法律学演習Ⅰ
担当者中江 章浩教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングSEM-301

授業の概要(ねらい)

 法律で飯が食える人づくりを行います。法律で飯が食える為には、法的考え方を身につけなければなりませんが、できれば、短時間で楽しく身につけたいものです。中江ゼミには、その為の、長年にわたって積み上げられてきたノウハウがあり、卒業生による現役ゼミ生への面倒見がよいことや、皆さんの先輩が作り上げたゼミホームページ(http://nsks.web.fc2.com)が充実していることでも定評があります。授業では、30の基本テーマについて、紅白両陣営に分かれてゼミ員全体が議論しますが、その成果をまとめたものが「ゼミ例題集」です。その議論の結果、一夜漬けで得られる顕在記憶ではなく、想起行動がなくても再生できる頭の底にしみ込んだ潜在記憶に転化した基礎事項を、自分が目標とする試験の過去問の解説として体系的にまとめ直したものが「過去問研究」で、実際に自分が受験して感じたことを基礎に必要な準備事項をまとめたものが「試験別攻略法」です。また、実際に就職活動を経験していく過程で感じた数々の反省点などを後輩に伝授する「合格体験記」や「先輩便り」「ゼミブログ」などには、学外からも多くのアクセスがあります。更に、科目ごとの必須事項を市販の受験参考書や教科書から離れて帝京大生の観点からまとめ直した「科目別ポイント」や、社会保障の関する哲学的な問題を深く探求した「テーマ研究」などもあり、全て皆さんの先輩の努力の結晶です。
 さて、時代には、変革期と安定期という2つの時期があります。例えば、明治維新前後は変革期で、江戸時代は安定期といえるでしょう。現在は、いわゆる情報革命が進行中で、日本でも東日本大震災・福島原発事故以降、全く新しい時代が始まったと思います。いわば現在は明治維新に匹敵する変革期ですので、従来の常識が通用しないような事が数多く発生することが予想され、大企業に就職したから一生安泰という時代ではなくなってきたと思われます。これからの時代の荒波の中で溺れないためには、広く深い知識と洞察力に裏付けられた予知能力・方向感覚を基軸とした真の実力が必要ですが、この実力を社会的に認定してくれるものが資格試験です。そして、この試験合格のための実力を、ゲーム的なセンスを使って楽しく身につけることが中江ゼミの本質です。そこで、中江ゼミでは、法学を中心に経済学・社会学などの学際的な観点から、公務員・行政書士試験などの各種試験問題をゲームに組み直して様々な角度から研究し、それに合格することを目標にして勉強します。

授業の到達目標

 法的思考を身に着けることによって、司法試験や国家公務員・市役所・県庁・警察官・消防官・行政書士・司法書士・社労士試験などに合格することが目標です。

成績評価の方法および基準

 レポート(1回)・授業の出席授業への参加度・班ごとのプレゼンテーション・自分の勉強成果のゼミホームページへのアップロード・授業中の発言などを総合して評価しますが、授業の出席を重視します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『社会保障のイノベーション』中江章浩著(信山社)
参考文献『21世紀の社会保障』中江章浩著(第一書房)
参考文献『社会福祉エッセンス』中江章浩他著 (自由国民社)
参考文献『トピック社会保障法』中江章浩他著 (不磨書房)
参考文献『日本のNPOシステム』中江章浩著(エヌピ-通信社)
参考文献『どうなる年金こうなるくらし』中江章浩著(長崎出版)
参考文献『日本のなおし方』中江章浩著(信山社)

準備学修の内容

 法学・経済学・社会学などの様々な分野から学際的に出題される公務員試験の準備は、同じく学際的な学問である社会保障論のポイントを組み直して行うことが合理的です。私自身の受験勉強や厚労省実務の体験を踏まえて授業を進めますので、指定テキストを事前に読んでおいてください。また、シラバスの授業計画の中に書かれている例題について、自分なりの答をまとめておくと授業理解が深まると思います。

