環境政策と法Ⅱ
担当者長島 光一教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [政治学科]
科目ナンバリングPOS-302

授業の概要(ねらい)

 「環境政策と法」では、どのような政策によって環境を守っていくのか、環境を守るために、法はどのように機能するのかについて考えてきます。環境政策を理解するためには、その対象(様々な環境問題の政策課題)を理解するとともに、方法(環境に関する法の分野とその機能)についても理解する必要があります。環境問題は、公害だけでなく、自然保護や気候変動防止など、国内外で多くの検討課題が次々に登場しています。また、環境に関する分野は幅広く、法律(環境法)も多種多様になっています。
 そこで、政治学科の科目であることから、法学の基本的な知識を確認するとともに、環境政策と環境に関わる法について学んでいく形式の授業にします。法律学が苦手、理解できていないと思う学生にとっても、法律学を確認するとともに、環境分野で法律をどのように活用するのかという応用の視点で考えてもらえればと思います。
 法律学は、社会の様々な問題とつながっていて、あらゆるテーマとも繋がる学問です。この授業では、環境政策にスポットを当てて、テーマごとに様々な事例を通じて、法学の全体像を理解し、環境問題を通じて、法の役割と限界について問題意識を持ってもらい、法律学で何をどこまでできるのかを一緒に考えます。また、それに加えて、法では解決できない問題について、政策にも目を向けることで、法律と政治のしくみを学ぶ作業をしていきます。
 環境政策と法Ⅱでは、環境政策に重点を置いて、環境問題分野ごとに行政がどのような取り組みを行っているのかを勉強します。
 なお、ゲストスピーカーを呼ぶ予定もあります。

授業の到達目標

①環境問題に対して、法がどのような役割を担っているのかを理解する。
②環境政策がどのように進められ、現在のどのような課題があるのかを理解する。
③法学の基本的の知識を理解し、環境政策を考える上でどのように使うことができるか、レファレンス能力を身につける。
④政策立案における法の役割を理解し、環境問題に対して、どのような対応ができるか意見を述べることができる。

成績評価の方法および基準

学期末にテストを行い評価します(70%)。
また、毎回、リアクションペーパーを求めますので、そこで書かれたことや発言等も重視します(30%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『環境法(第2版)』(2019年)北村喜宣有斐閣
参考文献『環境政策入門』(2012年)盛山正仁編武庫川女子大学出版部

準備学修の内容

 予習について、教科書の次回の該当頁を事前に告知しますので一読することをお勧めします。また、レジュメに次回の学ぶ範囲の課題を提示しておきますので、それについて自分の考えをまとめておいてください。
 復習について、毎回のレジュメの最後に演習課題を出しますので、各自取り組んでみてください。(翌週に解説します。)

その他履修上の注意事項

環境問題は身近な課題です。「自分だったら、その問題に対してどのように対処するのか?」という問題意識をもって臨んでほしいと思います。
 なお、講義では、ドラマや映画、アニメ、ニュースなども取り上げ、環境政策との関連に言及します。幅広い知識と関心をもって臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:環境政策について、どのような政策課題があるのかの全体像を学びます。
第2回環境政策の歴史:環境問題がどのように展開し、行政がどのような対応をして今日に至ってきたのかを学びます。
第3回環境問題解決の担い手と環境行政の役割:環境問題に対して誰がどのような行動をすることで解決に至るのかを考えます。
第4回環境政策の基本:環境政策を行う上での指針となる環境基本法などの法律について学びます。
第5回環境政策の手法:環境問題に対し、法律をどの様に用いることで、解決が図られるのか、その手法を学びます。
第6回公害防止:公害を引き起こす企業に対し、どのような政策がとられてその結果どうだったのか、企業の対応を評価していきます。
第7回自然保護・動物愛護:自然保護や動物愛護のために行政はどのような働きかけをしてきたのか、政治との関係、経済(観光)との関係が政策どのように影響するのかも検証します。
第8回循環型社会:リサイクルのためにどのような仕組みが造られたのか、消費者の役割、農業との関係などステークホルダーの広がりと併せて考えます。
第9回低酸素社会:エネルギー問題について、将来の社会を見据えてどのような政策をしていくべきか、原子力をどう扱うべきか、日本の未来に向けた政策を考えます。
第10回防災:環境問題が災害にどのような影響を与えるのか、どのような対応をすべきなのか、阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓を環境政策にどう生かすのかを考えます。
第11回環境訴訟対応:環境政策の不備に対し、訴訟が起こされた場合、行政はどのような対応をするべきかを考えます。
第12回環境問題の国際的対応:国際条約の交渉や国連における環境問題対応について、行政がどのような役割を担い、どのような仕事をしているのかを理解します。
第13回外国の環境政策:海外の環境省庁や研究機関は、どのような仕事をしているのか、環境政策にどのような役割を担っているのか、主要国ごとに概観します。
第14回環境経済学・環境社会学からの示唆:環境経済学や環境社会学がどのような学問かを理解するとともに、環境政策についてどのような評価をしているのかを学びます。
第15回まとめ:これまでの講義で触れた事項の要点を確認するとともに、時事的なトピック等を法学の視点で検討します。