担当者 | 鷲尾 善典教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [総合基礎科目] | |
科目ナンバリング | EDU-102 |
本講義(教育学Ⅰ・教育学Ⅱ)では、「教育学を学ぶ」。(Ⅰ・Ⅱについては独立に受講することは可能である)。
まず、受講生一人ひとりにとって今、教育学を学ぶことの意味と意義を問うことから始める。
この問い方は主題的な問いを問う前にその根拠を問う(“そもそも”を問う)という意味で遡及的であり、その営みこそ「知を愛すること(philosophy)」としてきわめて「哲学的」である。
本講義(教育学Ⅰ・教育学Ⅱ)では、「教育学」を成立させている歴史的・普遍的根拠を探求する。
そこでは二つの柱があり、一つは「人間形成としての教育学」とその前提となるべき「他者理解(人間理解)としての教育学」である。
教育学Ⅱでは、後者に比重を置く。
受講生の諸君が切り劈くべき未来には、解決困難なグローバルな問題が山積している。
そのような問題に対峙し解決してゆかねばならないのが我々人類であり一人ひとりの人間であるが、一方そもそもそのような問題を作り出しているのもの我々人類であり一人ひとりの人間である。
ならば問題に対峙するためにはまずそれを問題としている己自身(人間自身)を省みることが必要なのである。
「反省的」・「遡及的」という言葉をキーワードに人類の歴史から、また自らの歴史(自分史)から「教育学的」な知見を掘り起こしてほしい。
なお、具体的に学ぶ内容は教育学Ⅰとは独立しているので、教育学Ⅱから受講することも十分可能である。
教育場面を含む日常生活において自分が体験したことや見聞したことから教育(学)的な見地において問題点を見つけることができ、それを追究していくことのできるいくつかの思想的な枠組みを持つこと。
平常点(授業内レポート課題の提出状況とその内容)40%、期末試験60%。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書として特定のテキストを指定することはしない。参考図書は適宜紹介する。 | ||
参考文献 | 星の王子さま | サン=テグジュペリ (著), 内藤 濯 (著) | 岩波書店 |
参考文献 | 星の王子さまの世界―読み方くらべへの招待 | 塚崎幹夫 | 中央公論社 |
参考文献 | 人間の大地 | サン=テグジュペリ (著), 渋谷 豊 (翻訳) | 光文社 |
参考文献 | 現象学的心理学 | アーネスト・キーン(著)、吉田章宏他(訳) | 東京大学出版会 |
参考文献 | ことばが劈かれるとき | 竹内敏晴 | 筑摩書房 |
参考文献 | この子らは世の光なり―親と子と教師のための生きることを考える本 | 伊藤隆二 | 樹心社 |
参考文献 | 自閉症の僕が跳びはねる理由 | 東田直樹 | 角川書店 |
配布する資料を読み、著者の主張の概要とそこからまたは別の場所から触発された考え・感想について授業内で発言できるように準備しておくこと。
1.で述べた自覚・志・矜恃を持って講義に望んでほしい。それがあれば後はすべてついて来る。
回 | 授業内容 |
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第1回 | オリエンテーション。本講義(教育学Ⅱ)を受講することの意義を問う。 |
第2回 | 地平的分析のための予備考察:読書における学び…サン=テグジュペリ著『星の王子さま』の読解をめぐって |
第3回 | 地平的分析概論(1)地平とは何か。(2)普遍的地平の種類 |
第4回 | 普遍的地平(1)時間 |
第5回 | 普遍的地平(2)空間・身体 |
第6回 | 普遍的地平(3)他者 |
第7回 | 人間理解の基礎としてのアイデンティティ |
第8回 | 他者理解の基礎としての合意 |
第9回 | 教育場面における他者理解(1)フィクションから |
第10回 | 教育場面における他者理解(2)ノンフィクションから |
第11回 | 教育場面における他者理解(3)授業記録から |
第12回 | 教育場面における他者理解(4)道徳をめぐる問題 |
第13回 | 教育場面における他者理解(5)特別支援教育における問題 |
第14回 | 教育場面における他者理解(5)受講生自らの体験から |
第15回 | まとめと期末試験 |