担当者 | 阿部 朝衛教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [史学科] | |
科目ナンバリング | ARC-202 |
現生人類の社会の維持・創造は生物的文化的な再生産を基盤とする。文化的再生産は学習・教育によってなされ、それによる知識・技能の蓄積によって新たな文化・技術が創造される。学習・教育活動において、子ども期の養育環境・学習過程が重要な意味を持つことは明らかである。人類以外の生物でも学習は個体・集団の維持に役割を果たすが、人類ではそれが著しい。したがって、これらの行動は人類の出現以降の進化的産物であり、身体・脳の進化と文化の蓄積との相互の関係で形成されてきたと考えられる。本講義では、この進化過程を子ども期に焦点を当てて検討する。すでに猿人・原人・旧人の子どもの生育環境などの検討を行っているので、今年度はH・サピエンスの子どもの諸環境・学習過程を、猿人・原人・旧人の考古学資料との比較によって、その特殊性や普遍性を考察する。春期では、人類進化の概要、サピエンスの生物的・文化的特殊性を検討する。秋期では、サピエンスの子どもへの養育活動、石器製作・描画に関わる技能の獲得に焦点を当て、子どもの学習過程を検討し、春期の検討結果を含めて、サピエンスの子どもの生育環境・学習過程を総合的に考察する。
春期では下記の①・②を主に求め、秋期では③・④を求める。秋期の講義内容は春期の講義内容を前提としているので、秋期のみの履修では③・④に到達することは困難である。
①人類進化の概要を理解できる。
②人類進化上での子ども期の重要性が理解できる。
③人類進化上、子ども期・学習期間の延長、それに伴う社会的な投資の増大が起こっていることを理解できる。
④サピエンス段階での子ども期の特殊性・普遍性が理解できる。
授業時間の最後で行うテストによって判断する。授業途中で講義内容の難易度をアンケート等によって確認し修正を加えるので、テストの解答を恐れる必要はない。出席し、講義に集中することは当然のことである。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 特になし | ||
参考文献 | 進化の意外な順序 | アントニオ・ダマシオ | 白揚社 |
参考文献 | 他は、春期の参考文献参照 |
講義の都度、必要な課題を提示する。
文化遺物の説明時に、考古学実習室に保管している石器やその材料などの重量物を教材とする場合、考古学実習室に移動することもある。その際は、事前に説明を行うので、了解を願いたい。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 導入:秋期の講義概要 |
第2回 | サピエンスのライフ・ヒストリー |
第3回 | 病気・外傷と介護 |
第4回 | 埋葬の時代的変化と地域性:埋葬姿勢・施設・副葬品 |
第5回 | 子どもの埋葬と大人の埋葬 |
第6回 | 洞窟内の足跡と手形 |
第7回 | 洞窟壁画と子ども |
第8回 | 集団構成と石器出土地点の環状配置 |
第9回 | 集団の遊動域と社会的ネットワーク |
第10回 | 新潟県荒川台遺跡(帝京大学発掘)の概要:「荒川台 へたくそどもが 夢の跡」:遺跡内行動研究の転換 |
第11回 | 石器製作技能認定基準 |
第12回 | 学習の場(石刃石器群) |
第13回 | 学習の場(細石刃石器群) |
第14回 | 石器製作学習・教育形態:ネンデルタールとの比較 |
第15回 | 総括、試験 |