学校生活と子どもの健康・病気
担当者藤井 靖史教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [教職研究科]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 児童生徒の成長・発達、様々な病態生理について知識を深め、医学医療の視点から児童生徒理解ができるようにする。また、児童生徒が受ける臨床検査や治療に対して適切に配慮し教師の役割について考え、学校生活における諸問題を究明し解決していく力量の育成を目指す。
 児童生徒一般に見られる種々の疾患に関して、evidenceに基づく最新の医療について学ぶとともに、学校生活における、感染症や発作性疾患などの急性疾患に対する正しい対処法を身につけ、慢性疾患を持つ学童生徒に対して教育上配慮すべき点を整理し理解するとともに、教育の基礎理論を踏まえて病児に対する支援・指導を考える。更に、児童生徒の健康に関与するメディアやスポーツの功罪についてグループワークを行い、プレゼンテーションすることを通じて理解する。
 事例を通じて、児童生徒の健康に関して学校と家庭、保健・医療機関との連携の有り方について討論を通じて学習する。
 なお、講義では履修生の知識・経験に即して、教育関係、医療関係のゲスト・スピーカーを3回程度招聘する。ゲスト・スピーカーの助言により本講義内容を教師や教育行政に関わる立場の視点から捉える力を身につける。また、講義内容によっては板橋キャンパスでの演習を行うこともある。

授業の到達目標

 <A類>
  ・子どもの成長・発達についての医学的基礎知識の理解を深める。
  ・子どもが抱える様々な病態生理を理解し、子どもが受ける臨床検査や治療に対して適切に配慮し教師の役割について考え、学校生活における諸問題を究明し解決していく力量を身につける。
 <B1類>
  ・子どもの健康の維持・発達、及び健康などを害している子どもたちへの対応について、教育の基礎理論を踏まえて考え、校内の教職員、校医、保護者、保健・医療機関などと協議しながら適切に問題を究明・解決していく力量を身につける。
 <B2類>
  ・子どもの健康の維持・発達に関して、教職の意義、役割を踏まえ所属する学校を越えて学校や保健・医療機関などと円滑な協力体制をコーディネートする能力を身につける。
  ・今後、顕在化や流行する疾患に関しても、過去の事例を踏まえて適切な判断ができる応用力を身につける。

成績評価の方法および基準

 子どもの健康と病気に対する関心、理解度(レポート)70%と、演習への取り組む姿勢30%に基づいて評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献一目でわかる小児科学 第2版五十嵐隆メディカルサイエンス・インターナショナル
参考文献小児科学 第8版内山聖 他医学書院
参考文献小児慢性疾患診療マニュアル加藤忠明診断と治療社
参考文献早わかり スポーツ医学加藤哲也金原出版
参考文献睡眠の生理と臨床神山潤診断と治療社
参考文献免疫学がわかる小安重夫羊土社
参考文献小児心身医学の臨床冨田和巳診断と治療社
参考文献てんかん中沢洋一 他 世界保健通信社 他

準備学修の内容

 第1回の授業時に配布されたオリジナル授業テキストで次回の授業で取り扱う内容を確認し、又、自らインターネットや参考書を元に学習し、学校における課題を整理しておく。

その他履修上の注意事項

 学習した知識内容を常に最新のものに置き換えて行くことが必要です。その為には、学生各自が在学中から知識を更新していくための学習方法や情報獲得手段を獲得することが望まれます。リアクションペーパーに授業内容への質問・意見を書いて翌週に提出することにより、学びを深めることができます。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション(LMSで実施)
 教育と医療の連携の捉え方を学び、自らの意見を整理する。
第2回 今日の子どもの健康/病気の問題について意見を述べ合い、教職の意義を踏まえた問題意識を高めた上で、講義全体の流れを理解する。医療制度の仕組みと、学校医の役割を理解する。
 ・B類学生は、学校医との連携をコーディネートする力を身につける。
第3回 成長・発達
 子どもの健康/成長・発達について理解する。
第4回 救命救急(理論と教育現場での課題)
 学校における救命救急の理論と実際を理解する。
第5回 救命救急の実践
 胸骨圧迫法やAEDの使用法を学び、学校における様々なシチュエーションを想定した救命救急法を学ぶ。
 ・A類学生は、教師として身に着けるべき救命救急法を整理して理解し、その技能を身につける。
 ・B類学生は、技能の習得とともに、学校での救命救急に関する組織的対応の課題を整理し対応策を学ぶ。
第6回 熱中症
 熱中症のメカニズムを理解する。学校における熱中症の児童生徒に対する応急処置を学び、併せて救命救急処置の基本を学ぶ。
第7回 発達障害・心身症
 発達障害や心身症など心の病に対する医学的アプローチについて学び、家庭や医療・福祉機関との連携における中心的な役割を担う応用力を身につける。
第8回 発達障害(LMSで実施する)
 発達障害のメカニズム、発達障害のある児童生徒の理解と指導・支援について理解する。
第9回 食育とやせ・肥満、低身長
 教育おける食育の位置づけ、現状を学び、消費者教育についても学ぶ。
 低身長ややせ・肥満の子どもたちに行われる検査や治療を知り、学校生活における教職の意義や役割を理解する。
第10回 感染症(麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘、インフルエンザなど)
 感染と免疫に関する基礎知識を獲得し、集団感染を引き起こす感染症に対する適切な対応方法を考える。家庭や医療機関との連携の有り方について具体的な事象をもとに学習を深めるとともに教職の意義や役割を理解する。
 ・A類学生とB類学生はグループをつくり、学校におけるノロウイルスやインフルエンザウイルスに対する感染予防対策を調査し発表する。
第11回 慢性頭痛、周期性嘔吐症、起立性低血圧、過換気症候群、チック
 痛み、気分不快などの自覚的な症状が問題となる疾患について学び、教師の役割として家庭や医療現場との連携、学校での対応や環境整備を実践する能力を身につける。
第12回 てんかん
 子どものてんかんについて医学的知識を学ぶ。てんかん患児一人一人の特徴に合わせた教師の役割を理解し、発作時の対処を含めた学校生活における必要な配慮と対応方法を身につける。
 ・B類学生は、てんかん患児に対して学校生活上で配慮した体験をまとめて発表する。
第13回 アレルギー疾患(喘息、アトピー、食物アレルギー、花粉症)
 近年増加傾向にあるアレルギー疾患に関して、基礎となる医学的知識を学ぶ。
 アレルギー疾患に対する教職の意義・役割を理解し、アレルギー疾患のある児童生徒への対処・配慮の在り方を身につける。
 ・A類学生は、食物アレルギーについて調べてきて発表する。
 ・B類学生は、食物アレルギーの児童生徒についての経験と対策をまとめて発表する。
第14回 睡眠と睡眠障害
 睡眠のメカニズムを学ぶ。様々な睡眠障害について学び、学校での子どもの状態から睡眠障害の可能性を考えられるようにする。家庭や医療現場との連携で中心的な役割を果たす能力を身につける。
 ・A類学生・B類学生はグループをつくり、睡眠障害の実態について発表する。
第15回 メディアと子どもの健康
 メディアの進歩に伴う情報化社会が子どもの健康や生活に与える影響について教育の基礎理論を踏まえて学ぶ。
 ・A類学生・B類学生はグループをつくり、メディアと児童生徒の健康の関係を調査し、発表する。