帝京大学八王子キャンパス

考古学Ⅰ

担当者	平野　　修
単位・開講先	選択　　2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリング	ARC-101

授業の概要（ねらい）

・この授業では、考古学資料の中で文字や文献史料が豊富になってきた古墳時代以降の「歴史考古学」を対象とする。
・取り扱う考古学資料は、都城・城柵・官衙・集落等の遺跡や、農業・窯業・製塩・製鉄・木工・造幣等の生産遺跡とそれら遺跡に伴う遺物、そして仏教信仰や神祇信仰等の宗教関連、呪いをはじめ様々な信仰関連遺跡とその遺物など、多種多様な史資料を取扱い多角的な検討を加える。
・これまでの「歴史考古学」は、文献史学の補助学的な存在であったが、遺跡から出土する出土文字資料である墨書土器や木簡、漆紙文書は、現在では古代史研究に欠かせない資料となっており、今や「歴史考古学」は歴史学の一翼を担う重要な学問の一つとなっている現状を紹介する。
・前期では、「歴史考古学」の飛鳥時代から平安時代にわたるさまざまな考古学成果の紹介をレジュメ資料やパワーポイントを用いての対面講義とLMSによるオンデマンド形式で行う。

授業の到達目標

①学生は、歴史考古学における基礎知識を習得し、考古学を中心として、関連諸学の研究成果も加え、広い視野で歴史を見る目を修得する。
②学生は、身近な歴史や風土に触れることで過去に向き合い、過去に起こった事件やさまざまな出来事が、「今」に繋がっていることを他者に説明できる。
③学生は、「地域社会と国家」「ヒトやモノの交流・移動」という視点から日本古代国家について考えることができる。

成績評価の方法および基準

（１）授業開始時小テスト（到達目標①）20％
（２）課題レポート（到達目標②・③）20％
（３）試験に代わる研究課題レポート（到達目標①・②・③）60％

教科書・参考文献

種別	書名	著者・編者	発行所
教科書
参考文献	『歴史考古学を知る事典』	熊野正也他編	東京堂出版

準備学修の内容

以下のような、準備学習課題を課します。
　・授業開始時に行う小テストに向けて、行われた授業の内容をまとめておくこと。
　・授業で提示された課題を、大学総合博物館を観覧し、レポートの作成。
　・LMS授業時に提示する、試験に代わる研究課題レポートの作成。

その他履修上の注意事項

・高校等の授業で日本史を専攻しなかった人も旧石器時代・縄文時代～奈良時代・平安時代といった基本的な時代の流れ（時代区分）や、専門用語の意味は、上記に示した参考図書やインターネットなどで理解しておくこと。
・身近な博物館施設や史跡公園等の存在を意識し、各地で開催される展覧会情報やシンポジウム、考古学報道等もチェックするように心がけること。
・質問については基本的に授業終了時に行うが、授業時にメールアドレスを開示するのでE-mailでも対応します。

授業内容

回	授業内容
第1回	〈LMSによるオンデマンド形式授業　ガイダンス歴史考古学概論〉　１）歴史考古学とは何か。
第2回	〈対面講義　出土文字資料からみた古代日本―古代日本の識字率を考える―〉　１）発掘調査で発見される地下の正倉院とも言われる「出土文字資料」は、何を物語っているのか。
第3回	〈対面講義　古代の宮都（1）―東アジアの変動と飛鳥の動く都―〉　１）飛鳥の地に「宮」が置かれた6世紀後葉から7世紀中葉の時代とはどのような時代であったのか。２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第4回	〈対面講義　古代の宮都（2）―「日本」のデビューの象徴藤原京〉　１）対外交流による文明開化と社会が大きく変貌していく藤原京の時代を考える。　２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第5回	〈対面講義　古代の宮都（3）―本格的律令制国家の形成を目指した平城京を考える〉　１）唐の長安城をモデルに国際色豊かな天平文化が花開いた平城京を考える。　２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第6回	〈対面講義　律令制下の地方社会支配―律令制国家の地方組織整備を考える―〉　１）地方支配を進める律令国家が、全国各地に設置した公的機関にはどのようなものがあるのかを概観する。　２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第7回	〈対面講義　律令制下の地方社会支配―古代の地方官衙　国府〉　１）古代国府の構造と役割を考える。　２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第8回	〈対面講義　律令制下の地方社会支配―古代の地方官衙　郡家〉　１）古代地域社会支配の拠点施設である郡家の構造とその役割を考える。　２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第9回	〈対面講義　古代の集落―帝京大学八王子キャンパス校地内遺跡発掘調査事例の紹介―〉　１）帝京大学八王子キャンパスは、歴史豊かな古代遺跡の上に造られた施設であることを知る。　２）検出された遺構・遺物から遺跡の性格を考える。　３）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。　４）本授業で提示された課題を、大学総合博物館を観覧し、レポート課題を作成する。
第10回	〈対面講義　古代の交通―陸上交通と水上交通とその役割を考える―〉　１）古代の「交通」のもつ意味とは何か。
第11回	〈対面講義古代の土地開発―牧開発からみた古代の開発を考える―〉　１）古代人は自然とどのように向き合っていたか。２）ウマが普及した背景を考える　３）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第12回	〈対面講義　古代の手工業生産と流通―古代の特産物生産とその担い手―〉　１）自然が生み出す資源を人々がいかに活用してきたか。
第13回	〈LMSによるオンデマンド形式授業　古代東国の渡来系集団〉　１）「古代と現代の「帰化」の違いと、考古学からみた東アジアを含むユーラシア大陸から日本列島にやってきた帰化人と渡来人が古代社会に果たした役割について考える。２）試験に代わる課題研究レポート内容を提示する。
第14回	〈対面講義　古代の信仰―遺跡の中のホトケとカミ―〉　１）考古学からみた古代地域社会への仏教信仰と神祇信仰の浸透を考える。　２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。
第15回	〈対面講義古代の信仰―まじないの世界―〉　１）考古学からみた古代地域社会へのまじない信仰の浸透を考える。　２）前回授業内容に関して授業開始時に小テストを行う。

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