アジア経済論Ⅱ
担当者菊池  正教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングECP-310

授業の概要(ねらい)

 アジア地域は民主化と市場経済化の影響を、いま一番多く受けている地域といえるかもしれない。アジア地域は、東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、西アジアに分かれ、約50の国家・地域からなっている。その人口は世界の約60%、面積は約23%を占める。食糧に関しては、アジア地域は米の生産量は世界の約90%、小麦の生産量は約45%、トウモロコシは約30%を占め、農業の重要な生産地である。工業に関しては、既に発展を遂げている新興工業経済地域(NIES)、大国であるインド、中国、そして東南アジア地域のCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)が近年は相対的に高い経済成長を遂げている。これらアジア経済の高い潜在力、その豊富な労働力と内需に魅かれて、多くの日系企業がアジア地域へと進出している。日本の対外貿易に関し、アジア地域は輸出入それぞれ約40%を占めている。日本はアジア地域の一員であると共に、アジア地域の諸国は日本の重要なパートナーである。
 授業では、アジア地域諸国の概要を社会経済事情やデータから紹介しつつ、時には、諸君との意見交換や議論を通じて、一緒に今後の“アジア経済のヴィジョン”を考えたい。

授業の到達目標

 授業で学んだアジア経済に関する知識をもとに、アジアが持続的な発展を遂げるために、「何が大切か、日本はアジア地域の一員として何ができるか」を自分の言葉で表現できることを目指す。

成績評価の方法および基準

 成績は平常点(授業貢献や提出物)とレポートの結果により、総合的に評価する。詳細は、最初の講義で説明する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書(インド、中国他経済事情) (2015)『開発なき成長の限界――現代インドの貧困・格差・社会的分断』アマルティア・セン、ジャン・ドレーズ、湊 一樹翻訳明石書店
教科書(2015)『超大国・中国のゆくえ4 経済大国化の軋みとインパクト』丸川 知雄、 梶谷 懐東京大学出版会
教科書(2014)『現代インド経済―発展の淵源・軌跡・展望』柳澤 悠名古屋大学出版会
教科書(2015)『アジア経済史研究入門』水島 司、 加藤 博、久保 亨、島田 竜登編著名古屋大学出版会
教科書(2019)『ベトナムの経済読本 -発展の光と陰-』菊池正一藝社
教科書(アジア地域に関する経済統合) (2015)『ASEAN経済統合の実態』浦田 秀次郎、可部 繁三郎、牛山 隆一 文眞堂
教科書(2015)『アジアの開発と地域統合 新しい国際協力を求めて』朽木 昭文、馬田 啓一、石川 幸一日本評論社
教科書 (2014)『ASEAN大市場統合と日本: TPP時代を日本企業が生き抜くには』深沢 淳一、助川 成也文眞堂
教科書(2018)『図解 ASEANを読み解く 第2版: ASEANを理解するのに役立つ70のテーマ』みずほ総合研究所東洋経済新報社
教科書(国際協力) (2014)『なぜ貧しい国はなくならないのか 正しい開発戦略を考える』大塚啓二郎日本経済新聞出版社
教科書 (2015)『これからの日本の国際協力 ビッグ・ドナーからスマート・ドナーへ』黒崎 卓、大塚啓二郎編著日本評論社
教科書(情報・データ) (2010)『新版国旗と国名由来図典』辻原康夫出窓社
教科書(2019)『データブック オブ・ザ・ワールド2020』二宮書店編集部二宮書店
参考文献ODA白書 外務省外務省HP内
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo.html
参考文献経済財政白書 内閣府ホームページ内閣府内閣府ホームページ
http://www5.cao.go.jp/keizai3/whitepaper.html#chiiki
参考文献世界銀行(WB)の報告書
“Global Economic Prospects
(『世界経済の見通し』)”
世界銀行(WB)世界銀行(WB)ホームページ
https://www.worldbank.org/en/publication/global-economic-prospects
参考文献アジア開発銀行(ADB)の各国情報
”Countries and regions of ABD ””
アジア開発銀行(ADB)アジア開発銀行(ADB)ホームページ
http://www.adb.org/countries/main
参考文献ミャンマーの夜明け加賀美充洋日本経済評論社

準備学修の内容

 アジア地域に関する新聞記事や、関心がる書籍を読み、知的好奇心を日頃から培って欲しい。

その他履修上の注意事項

 授業は講義形式で行うが、自主レポートの提出など積極的な授業への参加を歓迎する。一度も休まない意志を持つ学生の受講を期待する。
〇毎回課題を出すので、しっかりとやってくること(次週提出)。
〇内容が悪い課題は、再提出を求める。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス:アジア地域の概要紹介
第2回 アジアの大国(I):資本主義を進める中国、インド
第3回 アジアの大国(II):資本主義を進める中国、インド
第4回 新興工業経済地域(NIES)の経済発展(I)
第5回 新興工業経済地域(NIES)の経済発展(II)
第6回 ASEAN概要と構成国の紹介(I):インドネシア、タイ
第7回 ASEAN概要と構成国の紹介(II):CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)
第8回 ASEAN概要と構成国の紹介(III):フィリピン、マレーシア
第9回 ASEAN概要と構成国の紹介(IV):シンガポール、ブルネイ
第10回 ASEANの経済発展:投資と貿易
第11回 ASEANの工業発展(I)現状、都市化、消費社会の形成
第12回 ASEAN経済統合とASEAN経済共同体の形成(I):創設、展望と課題
第13回 ASEANに進出する日系企業:国際ビジネスの協働
第14回 議論・意見交換:アジア経済の魅力と課題
第15回 まとめ