エリアマネジメント論Ⅱ
担当者今野 久子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングTPA-302

授業の概要(ねらい)

 都市・地域が成長から成熟の時代を迎えて、まちづくりの重心が行政主体の開発から市民主体の維持管理へと移り、コミュニティの課題も人口減少・超高齢化に伴い多様化している。こうしたなかで近年、良好な環境や地域の価値を維持向上させるための住民・事業主等による取組みが「エリアマネジメント」として体系化・提唱されている。一方、大学には、「学生による地域課題解決への参画や地域との相互交流」が求められ(※注1)、実践例も増えつつある。
 本講義では、「エリアマネジメント」の体系をもとに、市民主体の組織的なまちづくりに関する基礎的理解を促すことを目指す。具体的には、春学期の学修内容を踏まえ、「エリアマネジメント」の具体的な活動内容を多摩ニュータウンに注目して概観するとともに、組織体制(各種法人、NPOなど)や活動支援の仕組みなどについて学ぶ。能動的学修を促すため、身近な地域のエリアマネジメント活動事例とまちづくりの展開についての課題レポート、および、エリアマネジメント活動支援についての指定文献に基づく課題レポートの作成・提出を求める。
 なお、2020年、コロナ禍によりまちづくりの各場面にも大きな影響がみられ、今後の変化の方向が模索されている。今後のまちづくりを考える基礎として、これまでに蓄積されてきたまちづくり・エリアマネジメントの動向や知見の理解が重要であると考えられる。新たな取り組みは試行段階といえるが、有効な事例・知見等を見極め適宜紹介することを想定する。
 ※注1:『第2期教育振興基本計画(平成25~29年)』『文部科学白書(平成25年度)』における「大学COC構想」など。COCはCenter of Community(地域コミュニティの中核的存在)の略。

授業の到達目標

 ①多摩など身近な地域における「エリアマネジメント」の実際の活動やプロジェクト事例について、市民活動と地域の課題・まちづくりとの関わりの等について説明することができる。 
 ②エリアマネジメントの組織体制について基本的事項を理解し、その内容や特徴を説明することができる。
 ③エリアマネジメント活動の支援・展開について基本的事項を理解し、その内容や特徴を説明することができる。

成績評価の方法および基準

評価は、各回の授業内容を振り返り自分の意見を述べる授業ノート(10回)が50%、課題レポート(2回)が50%の配分によって総合的に評価する。
授業ノート・課題レポートは、すべてLMSに提出する。提出期限後は受理できないので、厳重に注意すること。
授業ノートの未提出4回以上、あるいは課題レポートをいずれか1回でも未提出の場合は、単位取得不可なので、厳重に注意すること。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書以下の資料・参考書を適宜用いるほか、授業のなかで必要に応じて適宜紹介する。
教科書エリアマネジメントに関するホームページ掲載資料(エリアマネジメント推進マニュアル等)国土交通省
参考文献(2008)『地域と大学の共創まちづくり』小林英嗣他学芸出版社
参考文献(2015)『最新エリアマネジメント―街を運営する民間組織と活動財源』小林重敬学芸出版社
参考文献(2018)『まちの価値を高めるエリアマネジメント』小林重敬+一般財団法人森記念財団学芸出版社
参考文献(2012)『多摩ニュータウン物語 オールドタウンと呼ばせない』上野淳・松本真澄鹿島出版会
参考文献(2005)『ニュータウンの未来』秋元孝夫多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議(pdf版無償配布)

準備学修の内容

3.成績評価方法に示した通り、各回の授業内容を振り返り自分の意見を述べる授業ノート10回、および課題レポート2回の提出を求める。
また、まちづくりは、日常生活のあらゆる分野が総合的に関連するため、日頃から新聞、雑誌、メディア情報等を通して地域・社会の現状に広く関心を寄せるようにしてほしい。

その他履修上の注意事項

〇秋学期には、春学期の学修内容を展開して考察を深め、春・秋学期を通じて理論と具体的考察の両面から体系的理解を得られるよう構成している。そのため秋学期受講者は、春学期の単位を修得していることを基本とする。
〇授業ノート(10回分)を、翌週の授業開始前までにLMSに提出すること。未提出4回以上は単位取得不可、提出期限後は受理できないので、厳重に注意すること。
〇課題レポート(2回)を授業内で指定する期限までにLMSに提出すること。いずれか1回でも未提出の場合は単位取得不可、提出期限後は受理できないので、厳重に注意すること。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション
第2回 多摩ニュータウンのエリアマネジメント活動①
  多摩NTの方向性、 NPO法人とまちづくり
第3回 多摩ニュータウンのエリアマネジメント活動②
  CSRとまちづくり
第4回 多摩ニュータウンのエリアマネジメント活動③
  大学と地域の交流・地域貢献の取組み事例
第5回 エリアマネジメントの組織体制①
  協働と中間支援
第6回 エリアマネジメントの組織体制②
  許可と委託
第7回 エリアマネジメントの組織体制③
  活動組織の概況(法人と組合)
第8回 エリアマネジメントの組織体制④
  活動組織の概況(NPO)
第9回課題レポ―ト1:市民活動とまちづくりの展開① 
  市民活動の事例の概況
第10回課題レポート1:市民活動とまちづくりの展開②
  市民活動と地域の課題・まちづくりとの関わりの考察
第11回 エリアマネジメント活動の支援・展開①
  地域通貨とボランティアポイント
第12回 エリアマネジメント活動の支援・展開②
  空家活用とリノベーションまちづくり
第13回課題レポート2:活動支援とまちづくりの展開①
  活動支援の事例・制度の概況
第14回課題レポート2:活動支援とまちづくりの展開②
  活動支援の事例・制度とまちづくりとの関わりの考察
第15回授業の総括
 ※以上は、受講者の理解関心や進捗等により若干修正する可能性もある。