ヨーロッパ経済論Ⅰ
担当者比佐 優子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングECP-319

授業の概要(ねらい)

 国が変われば、制度・法律・政策・言語・文化なども異なる。「経済のグローバル化」という言葉も近年、良く使われるが、「国際化」との違いは「国境」の概念を重視するか否かにある。世界の国々が1つに統合されてしまえば、もはや「国際」という言葉は意味をなさない。しかし、依然として、経済活動においては国境が存在し、国を超えて人(労働者)の国境を越えた移動は規制・制限され、激しい管理下にある。このようななかで、ヨーロッパは前人未到の試みを行っている。欧州連合(EU)の誕生とその行く末は新たな経済システムの構築に向けての胎動である。
 ヨーロッパという言葉から何をイメージするだろうか。ヨーロッパのイメージはとても多様である。その理由はヨーロッパが長い歴史を持ち、かつ地球上の多くの地域に、長い間さまざまな面で大きな影響を与えてきたためであろう。
 さらにヨーロッパを理解するうえでEUの存在が不可欠である。EUは前例になるモデルが歴史上どこにも存在しない独自の制度で、東西冷戦崩壊後はその規模と機能を飛躍的に拡張している。しかし、近年はユーロ危機、イギリス離脱問題、テロ、移民問題と大きな問題を抱え、その転換点を迎えている。
 「ヨーロッパ経済Ⅰ」では、歴史的な背景や制度の説明に加えて、最新の問題をとりあげつつ、できる限りわかりやすく紹介する。21世紀以降、急速に市場が拡大したヨーロッパ経済における資金の動き、人の流れ国民国家について把握する。中世からEUの誕生に至る歴史から現在のシステムがいかにして誕生したのかについて取り上げる。「ヨーロッパ経済Ⅰ」と「ヨーロッパ経済Ⅱ」を通じて、EUとEUを構成する各国の経済の両方から現代のヨーロッパ経済について理解を深める。

授業の到達目標

 ヨーロッパ経済に関して一国の歴史という枠を越えて、どのように経済システムが変容してきたのかについて歴史的・地域的に広く学ぶ。そして長期的なシステムの形成によって誕生したEUについて理解し、国際的知識と教養を身に着けることを目標とする。

成績評価の方法および基準

 中間、期末に行うテスト視聴覚教材とその課題及びレポートの提出、出席状況による総合評価を行います。課題はすべて期限内に提出しなければ評価対象にはなりません。課題提出は通常2週間で締め切ります。また10回以上の出席率が単位認定に必要です。
 なお開講後の状況により、出席状況の確認の方法や回数、中間、期末、視聴覚教材と課題の方法、回数、課題など成績評価方法について最終的に判断します。受講する場合は初回のガイダンスに必ず参加してください。履修修正期間での修正はその間の出席、課題提出に遅れが生じます。レポート課題の提出があります。その間の出席は考慮しません。前もって了承してください。私語は厳禁です。一時退場を求めます。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書(2013)『ヨーロッパ経済過去からの照射』改訂版朝倉 弘教・内田 日出海(勁草書房)
教科書ガイダンスで発表する
参考文献第5版(2018)『現代ヨーロッパ経済』第5版田中 素香・長部 重康・久保 広昌・岩田 健二(有斐閣アルマ)

準備学修の内容

 ヨーロッパ各国の地図、国名、人口、主要工業品と農作物(上位3)、一人当たりGDP、EU加盟年についてA4にまとめる。

その他履修上の注意事項

 講義は概ね以下のような内容を予定しています。受講者の状況をみて、理解をより深めるため、内容や順序を見直す場合があります。人数によってはグループ学習と課題も視野にいれてます。また視聴覚教材(関連するドキュメンタリーや特集番組、映画)などを使用し、それをもとに課題提出をおこなう場合もあります。 教科書は必ず購入し、毎回持参してください。
 履修の修正期間など遅れて登録をする場合
 通常のレポート以外に、進んだ分の講義内容についてのレポート課題提出、教科書の購入の確認などが必須となります。登録前に必ず連絡を取ってください。

授業内容

授業内容
第1回 授業ガイダンス:ヨーロッパとEU
第2回 ヨーロッパの原風景:空間としてのヨーロッパ
第3回 ヨーロッパの原風景:農村
第4回 ヨーロッパの原風景:都市
第5回 国民経済の胎動
第6回 中間テスト(変更あり)
第7回 産業革命とパックスブリタニカ
第8回 近代以前の動力と生産性
第9回 帝国主義の台頭
第10回 第一次世界大戦と大量破壊兵器の開発
第11回 第一次世界大戦と汎ヨーロッパ
第12回 戦後世界秩序の構想と統合への道筋:共同体の基礎とEECの発展
第13回 戦後世界秩序の構想と統合への道筋:EUの誕生
第14回 ヨーロッパ経済 過去からの照射(設問テストあり)
第15回 EU誕生と課題