)

 日本の観光は、大きな方向転換が求められてきている。人口増加が期待できない時代を迎えた思考への転換と、観光立国に基づく国際観光地への転換が引き金となっている。また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と、それによる2020年開催のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催延期など、観光事業は新たな局面を迎えている。ポスト2020に向けて地域主体の観光まちづくりへと導く取組み展開が模索されている中、特に新しい生活様式に基づく観光形態への対応が求められることが加わったことで、身近な地域における新しい魅力発見とその活用による地域主体の観光まちづくりへと確実に向ってきている。
 本講義は、代表的な観光資源を有していなかった地域が「地域ぐるみ」での取組みを通じて、人の気を惹く地域へと変化させていった地域における取組みから、観光まちづくりの極意を学ぶものである。その極意とは、①マーケティングに基づく観光行動の変化を確実にキャッチすること、②地域固有のコンテンツを地域商品として組み立てること、③地域ぐるみでの受入体制を強めることにある。
 秋学期においては、テキスト後半の地域魅力商品のつくり方・磨き方、魅力を維持する方法、観光まちづくり組織のつくり方、構想・プランの描き方の手法について学ぶ。特に、地域の観光実態把握、地域の魅力を活かした観光プログラムづくり、推進のための組地域全体での受入体制づくり等の重要な取組み手法について解説する内容を踏まえて、具体的な対象地域において企画・提案する授業内演習を加えて理解を深めることに努める。

授業の到達目標

 ①観光実態把握手法を理解し、具体的な地域の観光まちづくり計画に適用することができる。
 ②地域資源評価手法を理解し、具体的な地域の観光まちづくり計画に適用することができる。
 ③観光地域において新しい地域観光商品の企画アイディアを考案することができる
 ④観光に関する地域全体での組織のあり方の改善提案の視点を指摘することができる。
 ⑤観光まちづくりの取組み手法に基づき、自らの興味の対象分野に応じて観光研究等に活かすことができる。

成績評価の方法および基準

 講義内で実施する演習レポートを40%(2回実施)、期末レポートを60%として評価する。演習レポートとは、講義内容の理解をより深めるために、教員が提示する課題に対して自らが思考を深めて授業内にまとめる課題レポートである。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『行ってみたい!と思わせる「集客まちづくり」の技術』大下茂学陽書房
教科書
参考文献

準備学修の内容

 基本的には観光まちづくり論Ⅰを受講していることが望まれる。秋学期からの受講も「可」とするが、前期講義範囲についてはテキストを熟読しておくことが望まれる。
 講義中に例示した課題などのレポートを取りまとめておくこと。現場で効率的・実行力のある改善の実施こそが、観光における「イノベーション」の原点である。観光に関する新しいビジネスモデルは、すべて現場の中での改善から生まれているといっても過言ではない。
 日常生活の中での改善に関心を寄せることも、将来のスキルアップにつながるものである。ものの見方・考え方を考える講義として捉えて、積極的な日常の学習に活用してほしい。

その他履修上の注意事項

 観光地域に興味・関心のある学生には、自らの興味の対象分野に応じたゼミ選択、観光研究分野やテーマ選択等に活かすように心がけて欲しい。
 社会で求められる人材は、問題解決できるスキルよりも、問題発見のできる人材であることから、問題意識をもつ受講者の質問は歓迎する。

授業内容

授業内容
第1回 授業の全体構成の解説・前期の振り返り
第2回 集客に向けた思考・アプローチ
第3回 地域商品のつくり方・磨き方(1)~商品のつくり方
第4回 地域商品のつくり方・磨き方(2)~商品の磨き方・売り込み方
第5回 地域の魅力を維持しつづける方法
第6回 観光まちづくり組織のつくり方
第7回 観光の実態把握~効果的な観光統計の採り方
第8回 観光地の資源評価~テーマ性への移行
第9回 〔授業内演習(小テスト)〕モデル地域における着地型地域魅力商品づくり
第10回 観光地における組織のあり方~地域ぐるみへの展開
第11回 〔授業内演習(小テスト)〕モデル地域における観光地域づくりプラットフォームに向けた組織の改善
第12回 構想・プランの描き方(1)~プランづくりの要素・事例
第13回 構想・プランの描き方(2)~三宅島での展開
第14回 構想・プランの描き方(3)~多古町での展開
第15回 総括~プランニングの技と地域に向かう心構え