教育心理学特論(教育分野に関する理論と支援の展開)
担当者木原 久美子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [文学研究科 臨床心理学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 本講では、教育分野に関わる理論と支援について、学校教育を取り巻く社会的状況、教育分野に関する理論、教育分野に関する支援と実践、教育分野に関する今後の支援課題をテーマに学ぶ。既存の理論のみならず、最新の統計資料をもとに、学校教育が抱える課題を考え、整理し、心理的援助の方法について参加者とともに検討していく。

授業の到達目標

(1) 学校現場が抱える現代的な課題を理解する。
(2) 学校・教育現場における実践の理論と支援のポイントについて学ぶ。
(3) 専門職のチームワークによる学校への支援について学ぶ。

成績評価の方法および基準

 グループディスカッション等授業に対する積極的参加、発表、レポートを総合して評価する。授業への参加15点、発表20点、中間レポート(3回×10点=30点)、最終レポート(35点)の計100点で評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書学校臨床心理学・地域援助特論 倉光修放送大学
参考文献Organizational Consultation and Systems Intervention,  Chapter 43, in The handbook of school psychology,4th ed.  J,Meyers et al(2008), Terry B. Gutkin and Cecil R. Reynolds(Eds).
John Wiley & Sons, Inc.
参考文献一般システム理論 フォン・ベルタランフィ(1973)みすず書房
参考文献社会科学における場の理論 Ⅱ クルト・レヴィン(2017)ちとせプレス

準備学修の内容

(1) インクルーシブ教育支援システムとしての心理実践につpいて検討することになる。そのため、インクルージョンやシステムについて、事前に学習することが必要となる。
(2) 日本語に翻訳されているものが少ないので、英語で書かれた論文を教材として使う(ただし、一部)。
(3) 輪番制で教科書の担当箇所を発表することになるので、教科書は事前に購入しておくこと。

その他履修上の注意事項

 授業における積極的な参加を評価する。参加に当たって、他者の話を聞くこと、話すことのいずれにも留意することが求められる。
 この科目は、公認心理師試験および臨床発達心理士試験の受験資格を得るために必要な科目である。

授業内容

授業内容
第1回教育分野における公認心理師等心理専門職への期待を学ぶ。(オンライン)
第2回1.学校教育を取り巻く社会的課題:不登校の実態から支援課題を考える。
第3回いじめ・学びからの逃走の実態から支援課題を考える。
第4回インクルーシブ教育とチーム学校の取り組みの現状と心理職ができることを考える。
学校教育における課題に対する心理的支援の今後の取り組みについてのレポートを提出する。
第5回2.教育分野に関する理論:エリクソンの心理社会的発達理論そもとに生涯発達の考え方と支援課題を学ぶ。
第6回ブロンフェンブレンナーの生態学的発達理論からシステムの観点を学ぶ。
第7回カウンセリングとコンサルテーションについて学ぶ。
学校には、生活の場としての機能と教育の場としての機能が存在する。2つの性質の異なる場に対する心理的支援についてのレポートを提出する。
第8回3.教育分野に関する支援:事例を通して学ぶ支援のポイントについて具体的な取り組み事例を通して学ぶ。
 倉光修編著:学校臨床心理学・地域臨床心理学 放送大学大学院テキストから事例を取り上げる。
第9回小学校でのスクールカウンセラーの仕事から支援の取り組みを学ぶ。
第10回中学校でのスクールカウンセラーの仕事から支援の取り組みを学ぶ:不登校の場合。
第11回中学校でのスクールカウンセラーの仕事から支援の取り組みを学ぶ:非行の場合。
第12回高等学校でのスクールカウンセラーの仕事から支援の取り組みを学ぶ。
第13回教職員に対するコンサルテーションの取り組みを学ぶ。
事例を通して、スクールカウンセラーが週1日勤務であってもできること、気づいたことをレポートにして提出する。
第14回4.教育分野に関する今後の支援課題について検討する。
第15回教育分野における心理実践の可能性についてディスカッションし、レポートにして提出する。(オンライン)