産業・企業研究Ⅰ
担当者若杉 和正教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングMAN-313

授業の概要(ねらい)

本授業の主要なテーマは食品産業の理解です。
食品産業は日本の産業全体のなかでも大きな位置をしめ、国民生活とも密接に関わる産業です。この授業では、まず最初に「食文化」なかでも日本の伝統的な食文化である「和食」と、日本の食文化の歴史を学びます。そのうえで、食品産業の全体像、そのあゆみ、環境変化のなかでの構造変化や課題を整理して行きます。さらに、近年の日本企業のアジア進出やグローバル市場における海外大手企業との競争などを学びます。
この授業を通じて、食品産業で起こっている事を共有しながら、日本の社会・産業・企業行動について広く見識を深めて行きます。(秋期の産業・企業研究Ⅱでは、さらに業界事例研究、企業事例研究が中心課題となります)

授業の到達目標

①日本の食文化の特徴、日本の食品産業の特徴や課題について理解し、他者に説明出来る。
②社会の変化が及ぼす食品産業の変化について理解し、他者に説明出来る。
③グローバル市場における日本の食品企業の特徴や戦略について理解し、他者に説明出来る。

成績評価の方法および基準

講義形式ではありますが、出来るだけ授業のなかで意見発表の機会を設けます。
成績評価は、授業での意見発表(25%)、小テスト・論述式(25%)、期末テスト・論述式(50%)の総合評価を行います。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は定めません
参考文献参考文献は定めません

準備学修の内容

教科書・参考文献は定めませんが、日々の皆さんの生活や情報のなかで「食文化」や「食品産業」にまつわるトレンドやニュースにはアンテナを張って下さい。まずは、「食」というテーマに興味・関心を持つ事です。授業のなかで、皆さんに問いかけ、自分の意見を述べてもらう機会を作ります。授業のなかでも説明しますが、次回のテーマについて自分なりに考え、情報を集めてから授業に臨んで下さい。

その他履修上の注意事項

授業における講義内容はプリントとして授業の終了後に配布します。必ず復習するとともに、次回のテーマについて自分なりに情報を集めてください。「食」にまつわる情報は世の中に多くありますし、私たちの生活にも密接に関わっています。常に興味・関心を持ち、自分なりに問題意識を持つことで、学修効果は向上します。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
自己紹介、授業の目的、授業の進め方を説明します。そのうえで、食品産業を取り巻く大きな変化の視点を確認し、次回以降の授業に臨む姿勢をお話しします。
第2回食文化、和食文化の理解
「食文化」のとらえ方と、日本の伝統的な食文化である「和食」に対する国際的な評価やその特徴を学びます。
第3回日本の食文化の歴史(1)
古代から江戸時代までの日本の食文化の歴史とその形成されてきた背景を勉強します。日本史についての基礎的な知識は求められます。
第4回日本の食文化の歴史(2)
明治時代から現在までの日本の食文化の歴史とその形成されてきた背景を勉強します。
第5回食品産業の発展史
戦後の食品産業の発展、外食の産業化を勉強するとともに、清涼飲料業界、即席めん業界を事例に、革新的な商品が産業に大きな影響を与えてきた事例や企業間競争の実際を見ていきます。
第6回食品産業を取り巻く世の中の変化(1) 人口動態の変化が及ぼす影響
少子高齢化、単身世帯の増加、女性の社会進出等の人口構造や社会生活の変化が「食」及び「食品産業」に及ぼす影響と現代の食品産業が持つ「強み」「弱み」「機会」「脅威」について学びます。
第7回食品産業を取り巻く世の中の変化(2) 訪日外国人旅行者(インバウンド)の動向 
年間4000万人に迫ろうという訪日外国人旅行者の動向と、その経済効果を含めた食品・外食産業への影響を勉強します。
第8回食品産業の現状と特徴  /ここまでの授業を振り返る小テスト(論述式)
日本経済における食品産業の位置づけ(規模・企業数等)、その特徴と課題について勉強します。あわせてここまでの授業の振り返りと、小テスト(論述式)を実施します。
第9回食品流通の現状
食品メーカーと消費者を結ぶ食品流通、生鮮品の市場流通、加工食品の流通の現状と構造変化について学びます。特に、食品小売業として近年注目されている小売業態についてもふれます。
第10回食品産業の新たな動き(中食・宅配市場の拡大)
人口動態の変化や社会生活の変化を背景に、内食・外食が縮小傾向にある一方、調理済み食品を中心に「中食」市場が成長、その現状と背景を勉強します。あわせて最近注目されている、「宅配」市場の現状についてもふれます。
第11回食品産業のアジア進出
食品企業のアジア進出の背景や現状。またグローバル市場における日本企業のポジショニング、海外大手企業との比較等を勉強します。
第12回アジアの加工食品市場
アジア各国の加工食品市場の規模やその特徴、各国のアルコール飲料市場の差異、アジアの小売流通の特徴について学びます。
第13回グローバル企業の海外展開
海外大手食品企業と日本企業の比較、なかでも収益力の差異について分析します。また、具体的な食品企業の海外戦略として、ネスレ、ハイネケン、サントリーの3社について学びます。
第14回持続可能な産業に向けて
食品産業は国民生活に密接に関わる産業として、求められ果たすべき社会的責任も大きなものがあります。地球温暖化対策や食品ロス・産業廃棄物対応をはじめSDGsの視点から、課題を整理するとともに食品企業の具体的な活動にもふれます。
第15回全体のまとめ
授業全体を振り返り、確認すべき内容を再整理します。あわせて、成果を確認する期末テスト(論述式)を行います。