法学Ⅱ
担当者木村 友久教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングLAW-102

授業の概要(ねらい)

 知的財産とは「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」(知的財産基本法第2条)と定められています。
 本授業では、簡単に知的財産の全体像を確認した後で、コンテンツ産業から製造業まで幅広い分野における入門的な知財管理、契約実務、契約交渉について、身近な事例をテーマとした初歩的な実務能力の獲得を目標とします。

授業の到達目標

知識・理解の観点・・・知的財産が関係する各種の業務について、知財の観点から実務処理を俯瞰して、現場における運用や契約実務を遂行する基本的知識を修得する。
思考・ 判断の観点・・・知的財産が関係する各種の業務について、現場における知財の観点からの運用で知財リスク軽減を見通した判断ができる。
関心・意欲の観点・・・知的財産が関係する各種の業務について、現場における知財の観点からの運用と契約交渉で積極的な対応ができる。
態度の観点・・・知的財産が関係する各種の業務について、現場における知財の観点からの運用で自律的に主体的な行動ができる。
技能・表現の観点・・・知的財産が関係する各種の業務について、現場における知財の観点からの運用と契約実務について初歩的能力を獲得する。

成績評価の方法および基準

評価方法:1.毎時間のワークシート(60%) 2.最終レポート(40%)
評価基準:1.毎時間のワークシート・・・知財管理の知識、理解、契約実務能力を測定 知財管理におけるリスク管理と運用に必要な知識と契約実務スキルを獲得する。知財管理と契約実務について、例題レベルの処理ができる。クーループワーク、ペアワークなどの討議に積極的に参加する。
     2.最終レポート・・・思考、判断、関心・意欲を測定 講義(予習復習を含む)を通して獲得した知財管理と契約実務の知識とスキルを統合して、現場での初歩的な知財リスク管理と契約実務を主体的に担当できる。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書なし
参考文献なし

準備学修の内容

各回のレジュメをLMSに掲載します、事前にダウンロードしてください。
●事前に、下記の権利管理団体のホームページで契約書の配信ページをざっくりと閲覧してください。
一般社団法人日本書籍出版協会
http://www.jbpa.or.jp/index.html
●事前に、下記の権利管理団体のホームページで、音楽を使う人の手続処理の個所を閲覧してください。
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
https://www.jasrac.or.jp/
株式会社NexTone
https://www.nex-tone.co.jp/
●事前に、下記のホームページからpdf版の無償テキストをダウンロードしてください。
知的創造活動と知的財産
https://www.inpit.go.jp/jinzai/educate/manual/souzou_chizai.pdf
知っておきたい特許契約の基礎知識
https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/info/tebiki_1009.pdf

その他履修上の注意事項

授業では、クーループワーク、ペアワークによる討議と討議した内容をワークシートに記入する作業を行い、知的財産について初歩的な実務運用と契約交渉能力獲得を目指します。積極的な授業参加を希望します。
下記のパテントサロンHPは、知的財産の記事が掲載されたポータルサイトです。閲覧をお勧めします。
http://www.patentsalon.com/

授業内容

授業内容
第1回講義内容の説明
講義内容と進め方、知的財産制度の概要、社会活動における知財管理の必要性および契約の重要性を説明する。
第2回スーパーマーケットのチラシ広告、web広告を教材にして、この具体事例をもとに知財管理とリスクマネジメントを討議する。
第3回音楽著作権等の実務処理(1)
森のくまさん事件、おふくろさん事件をテーマに著作権等の管理リスクを討議する。日本音楽著作権協会と株式会社NexToneのホームぺージで、著作権利用手続の演習を行い、ワークシートに記入する。
第4回音楽著作権等の実務処理(2)
いわゆる原盤権について、その概要説明を行う。アーテイスト・所属プロダクション・原盤権者・レコード会社が参画するいくつかの仮想事例を用いて、原盤権契約の演習を行い、ワークシートに記入する。
第5回写真著作物の実務処理
写真著作物の利用シーン別、著作者・著作権者・利用者の各立場別に、契約交渉と契約書作成演習をを行い、ワークシートに記入する。
第6回出版における実務処理
出版にかかわるステークホルダー別に、契約交渉と契約書作成演習を行いワークシートに記入する。各種著作物別の処理、結合著作物、共同著作物、著作者・著作権者に海外の権利者が含まれる場合等々、いくつかのケースで検討する。
第7回映画・放送における実務処理
映画業界、放送業界における基本的な契約処理について、いくつかの仮想事例を用いて契約書作成演習を行い、ワークシートに記入する。
第8回標識法領域における実務処理(1)
商標(登録商標・事実上の商標)の利用シーン別に契約交渉と契約書作成演習を行い、ワークシートに記入する。あわせて、禁止権部分のライセンス契約の手法についても検討する。
第9回標識法領域における実務処理(2)
ネーミングライツ事業の全体像説明。ネーミングライツの契約処理と管理演習を行い、ワークシートに記入する。
第10回意匠デザインの実務処理
プロダクトデザイン、店舗デザイン等の利用シーン別に契約交渉と契約書作成演習を行い、ワークシートに記入する。2020年4月1日に施行された意匠法改正を反映した契約実務を検討する。
第11回技術契約における実務処理(1)
上市までを見通した一連の技術契約の全体像とその必要性を説明する。秘密保持契約、共同研究契約、受託研究契約について、いくつかの仮想事例を用いて契約書作成演習を行い、ワークシートに記入する。
第12回技術契約における実務処理(2)
仮想事例でライセンス料率の計算をするとともに、それを組み込んだ通常実施権契約書や専用実施権契約書作成演習を行い、ワークシートに記入する。
第13回技術契約における実務処理(3)
ソフトウェア・プログラムに関して、特許法と著作権法の両面からの仮想事例を用いて契約書作成演習を行いワークシートに記入する。ある種の技術契約で必要とする標準化の概要を説明する。
第14回契約交渉と契約の総合演習
各自が最終レポートにまとめる、総合的な演習課題について討議する。
第15回まとめと最終レポート作成