被害者学
担当者堀田 晶子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングCRL-306

授業の概要(ねらい)

被害者学は、1940年代後半に誕生した新しい学問であり、日本で注目を集めたのは1970年代になってからである。犯罪被害者は長らく刑事司法制度から忘れられた存在であったが、被害者学の発展を通じてその窮状が明らかになるにつれ、被害者の権利及び支援体制の確立の必要性が認識されるに至った。刑事手続の全体像を把握するには、加害者だけでなく、犯罪によって甚大な損害を被った被害者に焦点を充てることは不可欠である。本講義では、旧来の刑事司法にパラダイム・シフトを迫った被害者学の意義と歴史を振り返ると共に、犯罪被害者の実情と支援の在り方を検討する。

授業の到達目標

①犯罪被害の影響を把握し、警察や司法機関の対応、犯罪者処遇との関係性にも目を配りながら、刑事手続の全体像をイメージできる。
②犯罪被害の分析を通じて、被害者のニーズを知り、求められる支援の在り方について、具体的に説明することができる。
③被害者学の意義や歴史を踏まえ、犯罪(紛争)を解決するための手段について、自分の考えをまとめることができる。

成績評価の方法および基準

試験によって評価する。評価配分の目安は、試験90%、授業への貢献度10%である。授業への貢献度は、勉学に対する意欲や授業態度等によって総合的に判断する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特に指定しない。授業では毎回レジュメを配布する。
参考文献犯罪被害者白書国家公安委員会・警察庁〔編〕(警察庁HPより閲覧可)
参考文献被害者学と被害者支援の意義・歴史については下記参照。
参考文献『犯罪被害者支援の基礎』(2000)宮澤浩一・國松孝次〔監修〕東京法令出版

準備学修の内容

特に復習に力を入れてください。毎回の授業で扱ったテーマについて、レジュメやノートを読み返しながら、復習しましょう。疑問点が出てきたら、参考書を熟読し、適宜、学術論文等にもあたってみてください。法務省や警察庁など公共機関のHPも参考になります。自分で調べても答えが出ない問題については、友人と議論したり、教員に質問したりすると良いでしょう。図書館を大いに活用してください。

その他履修上の注意事項

①春期の「犯罪学」と「少年法」を履修しておくことが望ましいです。また、秋期は「刑事政策」を同時に履修することをお勧めします。
②授業をよく聞いて、その都度レジュメに書き込むか、ノートを取るようにしてください。自分で書いて、理解することが大切です。授業の内容が聞き取れなかった場合は、あやふやのままにせず、すぐに教員に確認してください。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーションー被害者学を学ぶにあたってー
第2回被害者学の意義と歴史/被害者学の基礎理論
第3回犯罪被害の影響ー第一次被害者化・第二次被害者化・第三次被害者化ー
第4回被害者支援①ー犯罪被害者等基本法―
第5回被害者支援②—経済的被害の回復ー
第6回被害者支援③-精神的・身体的被害の回復ー
第7回刑事手続と被害者①ー警察段階・検察段階ー
第8回刑事手続と被害者②ー公判段階ー
第9回刑事手続と被害者②ー矯正・保護段階ー
第10回刑事手続と被害者④ー民間団体の活動ー
第11回各種犯罪被害①ー殺人/交通犯罪ー
第12回各種犯罪被害②ー特殊詐欺ー
第13回各種犯罪被害③ーDV・児童虐待・ストーカーー
第14回修復的司法とは何か
第15回春期のまとめと試験