学校教育における発達障害児への支援は、障害の特性を理解した上での授業づくりが必須である。この授業では、発達心理学、認知心理学、行動分析学、発達障害研究、脳科学等の学際的な立場から、障害特性をふまえた授業づくりについて、演習を通して指導方法の工夫や教材の作成などについて理解し、より効果的な授業方略への視点を持つための知見を深める。その上で、通常学級の授業づくりや学級経営を考えるにあたっての方向性について考察を深める場とする。
各種発達障害の特性を理解して、具体的な事例を通して指導の工夫ができるようにするほか、授業における適切な配慮や指導について理解できるようにする。
出席・授業態度(30%)・演習での発表(40%)、レポート(30%)で総合的に評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『発達障害研究から考える通常学級の授業づくり ―心理学、脳科学の視点による新しい教育実践』 | 宇野宏幸・小島道生・井澤信三(著) | 金子書房 |
教科書 | 『入門特別支援学級の学級づくりと授業づくり ―初めての特別支援学級担任のために』 | 佐藤曉(著) | 学研プラス |
参考文献 |
(1)自己の担当でない発表回についても予習して、授業で疑問点を提示できるようにする。
(2)レポート課題等は期日を守って作成・提出する。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 発達障害の理解と授業づくり(講義) 授業全体のオリエンテーションとして、発達障害の定義と学校教育での問題点・演習の進め方・発表の内容と方法等を講義し、演習における分担を決定する。 |
第2回 | 注意(障害特性・授業づくり)(演習) 主としてADHD(注意欠陥多動性障害)に多くみられる注意の障害について、その特性と授業づくりを演習する。 |
第3回 | 社会的認知(障害特性・授業づくり)(演習) 主としてASD(自閉症スペクトラム症)に多くみられる社会的認知の障害について、その特性と授業づくりを演習する。 |
第4回 | 社会的学習(障害特性・授業づくり)(演習) 主としてADHD(注意欠陥多動性障害)に多くみられる社会的学習の障害について、その特性と授業づくりを演習する。 |
第5回 | 情動と動機づけ(障害特性・授業づくり)(演習) 主としてADHD(注意欠陥多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム症)に多くみられる情動と動機づけの障害について、その特性と授業づくりを演習する。 |
第6回 | 言語と認知(障害特性・授業づくり)(演習) 主としてLD(学習障害)に多くみられる情動と動機づけの障害について、その特性と授業づくりを演習する。 |
第7回 | 実行機能と認知の統合(障害特性・授業づくり)(演習) 主としてADHD(注意欠陥多動性障害)やLD(学習障害)に多くみられる実行機能と認知の統合に関する障害について、その特性と授業づくりを演習する。 |
第8回 | 自己(障害特性・授業づくり)(演習) 発達障害児全般でみられる自己(概念・評価・感情・効力感・決定・制御)の障害について、その特性と授業づくりを演習する。 |
第9回 | 環境整備・授業づくり(演習) 教室での発達障害児支援について、年度末から年度はじめにおける環境整備等をテーマに演習する。 |
第10回 | 学級づくり・保護者との関係づくり(演習) 教室での発達障害児支援について、「学級づくり」「保護者との関係づくり」をテーマに演習する。 |
第11回 | 自立活動の指導・「困り感」の理解(演習) 発達障害児への自立活動の指導と、「困り感」の理解について演習する。 |
第12回 | 子どもをつなぐ授業・子どもをつなぐ交流(演習) 通級指導と交流教育について演習する。 |
第13回 | 行事の指導・事例検討(演習) 学校行事における発達障害児支援について演習する。 |
第14回 | 学年を超えた指導・次年度への引き継ぎ(演習) 教室での発達障害児支援について、次年度への引き継ぎを中心に演習する。 |
第15回 | 全体の振り返りとまとめ |