文化財行政学Ⅱ
担当者金井 拓人教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [史学科]
科目ナンバリングCAS-210

授業の概要(ねらい)

この授業では世界遺産を中心とした国際的な文化財行政について学習します。人類共通の遺産の保護・保全という理念から出発した世界遺産ですが、その後ビジネス的な視点から経済効果が注目され、純粋な文化遺産保護から離れた政治問題までも世界遺産登録に影響を与えるようになっています。この授業の前半では国民性、民族性、地域性の差を乗り越えて、いかにして国際的な文化遺産保護制度が制定されたのかについて学習し、後半では世界遺産制度自体が変化していく中で日本の文化財行政が世界遺産制度に与えた影響、また世界遺産制度から日本の文化財行政に取り込まれた制度について学習します。さらに、人類共通の遺産である文化遺産について、今後どのような活用方法や制度が求められるかについて考察できる力を身に着けることを目標とします。

授業の到達目標

国政的な文化財制度の趣旨と行政活動の必要性について理解し、文化財の保存と活用を行うための基本的知識を習得することを目的とします。

成績評価の方法および基準

授業内小テスト(20%)+中間レポート(30%)+期末試験(50%)で評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献

準備学修の内容

世界遺産には毎年新しい遺産が登録されています。どのような遺産の何が素晴らしく評価されて登録に至ったのか、「世界遺産に登録されているから素晴らしい」ではなく、「どこが素晴らしくて世界遺産に登録されているのか」という点に注目して、興味のある世界遺産について登録の背景を調べてください。

その他履修上の注意事項

文化財行政学Iでは日本国内の文化財行政について、本授業では国際的な文化財行政について学習します。文化財行政学Iも併せて履修することをお勧めします。

授業内容

授業内容
第1回文化財を取り巻く情勢 -我々はなぜ世界遺産登録に一喜一憂するのか-
第2回世界遺産条約以前の文化遺産保護1:アジア
第3回世界遺産条約以前の文化遺産保護2:ヨーロッパ・アメリカ
第4回世界遺産条約の制定とその考え方
第5回文化遺産保護のための条約・勧告・憲章
第6回何をもって世界文化遺産とするか
第7回【LMSにて実施】 日本の文化財行政と世界文化遺産
第8回文化遺産の管理 -モニタリングとマネジメント
第9回自然遺産と文化的景観
第10回産業遺産と20世紀遺産
第11回文化遺産を利用した地域開発と観光
第12回文化財保護法と日本遺産
第13回文化遺産保護と文化権 -文化財返還問題-
第14回途上国の文化協力と国際援助
第15回なぜ文化財を対象とした行政活動が求められるのか