イノベーション論Ⅱ
担当者武田 基秀教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [観光経営学科]
科目ナンバリングMAN-315

授業の概要(ねらい)

 第一に、イノベーションとは何かを、複雑な社会経済システムの成長の仕組みとして、前期に続きその本質を説明します。特に、グローバルリスクの問題解決というイノベーションの新たな使命について理解を深めます。
 第二に、世界の歴史に注目し、人間、組織、国家のそれぞれのレベルで、大きな変革が、なぜ、どのように起こり、どうなったか、について知識を深めます。また、学習の時間軸を人類の一万3千年の歴史から、直近では、日本の近代化150年、戦後70年等異なる観点でみて、上記の学習を行います。
 第三に、後期においては、イノベーション論で学習した知識を総合して、社会経済の問題解決として変革が必要な領域と、それを経営する技術を学習していきます。
 尚、領域として「自動車等社会インフラのイノベーション」「金融のイノベーション」「社会経済組織のイノベーション」を後期に講義をします。(知識・情報、エネルギー、医療・バイオは前期で講義)
 後期講義では、中間と最終にレポート課題があり、その一部の受講者によるプレゼンテーション、全体での討議もあります。尚、将来、新たな事業を興すリーダーになるため、また、家業の事業を継ぐ可能性がある学生は、イノベーションを興していくする様々なテクノロジーは企業経営の中核の知識ですので、本講義の受講を特に薦めます。

授業の到達目標

 イノベーションとは何かを、その本質的な仕組みの説明、映像記録視聴及び事例学習から、興味ある領域について具体的に理解し、説明できるようになること。
 自分で取り上げた分野のイノベーションにつき、過去の歴史を分析し、その理解をまとめ、説明できるようになること。
 これらの知識を持って、技術革新とその導入による功罪の側面をも理解し、問題解決のためのイノベーションにつながる事業創出を行う考え方を理解すること。

成績評価の方法および基準

 授業で提示する課題に対するレポートの提出結果及び最終レポートによる試験(40%)。授業での発表・ディスカッションへの積極的な参加と貢献(30%)。出席等授業態度にみられるdiscipline(訳注:決められたことをそれが辛かろうが妥協せずに実行する強い姿勢・自制心・自己鍛錬)(30%)。これらを総合して評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『銃・病原菌・鉄』上・下ジャレド・ダイアモンド著(草思社文庫)
教科書戦争の歴史 上・下ウイリアム・H・マクニール著(中公文庫)
教科書『イノベーションの世紀』シリーズ(一橋大学イノベーション研究センター、ビデオ)
参考文献 参考資料は実習指導の際適宜配布する。
参考文献『科学者が読み解く日本建国史』中田力著(PHP選書)
参考文献『穆如清風 複雑系と医療の原点』中田力著(日本医事新報社)
参考文献『イノベーションのジレンマ』、『イノベーションへの解』、『イノベーションの最終解』(クレイトン.M.クリステンセンの著作物)
参考文献『イノベーション・マネージメント入門』一橋大学イノベーション研究センター編(日本経済新聞社)
参考文献『危機と人類』上・下ジャレド・ダイアモンド著 (日本経済新聞社)

準備学修の内容

 『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド著、草思社文庫)は授業のディスカッションで使用しますので、購読して下さい。人類の1万3千年のイノベーションの生成のメカニズムに関する興味深い著作物です。

その他履修上の注意事項

 日本経済新聞を読み興味ある記事を見つけるようにしてください。文科系・理科系の意識にとらわれることなく、科学・技術にも大いに興味を持って、学習願います。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション、総論 複雑な社会経済システムの扱い方とイノベーション
第2回イノベーションの理解 / いろいろな時間軸・領域によるイノベーションの歴史分析

第3回社会インフラとイノベーション / 自動車産業の現状と未来
事例: ルノー・日産とカルロスゴーン
第4回現場から 外部招聘その1:人間とイノベーション(脳科学者の視点から)
第5回金融技術のイノベーションと歴史と現状(1)
エレクトリックマネー/ その発明と革新、金融市場の興隆 
第6回金融技術のイノベーションと課題と将来(2)
銀行の未来図、金融先端技術の動向
第7回サービス産業のイノベーションと課題と将来 事例:ファーストリテイリングの革命
第8回現場から 外部招聘その2: 企業経営者の視点から①
第9回イノベーションと組織運営 事例(企業・産業編) (2)
第10回イノベーションと組織運営 事例(国家と人)(3)
第11回イノベーションの歴史と課題(文明編)
第12回現場から 外部招聘その3: 企業経営者の視点から②
第13回イノベーションと歴史と課題(経済発展・南北問題編)
第14回日本の課題とイノベーション
第15回イノベーション論 (まとめ)