EU法Ⅱ
担当者大道寺 隆也
単位・開講先選択必修  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングPUL-306

授業の概要(ねらい)

欧州連合(European Union, EU)が、市場統合、金融政策、人の自由移動、難民、テロ対策……といった具体的な場面で、どのような働きをしているのかを学びます。「EU法I」では、《EUとはどういう組織か》を学ぶ一方、「EU法II」では《EUが何をしているか》を学びます。EUに関する正確な知識と、それに基づく自分なりの意見が持てるようにすることが狙いです。

授業の到達目標

(1) EUが様々な分野でどのような活動をしているかを説明できる。
(2) EU関連のニュースを正確に、できれば批判的に、読み解けるようになる。

成績評価の方法および基準

学期末試験の点数(70%)に平常点(30%)を加味して評価します。平常点は、授業での発言や質問、ならびに毎回のコメントシートを鑑みて算定します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『EUとは何か——国家ではない未来の形——[第3版]』中村民雄信山社
参考文献『EU法』中西優美子新世社
参考文献『EU法基本判例集[第3版]』中村民雄・須網隆夫編日本評論社
参考文献『新EU法・政策篇』庄司克宏岩波書店

準備学修の内容

・EU(法)の初学者を対象としているので、前提知識は不要です。
・復習を重視します。授業で触れた言葉や判決の意味を、教科書や参考書などを使いながら確認してきてください。
・EU関連ニュースにアンテナを張ってみてください。

その他履修上の注意事項

EU(法)の初学者を対象としているので履修条件等は特にありませんが、前期「EU法I」を履修していると理解しやすくなると思います(必須ではありません)。

授業内容

授業内容
第1回導入
なぜ、日本に住んでいる私たちがヨーロッパの機構であるEUとその法を学ぶべきなのでしょうか。EUについて学ぶことの意義を考えます。また、最も基本的な知識(機関の名前など)を説明します。
第2回単一市場の歴史
EUの最大の特徴である単一市場は、どのように作られてきたのでしょうか。市場統合の歴史を振り返ります。
第3回物の自由移動(1)
EUは、物の自由移動をどのように実現しているでしょうか。基本的な判例や原則を説明します。
第4回物の自由移動(2)
第3回に引き続き、物の自由移動に関する法や政策を、具体的な文脈で説明します。
第5回共通通商政策
EUは、日本を含む様々な国と、貿易に関してどのような関係を結んでいるでしょうか。共通通商政策について説明します。また、日・EU経済連携協定(EPA)についても触れます。
第6回共通通貨ユーロ(1)
共通通貨ユーロはどのように発展してきたのでしょうか。ヨーロッパの通貨統合の歴史を振り返ります。
第7回共通通貨ユーロ (2)
共通通貨ユーロはどのような仕組みになっているでしょうか。また、「ユーロ危機」とは何だったのでしょうか。現在のユーロの姿について説明します。
第8回EU競争法
EUにおいて、企業はどのようなルールの下で競争することになっているでしょうか。日本企業が関わることも多いEU競争法の仕組みを説明します。
第9回EUと「ひと」(1)——人・サービスの自由移動
人やサービスの自由移動は、どのように実現されているでしょうか。労働者の権利に関する判決や「EU市民権」について説明します。
第10回EUと「ひと」(2)——犯罪対策
国境管理がほとんどないEUは、どのように犯罪に対処しているでしょうか。EU刑事法について説明します。
第11回EUと「ひと」(3)——難民政策
EUは、やってくる難民をどう扱っているでしょうか。欧州共通庇護体制(CEAS)について説明します。
第12回EUと「ひと」(4)——基本権保障
EU各国では、個人の基本的権利はどのように守られているのでしょうか。ヨーロッパの基本権保障の仕組みについて説明します。
第13回共通外交安全保障政策
EUはどのように各国と協力しながら自分たちを守っているでしょうか。EUの外交政策の発展や現在の動向について説明します。
第14回EU法の新たな動き
現代社会の絶え間ない変化にEU(法)はどのように対応しているのでしょうか。EU法の最新動向を紹介します。この回の内容は受講者の関心に合わせて決めていきます。
第15回まとめと授業内テスト