キャリアとライフデザインの心理
担当者茂垣 まどか教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [人間文化学科]
科目ナンバリングEDP-105

授業の概要(ねらい)

 一般的に,青年期は,進路選択など人生の選択の時期である。どのような生き方をするか悩み,あるいは何も決まっていない状態に焦りを感じ,またあるいは,何もかも投げ出してしまいたくなる・・など,自身の「アイデンティティ」に最大の興味関心をもちつつも未決定な状態である。この授業では,伝記資料を材料として,人生全体を,Eriksonの人格発達理論(アイデンティティ論)の視点を中心に考察する。
 人格発達(アイデンティティ)概念を手がかりに,伝記資料にみられる歴史上の人物の考え・感情・態度・行動をより深く理解し,生涯全体を理解する。そのうえで,自分自身のキャリアおよびライフデザインについて考える。

授業の到達目標

 選択した歴史上の人物がどのようなアイデンティティであったか,伝記資料を用いて具体例を示すことができる(列挙法)。
 選択した人物が,なぜそのようなアイデンティティ形成に至ったのか,Eriksonの人格形成論を枠組みとして用い,「きっと~だから・・・になったのだろう」という「仮説」をたてることができる。
 「仮説」の根拠を,伝記資料に示された記述を列挙することができる。
 人格発達に関する理解を深めることで,自己理解・他者理解を深めることができる。

成績評価の方法および基準

 授業への参加度(授業時課題への取り組み)30%,中間報告30%,最終レポート課題40%で総合的に評価する。中間報告はプレゼンテーション(とその準備)を計画しているが,社会的状況に対応するための授業方法の変更にともない,変更することがある。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書指定しない。資料を用いて授業を進める。
参考文献『アイデンティティとライフサイクル』E. H. Erikson(著)西平直・中島由恵(訳)誠信書房
参考文献『アイデンティティ研究ハンドブック』鑪幹八郎(監修),宮下一博・大蔵得史・谷冬彦(編)ナカニシヤ出版
参考文献『自己心理学1 自己心理学研究の歴史と方法』榎本博明・岡田努(編著)金子書房
参考文献『偉い人とはどういう人か-人生の選択のために』西平直喜(著)北大路書房

準備学修の内容

 事前に配布・指定した資料(次回のレジュメ)や書籍を読み,内容を把握して質問等のメモを作成する必要がある。
 歴史上の人物1名の伝記を2冊以上読み,レポートを書く必要がある。グループ活動等を通して意見交換や理解を深める必要がある。各授業回(あるいは授業期間)でどのような作業を行うかについては,初回授業および途中の授業内で具体的な説明を行う。

その他履修上の注意事項

 授業外学習で調べた結果を他の受講生と共有することで,理解を深める。そこで,積極的な取り組みが必要となる。
 第1回イントロダクションに必ず出席し,この授業の進め方をよく理解したうえで受講すること(期限内に第1回授業の授業課題をLMS上で提出すること)。受講に際して,欠席した場合の不利益が大きいので注意すること。また,この授業は資料配布や課題等でLMSを利用するので,使い方を習得しておくこと。
 授業計画は,進行状況に応じて調整する場合がある。※「キャリアとライフデザインの心理」は火1および水3の2コマ同じ内容で開設されている。※受講希望者が多数の場合は抽選を行う可能性がある。授業の具体的な方法(講義,ディスカッションなど)については,社会的状況を鑑みて変更されることがあるので,授業内での説明をよく聞くこと。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション, アイデンティティとは,伝記の選択についての解説
第2回理論的背景(自我心理学)の解説
第3回Eriksonの人格理論の解説1:アイデンティティ統合 対 アイデンティティ拡散
第4回伝記研究法の紹介
第5回Eriksonの人格理論の解説2:基本的信頼 対 不信
第6回Eriksonの人格理論の解説3:自律性 対 恥・疑惑
第7回Eriksonの人格理論の解説4:主導性 対 罪悪感
第8回Eriksonの人格理論の解説5:生産性(勤勉性) 対 劣等感
第9回Eriksonの人格理論の解説6:アイデンティティ拡散の様相の例:否定的アイデンティティ
第10回発表:「私が選んだ人物のアイデンティティ」
第11回青年期の親子関係と心理的離乳
第12回青年の自我に内在する回復力
第13回人格の成熟(オンデマンド ※便宜上第13回とあるが,授業週(全14回)とは別途設定・実施する。期日等詳細は授業内で発表する)
第14回発表「私が選んだ人物のアイデンティティ形成」
第15回まとめ