担当者 | 木村 友久教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [総合基礎科目] | |
科目ナンバリング | LAW-101 |
知的財産とは「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」(知的財産基本法第2条)と定められています。
知的財産は、土地や机・椅子のように形がある財産(有体物)とは異なり、同時に別の場所で使用することも可能であり直接的支配が難しい無体物(アイデア等の情報)として存在しています。従って、権利の獲得、保護、活用の各局面で無体物としての特性に応じた権利者側のコントロールが必要になります。また、知的財産の受け手側にも、何処に知的財産が存在しどこまで利用できるのかという適切な判断が求められています。
本授業では、受講者が知的財産の概要を理解するとともに、レポートや論文作成時に必要とする知的財産の知識など、身近な事例をテーマに概念の理解や初歩的な知的財産対応力の形成を図るものとします。
知識・理解の観点・・・各種の知的財産について基本的事項を修得する。
思考・ 判断の観点・・・知的財産に関する事象を、合理的に整理できる。
関心・意欲の観点・・・知的財産が関わる事案に、積極的に対応できる。
態度の観点・・・知的財産に関して、関係者の真の利害関係を把握して初歩的な対応を提案できる。
技能・表現の観点・・・知的財産情報を検索して、その内容を簡単に他者に説明できる。
その他の観点・・・自己の専門領域について、知的財産の知識とスキルを応用する基礎的な能力を獲得する。
評価方法:1.試験・小レポート(50%) 2.ワークシート(50%)
評価基準:1.試験・小レポート・・・知識、理解を測定 教科書や講義で扱った知識項目に関する問題や例題レベルの問題に解答できる。
2.ワークシート・・・思考、判断、関心・意欲を測定 講義(予習復習を含む)を通して理解・実感したことを整理し、まとめることができる。クーループワーク、ペアワークなどの討議に積極的に参加する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | これからの知財入門~変革の時代の普遍的知識~(第3版) | 山口大学知的財産センター | 日経BP社 |
参考文献 | なし |
1.事前に、ご自身のパソコンあるいは携帯端末のブラウザで、下記ホームページをブックマークしてください。
パテントサロンホームページ http://www.patentsalon.com/
法令データ検索システム https://elaws.e-gov.go.jp/
2.パテントサロンホームページを参照して、授業前一週間にアップロードされた話題の中で最も興味があるテーマを選んでおいてください。
3.授業の復習として、教科書末尾にある各章(各時間)の宿題ワークシートを完成させてください。
教科書末尾に、ワークシートと宿題シートが付属しています。ワークシートは、授業の際に記入したうえで回収します。履修確定時点までに入手してください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 知的財産の全体像 各種の知的財産の基本知識とそれらが社会に及ぼす作用を、グループワークも併用して検討する。例えば、初音ミクのサンプリング音源を提供した声優の権利をどのように確保するかをテーマに討議を行いワークシートに記入する。ビジネスや日常生活で新たな仕組みを提案する際に知的財産を含めた戦略的行動を可能にするため、複数のテーマを設定して討議を行う。 |
第2回 | 著作権の基礎知識 著作権法の基本的な枠組みと、この法律で規定されている各種の権利を概観する。著作物から派生して身の回りで発生した、あるいは想定されるリスク事例を挙げ、ペアワークで討議してワークシートに記入する。 |
第3回 | 著作物の定義と著作物性の判断基準 著作物の定義を理解する。具体的な事例として、「金魚電話ボックス」の判決を利用して著作物性を検討するとともに、画像、音楽、文章、プログラム、写真等々の、異なる領域の創作物について著作物性を判定するペアワークを行う。 |
第4回 | 著作権法に定められている権利 著作者人格権、著作権、著作隣接権、出版権について基本的な知識を獲得する。ワークシートで知識の理解を確認する。 |
第5回 | 二次的著作物とパロディ表現、著作権の個別権利制限規定 パロディ表現をテーマに、二次的著作物について検討する。「キンタロー。」の振り付け等を動画で視聴しながら、原著作物と二次的著作物の関係を討議してワークシートに記入する。 私的複製、引用、授業の過程における複製等、その他の権利制限規定の基本的な知識を獲得し、ワークシートで知識の理解を確認する。 |
第6回 | 著作権等による紛争事例 マリカー事件、ファッションショーの写真事件、論文盗用事件などの紛争事例をテーマにして、討議を行う。 |
第7回 | 産業財産権の基礎知識-特許制度(1)- 各種の特許発明を調べてみよう(コーヒーのドリップパック、いきなりステーキ、カード台紙、しょうゆ容器)、発明の定義 |
第8回 | 産業財産権の基礎知識-特許制度(2)- 特許要件、権利範囲解釈の基礎知識、ライセンス契約の初歩的知識 |
第9回 | 物品および店舗デザイン等の保護-意匠制度- 商品デザインの保護、画面デザインの保護、Appleのデザイン戦略を調査してワークシートに記入する、店舗デザインをどのように保護するのか討議を行う。 |
第10回 | 識別機能を有するマーク(標章)等の保護-商標制度- 商品あるいはサービスを識別するマークがどのように使われているのか、ペアワークで討議する。帝京大学の商標を調べてみよう。商標の登録要件、権利範囲の解釈、「モンシュシュ」商標の紛争をテーマにブランド戦略を討議する。 |
第11回 | 不正競争防止法の基礎知識-商品形態の保護を中心として- 不正競争防止法の役割と性格、不正競争行為の類型、 |
第12回 | 著作権とビジネス-音楽・写真・映像の著作権管理- 音楽ビジネスの全体構造、音楽著作権の権利処理、原盤権、音楽著作権処理とグランドライツの関係等について基本的な知識を獲得する。 写真に関連するビジネスの全体構造、映像に関連するビジネスの全体構造について基本的な知識を獲得する。近隣のスーパーマーケットのチラシや店舗で流されている音楽等を調べて、知財リスクと新たな仕組みをグループワークで討議する。 |
第13回 | 知的財産情報へのアクセス-特許・意匠- J-PlatPat(独立行政法人工業所有権情報・研修館のデータベース)を利用して、特許情報・意匠デザイン情報を検索する。取得した情報を元に、特定企業の戦略を推測しワークシートに記入する。 |
第14回 | 知的財産情報へのアクセス-商標・植物新品種・音楽等- J-PlatPat(独立行政法人工業所有権情報・研修館のデータベース)を利用して、商標情報を検索する。取得した情報を元に、特定企業の戦略を推測しワークシートに記入する。 農林水産省の品種登録データベースの概要を理解する。JasracおよびNexToneの楽曲データベースの概要を理解する。 |
第15回 | 事業戦略と知的財産の関係 これまでに獲得した知識とスキルを使い、特定の企業あるいは団体の事業戦略と知的財産の関係をグループワークで討議しワークシートに記入する。 |