西洋史特殊講義2C-Ⅰ
担当者工藤 則光教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-203

授業の概要(ねらい)

①春期は、特に百年戦争期の歴史を当事国であるフランスとイングランドを中心にその他隣国の動向も含めて取り上げ、その後の歴史をヴァロワ朝フランス王国史を中心に概観する。なお、百年戦争期を前期と後期に分けるが、後期は1400年に始まったとする。
②できるだけ内外の西洋史研究者についても紹介したい。それは、歴史研究に限らないことだが、学問においては先行する研究史を無視することができないからである。
③教材として英文の史資料を取り上げ、英語読解力の向上の一助としたい。
※英語を学ぶだけで大変(だった)かもしれないが、西洋史コースの学生には英語以外の言語をぜひ学んでもらいたい。また、東洋史や日本近現代史で卒業論文を書く学生も英語以外の言語にチャレンジすべきである。本学では「国際コミュニケーションⅠ・Ⅱ」としてフランス語(仏語)、ドイツ語(独語)、スペイン語(西語)、ロシア語(露語)を、外国語学部設置のオープン科目として「選択イタリア語初級Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」および「選択イタリア語中級Ⅰ・Ⅱ」、「選択イタリア語上級Ⅰ・Ⅱ」が開設されている。ただし、どの言語もⅠから順番に履修し単位を取得する必要がある。

授業の到達目標

①西洋前近代史について基本的知識を獲得すること。
②世の中の動きを歴史的に考えるための視点を身につけること。
③西洋史を日本語だけでなく最低限英語で読んで考えることが重要であるということを認識する。

成績評価の方法および基準

 受講者数にもよるが、原則小リポート・小テスト・授業への積極的参加など40%と期末テスト60%で評価する。
①小リポートは基本的に講義中に提出するリアクション・ペーパーを指し、受講者数にもよるが、原則毎回実施する。
②期末テストは定期試験日に行われることもある。
③原書講読ではないので、英語力自体は成績に反映させない。
※西洋史や東洋史、日本近現代史を志すなら、英語のリーディング力を高める努力をすること。
◎遅刻は原則2回で1回の欠席とする。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書使用しない。
参考文献『中世英仏関係史 1066-1500 ノルマン征服から百年戦争終結まで』(2012年)①朝治啓三、渡辺節夫、加藤玄編創元社
参考文献『百年戦争―中世末期の英仏関係』(2010年)②城戸毅刀水書房
参考文献『百年戦争期フランス国制史研究―王権・諸侯国・高等法院』(2012年)③佐藤猛北海道大学出版会
参考文献『ブルボン公とフランス国王―中世後期フランスにおける諸侯と王権』(2014年)④上田耕造晃洋書房

準備学修の内容

①講義で扱う時期の、特に政治史は日本語で読むことができる本が少ないので、政治史を中心に大量のプリントを配布するので、事前によく読んでおくこと。
②関連する参考文献・論文が多いので、適宜紹介する。そうした文献・論文以外に授業内容の理解を深めることができる教材を紹介するので、事前に読んだり見たりするとよい。また、現在日本や世界で起きていることに関心を持つこと。最低限一日1回はニュースをチェックして動向なりを押さえておくこと。この授業とは直接関係ないかもしれないが、色々な意味で過去と現在はつながっているので、意外な接点に驚くこともあるだろう。
③日本史を専攻する教職志望者は世界史Bの教科書を今一度読んでおくこと。

その他履修上の注意事項

①英文を提示されたなら、事前に日本語訳をする努力をしてもらいたい。
②卒論は文庫や新書だけを読んで書くことができないので、早い時期から専門書および専門論文を読んで、読書が苦にならないようにすること。
③西洋史コース以外の学生の履修を認めるが、扱う内容は高校教科世界史Bにおいて全く取り上げられていない事項などが多いので、それなりの覚悟をもって受講すること。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
1.授業の進め方、評価方法など
2.ヨーロッパ諸国の地図
3.参考文献紹介:西洋史概説書を中心に
第2回Ⅰ.前史
1.カペ朝とアンジュ帝国
第3回2.ヴァロワ朝成立史とプランタジネット朝
第4回Ⅱ.百年戦争期の歴史:英仏史を中心に
1.前期百年戦争期通史①
第5回1.前期百年戦争期通史②
第6回1.前期百年戦争期通史③
第7回特論①:黒死病
第8回2.後期百年戦争通史①
第9回2.後期百年戦争通史②
第10回2.後期百年戦争通史③
第11回2.後期百年戦争通史④
第12回特論②:ジャンヌ・ダルク
特論③:ブルゴーニュ公国
第13回Ⅲ.百年戦争からの回復と「フランス国民の国家」出現
1.ルイ11世治世期
第14回2.シャルル8世治世期
第15回まとめとテスト