西洋史特殊講義1C-Ⅱ
担当者
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-202

授業の概要(ねらい)

 ローマ時代の伝記作家プルタルコスが書いたアレクサンドロス大王伝を素材として、史料批判の方法を学ぶ。アレクサンドロスの生涯については、、彼の生前からさまざまな伝承や創作が積み重ねられ、それらがさらにローマ帝政期の知識人たちによって取捨選択されて、現存する大王伝が成立した。よってアレクサンドロスの治世を再構成するには、大王伝を一字一句厳密に読み解いて事実と創作を見分けると同時に、ローマ時代の価値観による人物像の偏りを明るみに出すことが不可欠である。そうした史料批判をふまえて、彼の治世をギリシアから中央アジアに至る広大な世界に位置づけ、大王の歴史的意義を考える。

授業の到達目標

 大王伝を一字一句厳密に検討し、事実と創作を識別できること
 大王伝から著者自身のアレクサンドロス像を読み取り、それを的確に表現できること
 史料から自分なりのアレクサンドロス像を再構成し、彼の歴史的意義を明らかにできること
 

成績評価の方法および基準

 中間試験40%、期末試験60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書「アレクサンドロス伝」プルタルコス授業用テキストを無料配布する
参考文献「アレクサンドロスの征服と神話」森谷公俊講談社学術文庫

準備学修の内容

 テキストの指定された箇所をあらかじめ読んでくること

その他履修上の注意事項

 毎回小さな課題で答案を書いてもらい、その提出をもって出席を認定する

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
古代マケドニア王国史概説・アレクサンドロス大王伝解説
第2回フィリッポス2世の遺産
アレクサンドロスの即位と東方遠征論
第3回ダレイオス3世の即位とペルシア情勢
グラニコスの会戦
第4回ゴルディオンの結び目伝説
第5回イッソスの会戦とフェニキア平定
第6回エジプト平定とアモンの神託
第7回ガウガメラの会戦とバビロン占領
第8回前半のまとめと中間試験
第9回ペルセポリス放火事件とダレイオス3世の最期
第10回東方政策とその矛盾・フィロータス事件
第11回クレイトス事件・跪拝礼導入と近習たちの陰謀
第12回インド侵攻・ポーロス王との会戦・反転
第13回治世末期の帝国情勢・大王の死
第14回後継者戦争の開始・アレクサンドロスの歴史的意義
第15回後半のまとめと期末試験