日本の中小企業Ⅱ
担当者カン ビクトリヤ教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングECP-208

授業の概要(ねらい)

 中小企業は日本経済発展の原動力として大企業とともに重要な役割を果たしてきている。近年では、経済発展の原動力としてのベンチャー企業や、地域資源(地域の人材や技術、施設、資金など)を活かしながら地域課題の解決について「ビジネス」という手法で取組むコミュニティ・ビジネスに対する社会的な期待や関心が高まっている。
 ただし、市場での競争が厳しいため、全ての中小企業が成功するとは限らない。特に、日本経済の情報化、グローバル化やサービス経済化の急速な進展により、既存の中小企業の多くが市場から退出し、新時代を担う起業家が多数登場し、新旧交代が顕著になってきている。
 この講義では、中小企業が成長を遂げるために抱える経営課題とは何か、また経営環境の変化にどのように対応してきたのか、中小企業にとって有効な競争戦略とは何かなどに焦点を置き、中小企業の創業・成長・退出について分かりやすく解説する。また、研究開発型の新規開業企業の誕生背景や活動実態についても多様な側面から一緒に考えて行きたいと思います。

授業の到達目標

 ①現代経済社会において多大な影響力を持つ中小企業の活動実態、存立環境について理解し、中小企業が直面する諸問題点について説明できる。
 ②中小企業の創業・成長・退出過程について説明し、企業のライフサイクルに関する基本概念を解釈できる。
 ③中小企業の戦略的経営に関して興味を持ち、それに対する自らの意見を述べることができる。
 ④経済産業省などの調査結果や中小企業白書を参照し、新規開業企業や中小企業に対する政策的支援のあり方に関心を示す。
 ⑤日経新聞などを読み解きながら、少子高齢化や市場の成熟化、産業空洞化など、日本経済における中小企業を取り巻く環境変化について評価できる。
 ⑥日本のビジネス環境を感じ取り、それが中小企業の経済活動に与えている影響について判断できる。
 ⑦中小企業が抱える経営課題について自ら調べ、より広い視点から捉える能力を身に付けることが目標です。

成績評価の方法および基準

 総合評価の基準:宿題(40%)+試験(60%)
 試験(知識・理解・思考・判断):授業内で行う小テスト(期間中に2回、30%・30%の割合)、または定期試験で評価します。受講者数により決定する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書視聴覚教材:パワーポイントを使用した講義を行う。毎回授業のあらましと資料を配付します。
参考文献『中小企業白書』2010~2019年版
参考文献(2010)『アントレプレナーシップの経済学』本庄裕司同友館
参考文献(2007)『テキストライフサイクルから見た中小企業論』安田武彦・忽那憲治・本庄裕司・高橋徳行同友館
参考文献(2011)『現代中小企業論増補版』高田亮爾・上野紘・村社隆・前田啓一同友館
参考文献(2014)『中小企業・ベンチャー企業論新版』植田浩史・桑原武志・本多哲夫・義永忠一有斐閣
参考文献(2013)『21世紀中小企業論第3版』渡辺幸男・小川正博・黒瀬直宏・向山雅夫有斐閣
参考文献(1996)『中小企業論』清成忠男・田中利見・港徹雄有斐閣

準備学修の内容

 公開されている官公庁等の資料を授業中に紹介しますので、その資料を使用し授業のテーマ別にミニレポートを提出することが宿題として与えられます。
 毎回、参考書の該当ページや講義ノートを読んで予習・復習し、分からなかった点や質問をノートにまとめ、授業の直前・直後やオフィスアワーの時に聞きに来てください。これまで学んだことに関連する新聞・テレビ等のニュースに目を通してほしい。

その他履修上の注意事項

 授業の中で意見交換やディスカッションを行うこともあるので、学生の積極的な参加を歓迎します。
 中小企業の視点から見ると、日本経済の特徴や問題点が見えてくることがあるので、新聞や雑誌などに載っている関連記事に目を通しておきましょう。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション:講義の目的と進め方などについての説明
第2回 中小企業の地位と役割:創業の必要性、創業の状況
第3回 中小企業の誕生:開業の決定要因、業種・地域別の創業
第4回 サービス経済化と中小企業
第5回 中小企業経営の類型
第6回 起業家・アントレプレナー
第7回 中小企業の経営課題
第8回 中小企業の戦略的経営
第9回 中小企業の競争戦略
第10回 中小企業の競争地位別戦略
第11回 中小企業の経営革新
第12回 中小企業とマーケティング戦略
第13回 中小企業のマーケティングマネジメントプロセス
第14回 中小企業と財務戦略
第15回 中小企業と人材開発戦略