中国経済論Ⅱ
担当者員  要鋒教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングECP-312

授業の概要(ねらい)

 本授業は、歴史からみた中国経済と、中国改革開放以降に行われる企業制度・財政制度・金融制度・資源配分・都市化と工業化・WTO加盟と経済のグローバル化等の経緯・変化・現状を理論と実証両面から分かりやすく講義するとともに今現在深刻の環境問題・経済格差と貧困問題・経済成長の持続性等中国経済の負の側面を取り上げてやさしく丁寧に解説する。また、授業中に確認テストや質問等を通じて受講生の理解度を常に確認しながら、受講生の理解を最優先として授業内容を調整して進行する。
 中国経済では、1978年に始まった改革開放政策から急速な経済成長を遂げて、現在では物品貿易量世界1位・GDP世界第2位(2017年)の経済大国になっている。この長期間(約40年)にわたって高度経済成長をどのように実現したか、そしてどのようにGDP世界第2位になったか理解するために、改革開放以降における中国の政治経済改革等理解するだけではは不十分である。より長期的な視点で中国の政治社会と経済制度の変化を確認する必要がある。また、急速に悪化している環境問題や広がりつつある格差・貧困問題、経済成長の「質」の向上、そして経済成長の持続性等いわゆる経済成長の陰の面も授業中に取り上げて、負の側面についてもデータや資料等に基づいて説明・議論を通じて理解を深めたい。

授業の到達目標

 ①ダイナミックに変化する中国経済について理解して例をもって簡単に説明できること。
 ②経済理論から中国経済高度成長を分析することで中国経済改革の成功点と失敗、その課題を、部分的でもわかりやすく解説できること。
 ③中国経済改革開放の政策の変化や外資企業進出の変化特に日系企業の進出過程等に関して一定程度に整理できること。

成績評価の方法および基準

 講義中に行う確認試験(60%、前回の授業内容を中心)と定期試験(20%)及び授業参加度(20%、授業中の態度、質問や発言等)を以て総合的に評価する。
 授業中に積極的に発言したり、質問したりなどは、加点することもありうる。但し、授業の基本的なルール(私語の禁止等)を守らない場合は、評価対象外とする。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は指定しないが、授業中資料を配布する
参考文献 『現代中国経済論』 加藤弘之・上原一慶ミネルヴァ書房
参考文献 『中国経済入門 高度成長の終焉と安定成長への途』 南亮進・牧野文夫日本評論社
参考文献 『中国経済史入門』 久保亨東京大学出版会
参考文献 『中華新経済システムの形成』 高橋満創土社
参考文献 『中国経済学入門―「曖昧な制度」はいかに機能しているか』 加藤弘之名古屋大学出版会
参考文献 また、授業の進捗に応じてその参考文献や資料等を指示する。

準備学修の内容

 ・テレビやインターネットなどの中国経済に関する内容について関心を持つことと興味のあるテーマについて深く調べること。
 ・授業の進捗に合わせて指示した記事や文献をよく読みこんで理解すること。

その他履修上の注意事項

 ・授業中に行われる確認テストに必ず参加すること。
 ・授業中に基本的なルール(勝手な私語・立ち歩き等迷惑行為の禁止等。詳細は初回の講義にて)を厳正に求めること。それにより成績評価対象外になることをご留意ください。。
 ・中国経済論Ⅰと中国経済論Ⅱの内容が一体化になっており、通年で両方とも履修することが望ましい。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション:春期授業の振り返り、中国経済改革の概要、秋季講義概要説明等
第2回 銀行システムについて、主に改革初期の市中銀行設立(経済市場化の準備と資金調達システム整備)と中央銀行制度の確立や国有銀行の不良債権処理経緯・株式市場上場と現状等
第3回 金融市場の形成。株式市場と債券市場の整備・発展・現状・課題、特に上場制度。中国の為替市場と為替レートについて
第4回 高い貯蓄率と資本形成率と経常収支黒字:貯蓄率の高まり・投資・貯蓄率と経常収支の関係からみる経済成長等
第5回 土地制度・住宅市場:農村の土地集団所有と都市部の国有・所有と使用権・都市部住宅改革・高騰の不動産価格等
第6回 インフラ整備と建築産業・不動産産業:交通整備(高速道路・高速鉄道・貨物列車)・港の整備等
第7回 エネルギーと環境問題:石炭・環境悪化・石油の輸出国から世界最大輸入国・天然ガスの普及等
第8回 授業の振り返り・復習・中間テスト
第9回 都市化と戸籍制度:都市化率・都市化と経済成長・戸籍制度
第10回 格差問題と貧困問題:都市と農村の格差・都市内部の格差・絶対貧困・貧困対策等 
第11回 人口と労働市場:人口構成の変化(人口ボーナス・ルイスの転換点)・賃金水準・就職・労働市場等
第12回 消費市場の変化:低調の個人消費から個人消費の隆興・中間層の拡大・社会保障制度との関係等
第13回 持続的な経済成長と構造改革:新常態・過剰投資・成長モデルの転換等
第14回 日本経済との関係:日系企業の中国進出・成功する企業・日本経済への影響・今後の課題等
第15回 中国経済成長の要因と課題の分析・総括・期末定期試験