環境法Ⅰ
担当者長島 光一教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングNFL-310

授業の概要(ねらい)

 環境法は、学際領域として、様々な法律学の分野の視点、様々な学問領域の視点をふまえた分析が必要となります。
 この講義では、環境問題を様々な視点から考えるとともに、その限界を理解し、その克服として環境法を位置づけて解説をしていきます。
 環境法を理解するためには、①現場でどのような問題が発生してきたのか、②どのような法的な問題があるのか、③その対処に当たって既存の法での対応ができるのか、できないならば、どのような限界があり、それにどのように対応してきたのかという3つのステップが必要となります。
 環境法Ⅰでは、主に③に焦点を当てて、環境法の各分野の法律ごとの構造、条文の理解、判例の考え方、実務での取扱い等を学んでいきます。
なお、ゲストスピーカーも呼ぶ予定もあります。

授業の到達目標

①環境問題を法的な観点から分析することができるようになる。
②憲法・民法・刑法との対比で、環境法の意義を理解できるようになる。
③実際の環境問題に対して、どのように対処すべきか、市民・行政・企業等の立場から法的な対応を実践的に把握できるようになる。
④環境紛争に対し、適切な紛争解決方法を提案できるようになる。

成績評価の方法および基準

学期末にテストを行い評価します(70%)。
また、毎回、リアクションペーパーを求めますので、そこで書かれたことや発言等も重視します(30%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『環境法のフロンティア』(2015年)黒川哲志=奥田進一編成文堂
参考文献『環境法BASIC(第2版)』(2016年)大塚直有斐閣

準備学修の内容

 予習について、教科書の次回の該当頁を事前に告知しますので一読することをお勧めします。また、レジュメに次回の学ぶ範囲の課題を提示しておきますので、それについて自分の考えをまとめておいてください。
 復習について、毎回のレジュメの最後に演習課題を出しますので、各自取り組んでみてください。(翌週に解説をします。)

その他履修上の注意事項

環境問題は身近な課題です。「自分だったら、その問題に対してどのように対処するのか?」という問題意識をもって臨んでほしいと思います。
 なお、講義では、ドラマや映画、アニメ、ニュースなども取り上げ、環境法との関連に言及します。幅広い知識と関心をもって臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:環境法とは何か、環境法体系を概観します。
第2回環境法原則:環境法の基本原則について、その発展の歴史をたどります。
第3回環境保全手法と環境紛争への対応:環境を守るためにはどのような手段があるのか、立法と訴訟による対応を整理します。
第4回環境基本法:環境基本法を読み、環境法における基本的な考え方を理解するともに、基本法のあり方を考えます。
第5回環境影響評価法:環境破壊を予防する環境アセスメントの意義を理解すろとともに、法律ができるまでの長い道のりから、環境法をどのように成立させるのかを考えます。
第6回大気汚染・水質汚濁と法:公害をどのように克服してきたのか、四大公害の対応をたよりに、今日における意義を確認するとともに、現在も残る課題を整理します。
第7回騒音・振動と法:身近な公害である騒音などの被害救済はどのように図られてきたのか、裁判によって何がもたらされたのか、裁判の多様な影響を学びます。
第8回土壌汚染と法:土壌汚染をどのように克服してきたのか、課題の発見と法改正による実務の影響を学びます。
第9回廃棄物処理と法:廃棄物処理法の厳罰化によって、法執行をどのように現実化するか、その対応の変遷を見ていきます。
第10回化学物質と法:化学物質の環境への影響を考えるとともに、消費者生活における環境への配慮を検証します。
第11回まちづくりと法:マンション紛争の実情を知るとともに、紛争を未然に防止するために、まちづくりにどのような法律が必要なのかを考えます。
第12回自然環境保全法:自然環境をどのように守るのか、自然保護の法律の背景を外国の法制度との比較で探ります。
第13回原子力と法:原子力問題について、これまでの原発差止めと原発事故被害の訴訟から安全性や被害救済をどのように図るのかを考えます。
第14回地球温暖化と法:地球規模の環境課題に対し、どのような取り組みがなされているのか、環境についての条約を理解するとともに、国際的な交渉のプロセスを学習します。
第15回まとめ:これまでの講義で触れた事項の要点を確認するとともに、時事的なトピック等を検討します。