ECCP(論理的思考)Ⅰ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングSEM-203

授業の概要(ねらい)

 ECCP 有資格者を対象に2年生クラスとして開講します。ECCP論理的思考クラスは2年と3年時を通じて開講し、2年時から2年間、あるいは3年時の1年間を通して履修してもらうことを想定しています。3年時修了を目指す第一歩として参加してもらいます。文系の論理的思考とは必ずしも数学的論理だけを意味しません。感情論理とよばれるものが加味して人を動かす論理が完成する場合が多いのです。クラスが目指すのは、自分の考え方に筋がとおっていること、それをできるだけ正確に表現できること、を基本とします。人は「数字」か「ことば」でモノを考えるしかなく、ここでは「ことば」で思考し、表現するのです。2年時クラスでは、さまざまな現代事象を手掛かりに、ふだんのクラスでは触れることが少ないテーマをとりあげ、興味と視野を広げ、自分なりの考え方をまとめる訓練をしていきます。講義の区切りごとに、その都度のテーマについて自分の考えを記述コメントし、提出してもらいます。

授業の到達目標

 3年時の論理的思考クラスへの準備期間と位置づけます。まずはNHK番組録画など映像記録を中心にすえて、さまざまな現代事象を通じて、興味の幅、視野を広げてもらう。現実社会の動きを身近に感じて、自分で考え、そしてまとめていく。場合によっては級友の前でそれをわかりやすく発表する。級友の意見を聞き、自分の意見と対比させ、考える。そこから、たんなる感想を述べるのではなく、解決のありかた、問題点の分析といった社会学的なアプローチの第一歩を身につけてもらいたいと思います。また、3年時への準備段階として、自分の考え、分析を手短にまとめて記述する訓練をしていきます。

成績評価の方法および基準

 講義で扱うテーマごとに、意見や考えを同級生の前で発表することを求めることがあります。また、扱うテーマごとに自分の考え、分析をコメントとして記述してもらう。学期中、その内容を評価して最終考査に加える(30%)。最終講義でクラス内試験として小論作成を行います(70%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献

準備学修の内容

 ふだんのニュースに関心を向けておくこと。社会動向をみて、何が議論になっているのか、自分なりの判断をもっておくこと。国内、国際を問わず、議論になっている大きなテーマには時代背景や、それまでの歴史がこめられていまあす。うわべを撫でた理解ではなく、より幅広い情報収集とそれを総括できる「まとめる力」を求めます。そのためにも、インターネットという無限大の電子図書館を活用できることが大切です。

その他履修上の注意事項

 2年時クラスでは映像資料を多く活用します。また講義テーマは基本的に一回ごとに変わるか、テーマによっては2回連続で扱うこともありえます。欠席するとそっくりその回のテーマをパスすることになる。ECCPクラスでは出席が必須と心得ておいてください。扱うテーマは具体的にはその都度決めていきますが、大まかに国内テーマ、国際テーマと2分類し、それぞれ政治、経済、歴史、文化といった各種テーマにさらに配分して組み立てていきます。最初の3回ほどの講義で全体の流れを履修生が理解できるように設定します。前年の扱ったテーマを参考にしてアウトラインを紹介しておきます。

授業内容

授業内容
第1回2年時ECCP論理的思考クラスの目標と狙いの解説。講義シラバスの授業の狙い等にそって解説して概論とします。
第2回映像資料「北方領土出身者」。かつて日本領土でありながら、ソ連(現ロシア)軍により北方領土4島から追われた旧島民の現在を知り、国家と領土の問題を考える(国際国内関連テーマ)
第3回前回のテーマの議論を続け、履修生にレポートを作成してもらう。
第4回映像資料「ガレキのピアニスト」を観て、シリア内戦と亡命難民の現実、内戦の悲劇と広島の悲劇を考えるシリア出身ピアニストのことを知ってもらう。そこからシリア内戦と現代世界における難民とは何かを学ぶ。議論と背景調査。(国際問題関連テーマ)
第5回前回のテーマで議論を広げる。履修生の意見表明とコメント記述。
第6回映像資料「ホタルのふるさと」を観る。ほとんど知られていない九州川内川上流のホタルで町おこししている実話を考える。人々が自然と暮らす様子が、そのまま町おこしになっている事例を知って、観光振興が陥っている巨大テーマパークや、巨大投資からの解放に一つのヒントを得てみよう。(国内関連社会テーマ)
第7回前回テーマを広げて、議論と小論作成。
第8回映像資料「人口減日本 労働力の現場で起きていること」。労働力不足がいわれる日本で実際の職業現場では、どう対処しようとしているのか。技能労働者の入国緩和を決めた日本でこれから何が起きるのか、考え議論する。(国内労働問題テーマ›
第9回前回のテーマを継続
第10回来日したベトナム人技能実習生たちで問題に直面した人々の救済にあたるベトナム人僧侶パクチーさんのビデオ・インタビューを観る。ベトナム人の若者たちの夢が破れていくのは、本人たちの責任だけではなく、酷い労働環境を強いている日本側受け入れ会社、仲介業者に大きな問題がある現実を知る。外国人労働者の実態をより深く知り、たんなる数字合わせで労働力不足を補おうという考えがいかに間違っているか、理解する。
第11回前回テーマを継続し、小論作成
第12回映像資料「生活保護受給者200万、3兆円の衝撃」。リーマンショックと東日本大震災の後、生活保護受給者が増大した。社会が手を差し伸べる大切さと、財源をどうするのか。考え、議論する。(国内経済社会テーマ)
第13回前回の継続
第14回これまでのテーマに関連して、履修生の記述コメントをもとに、議論を継続する。
第15回まとめと最終小論作成テスト。短い論述を読み、設問に応じて小論にまとめる形式をとります。