国際経済入門Ⅰ
担当者中西 俊裕教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-103

授業の概要(ねらい)

 この授業は、世界各国・地域の経済の現状、課題を多面的に取り上げ、理解を深めることを目的とします。世界経済は米国の金利動向、中国の経済成長の行方など様々な要因によって左右されます。両国のほかインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)など主だった国や地域の経済を動かすメカニズムを学ぶと同時に、経済が政治や社会の動きによってどんな影響を受けるかについても理解を深める。

授業の到達目標

 各国経済の課題について理解したうえで、学んだ要素を組み合わせ、国際経済について自分なりの見通しを立ててわかりやすく説明できるようになることを目指します。

成績評価の方法および基準

 課題レポート20%、小テストの成績20%、定期試験の成績60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は特に指定せずプリントを配布する。
参考文献経済がわかる論点50 2020みずほ総合研究所東洋経済新報社
参考文献対立の世紀イアン・ブレマー日本経済新聞出版社

準備学修の内容

次回の対象となる国・地域について、新聞やインターネットのニュース記事で話題になっている問題点を点検しておく。注意すべきキーワードについては随時、予告する。

その他履修上の注意事項

定期試験を受けるには、原則60%以上出席することが必要条件となる。今後は国際経済入門Ⅱを履修することが望ましい。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション(国際経済を学ぶことの意義と問題意識、授業の進め方、評価方法)
第2回 【米国経済】トランプ政権が発足以来行ってきた金融、規制緩和、エネルギーなど主要政策について検討し、日本や中国との通商問題についても考える。
第3回 【中国経済】経済成長鈍化の背景、これまで成長を支えてきた要因の変化のほか、産業力強化を目指す国家計画「中国製造2025」、シルクロード経済圏構想「一帯一路」などについて基本的な部分を理解する。
第4回 【インド経済】中国に次ぐ人口規模をいかした成長路線と、経済力を軍事、外交にまで発展させ国力をアピールしようとするインドの総合戦略について考える。
第5回 【ASEAN経済(1)】東南アジアで1980年代、日本などからの技術移転や資源価格低下を背景に製造業育成が進んだ経緯や、90年代の通貨危機、2000年代に入り経済共同体などによって一層の発展を目指す現状などを時系列に沿って学ぶ。
第6回 【ASEAN経済(2)】ASEAN各国個別の経済成長や産業政策、企業活動について具体例を示しつつ近年の実績や課題を検証する。企業については製造業、金融機関など多様な業態から話題となっている代表例を選び紹介する。
第7回 【中東経済(1)】サウジアラビアなど中東産油国が与える影響力について、過去の石油危機など歴史的な経緯も踏まえ、石油価格の変動と世界経済、シェールオイルと中東産原油の関係など主にエネルギーの観点から、中東にまつわる経済問題を包括的に論じる。
第8回 【中東経済(2)】アラブ圏の経済成長、格差問題を紛争や政治体制との関係において考える。アラブ以外にも情報技術(IT)で新技術を創造するイスラエル、不安定な経済状況の改善を模索するイラン、トルコの近年の事情にも触れ地域全体の現状を理解する。
第9回 【欧州経済(1)】英国の欧州連合(EU)離脱方針決定に至る背景、EU発足の背景、理想と現実の間で起きる矛盾について考える。
第10回 【欧州経済(2)】ドイツ、フランスなどユーロ圏主要国の経済の現況を確認するとともに今後の展望、各国の抱える課題、政治的な懸案が及ぼす影響について学ぶ。
第11回 【ロシア経済】石油など資源価格によって大きく左右されるロシア経済の仕組みを紹介し、政府と企業の関係、欧米や中国などとの政治関係がもたらす影響について学ぶ。
第12回 【韓国・台湾経済】経済を変動させる様々な政治要因を抱える韓国と、中国と緊張をはらみつつ技術力を梃子として成長の機会を求める台湾。韓国・台湾の経済の行方を外交や政治を踏まえて展望する。
第13回 【中南米経済】豊富な資源を持ちながら安定成長が実現できない中南米諸国の経済について、発展へ向けた取り組みを点検する。
第14回 【総論】政治対立が経済にとって逆風となる時代
第15回 まとめとテスト