教育相談
担当者杉本 真理子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 こども教育コース]
科目ナンバリングESS-202

授業の概要(ねらい)

 今、幼稚園・小・中・高等学校は、いじめを初めとする多くの深刻な問題、保護者の養育・教育に関する不安などに直面しています。教師は、そのような幼児・児童・生徒や保護者に向き合っていかねばなりません。さらに、現在は人との関わりが下手な子どもたちが増えているといわれ、学校現場では予防的・開発的支援の必要性も指摘されています。
 教育相談は、幼児・児童・生徒が自己理解を深めたり、好ましい人間関係を築いたりしながら、集団の中で適応的に生活する力を育み、人としての成長を支援する教育活動です。本科目では、幼児・児童・生徒の発達の状況に即しつつ、個々の心理的特質や教育的課題を適切に捉え、支援するために必要な基礎的知識、カウンセリングの意義、理論や技法に関する基礎的知識を身に付けていきます。 
 しかし、教育相談は頭で理解すればそれで実践に活かせるというものではありません。自分が他者をどう眺め、どう関わっていけるかといった自分自身の見方や態度が開かれていくことが望まれます。そこで、体験学習、グループ学習、映像視聴を含めて多様な教材をできるだけ取り入れて授業を進めていきたいと考えています。現在の子ども達の心の問題についての理解を深め、カウンセリング的な見方を養い、将来現場で教育相談を担う上で役立つ学びを目指します。

授業の到達目標

1、学校教育における教育相談の意義と理論を理解する。
2、教育相談を進める際に必要な基礎的知識、カウンセリンに関する基礎的事柄を理解する。
3、教育相談の具体的な進め方やそのポイント、組織的な取り組みや連携の必要性を理解する。

成績評価の方法および基準

授業毎のコメントペーパーと授業内提出物・小レポート(40%)、定期試験(60%)で評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書使用しません
参考文献『教師と子どもの関係づくり―学校の臨床心理学―』近藤邦夫東京大学出版会
参考文献『教師のための学校教育相談学』岡田守弘監修ナカニシヤ出版
参考文献『ロジャーズ クライエント中心療法 』佐治守夫他有斐閣新書
参考文献『エンカウンターで学級が変わる』國分康孝他図書文化
参考文献『子どものためのアサーション自己表現グループワーク』園田雅代・中釜洋子日本・精神技術研究所
参考文献『子どもの宇宙』河合隼雄岩波新書
参考文献『少年期の心』山中康裕中公新書

準備学修の内容

 ①毎回の配付資料(相当大量になります)をファイルし、授業内容をノートにまとめ、復習に努める。
 ②課題にじっくりと取り組み、期日までに提出する。
 ③授業で行った体験学習から得た態度・技法を実際に日常生活で実施してみる。
 ④自分のコミュニケーション能力、ソーシャルスキルを高めるよう、意識して生活する。
 ⑤関連文献を積極的に読み、レポートにまとめる。

その他履修上の注意事項

 体験学習やグループでの活動があります。これは実際に自分が動き、他者と関わる中で実感することで、理論を深く理解し、自分が変化していくことにつないでいくためのものです。受講生1人1人が自分からやらないと授業が前に進みません。不得意な人もいるでしょうが、勇気を出して、恥ずかしがらずにやってみて下さい。各々が、意欲的に参加すれば、得るものは大きいと思います。
 また、この科目では人の内面を扱いますので、謙虚に取り組んで下さい。

授業内容

授業内容
第1回受講上の注意と導入:①学級開きのエクササイズとシェアリング ②構成的グループエンカウンターに
ついて ③教育相談の意義 ④カウンセリング・マインドとは ⑤受講上の注意
第2回予防的教育相談:①予防的教育相談とは ②学級でできるエクササイズとシェアリング(ⅰ)
第3回開発的教育相談:①開発的教育相談とは ②学級でできるエクササイズとシェアリング(ⅱ)
第4回カウンセリングの方法(1):①3つの聴き方の体験学習 ②「きく」とは
第5回カウンセリングの方法(2):①「聴く・語る」の体験学習 ②カウンセラーの基本的態度
第6回教育相談の基礎理論(1):来談者中心療法
第7回教育相談の基礎理論(2):精神分析的アプローチ
第8回教育相談の基礎理論(3):①行動療法と発達障がいへの応用 ②論理療法とその他の心理療法
第9回教育相談の実際(1):幼児・児童・生徒の心の問題と教育相談・・・不登校、いじめ、非行、不適応、虐待など
第10回教育相談の実際(2):実際のケースから学ぶ、教育相談場面のロールプレイ
第11回教育相談の実際(3):教育相談の進め方、教育相談の計画作成
第12回教育相談の実際(4):スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの役割と仕事の実際
第13回教育相談の実際(5):①スクールカウンセラーの聴き方 ②危機介入について
第14回教育現場における教育相談のシステム:校内組織と役割分担、ネットワーク(校内及び校外機関との連携)
第15回まとめ:①学校と地域による幼児・児童・生徒へのサポートシステム、②全体のまとめと確認