その他履修上の注意事項

 考えるための道具として法律の条文を使いますので、必ず、小六法を持参してください。

授業内容

授業内容
第1回 分野
  憲法(人権)
 例題
  厚生労働省・帝京大学・藤井医院が「ケアワーカー30歳以下・技術者60歳定年・パート女子のみ・男子警備員身長160cm以上・総合職全国転勤あり」という職員採用、学歴により格差のある給与支給を行った場合、法の下の平等に反しないか。「消費税一律負担・障害者施設の利用額1割徴収・保育所保育料の児童年齢別徴収・病院の定率窓口負担」という費用負担、投票権・世代間年金額格差の平等判断基準は何か
 キーワード
  <法とは何か>憲法と法律の違い(国家権力を統制する規範として英米法世界で自然権思想を基に社会契約として歴史的に確立してきたものが憲法であり、その成立背景から成分的硬性的特色を持つ)、公法と私法の違い(国家と私人の関係を規定する憲法・刑法などの公法と私人と私人の関係を規定する民法・商法など私法に分けられる)、法の支配と法治主義の違い(英米法由来で国家権力から人権を守るという視点の法の支配と、プロシャ的な啓蒙君主の基における軍事国家や古代中国の法家思想などのような人民取締りの道具としての法という法治主義)、成文法主義と判例法主義の違い(法律家階層の国家からの独立度の違い。共に判例は重視されるが、判例法主義なので、同種に事件については先例と同じ扱いを法的に要求できるという先例拘束性のある米国では、Family Law以外の民法典は存在せず、判決理由では先例との異同が細かく論じられる)、自然法主義と法実証主義の違い(絶対的な価値観が存在するかの違い。経験を重視する実証主義は、道徳や技術の歴史的変化などを法的思考には取り込まず、神は死んだとする実存主義の広がりと相まって、悪法も法であり正義は歴史的に変化せざるを得ないとする)、憲法の私人間適用の背景(三菱樹脂事件のような強大な私人の社員採用や百里基地訴訟のような国の私的行為について私的自治だけで決するのは問題)、直接適用説の問題点(私的自治が否定されて人権侵害がおこる可能性あり、しかし苦役からの自由のように直接適用が必要なものもある)、State Action Doctrineの内容(米国判例の理論で私人間であっても国からの財政援助や国有財産の貸与がある場合は国家と同視して憲法理念を適用して弱者を救済するというもの)、
  <正義論>少年サッカーチームの試合出場者選考基準(うまい子or頑張る子)、ベンサム・ミルの功利主義の限界、ロールズの正義論(1970年代までの、価値相対主義を根拠とする客観的な価値判断は元々行えないという風潮に反して、功利主義を否定し個人の生来的資質や社会的自然的偶然の影響を排し格差原理によって不平等を抑制しようという、社会契約論を土台にしたリベラリズムに基づく正義構想)、生産手段私有型民主主義と福祉国家型資本主義の違い、パレートの法則、ロールズ的正義とパレート的正義の違い、ゲーム理論とナッシュ均衡、
  <平等権>人権宣言の歴史、人権の観念、人権分類の相対性、同一労働同一賃金実現の秘訣(仕事に対して賃金を払う職務給ではなく、学歴などを中心にして賃金を払う職能給を実施してきた日本の雇用慣行を変えられるか)、傾向企業、高額療養費、逆進性、給付つき税額控除、
  <差別と区別>違憲審査基準、Affirmative Action(積極的格差是正措置)、スポーツ特待生、ブミプトラ政策、女性専用車両、セクシュアル・ハラスメント、男女雇用機会均等法、米国平等雇用機会局(Equal Employment Opportunity Commission (EEOC)のことで、キング牧師などにより1964年に制定されたCivil Rights Act 公民権法によって誕生した。アメリカ法においては、雇用関係は長らくコモンローのみによって規定されていたため、雇用主優位の仕組みだった。しかし、1929年の世界大恐慌後、Wagner Act 等の労働者保護の諸立法が成立し、EEOCの成立も定年制を違憲とするなど労働者保護に大きな影響を与えた)、雇用における年齢差別禁止法(1967年に米国で制定されたAge Discrimination in Employment Act (ADEA))、障害者自立支援法廃止の顛末、保育所待機児童、
  <議員定数>議員定数改定の基準(憲法で人口比自動的定数増減を規定する米国方式・法律で定めるとする日本方式・英国腐敗選挙区廃止の歴史・有権者数・投票数)、選挙区割り(ゲリマンダー・小選挙区比例代表並立制と少数政党)、二院制の是非(地域代表・参議院と米国上院の違い・連邦制と道州制の違い)、違憲有効、by the peopleとfor the peopleの違い(多数決で短期的視点の外交決定をしても良いか)、
第2回 分野
  憲法(人権)
 例題
  勤めていた会社が倒産したため失業した人が100社にエントリーシートを提出して就職試験にトライしたが合格せず鬱状態になりアパート代も払えないので野宿生活を始めた場合、年金制度は崩壊すると思い保険料を納めなかったので老後に最低基準以下の生活になってしまった場合の生活保護受給可否。また、少し働いて収入を得ても生活保護給付費が其の分だけ減額されては誰も働かなくなる、生活保護・失業給付・職業訓練と基礎年金は合体して一つの制度とすべきである、社会経済立法に対する規制も表現の自由に対する規制と同じく厳格な基準によるべきであるという意見は正しいか。
  キーワード
  <社会権・生存権と精神的自由>朝日訴訟(具体的な生活保護基準の憲法25条違反を争うが、原告朝日茂氏死去で一身専属の生活保護訴訟は相続できないとして訴訟終了)、堀木訴訟(障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止規定の違憲を争うが国勝訴。判決後併給禁止規定撤廃)、生存権と労働基本権、森戸辰男による生存権を憲法に盛り込む修正意見、ワイマール憲法、補足性の原則と無差別平等の原則のバランス、モラルハザード、脱商品化・脱家族化・脱官僚化、保守主義・自由主義・社会民主主義、生活保護基準、併給調整と堀木訴訟、生存権の法的性格(朝日訴訟とプログラム規定説・具体的権利説・抽象的権利説)、合理性基準、救貧政策と防貧政策、憲法25条1項2項の関係、社会的排除、若者の高離職率の背景(中卒の7割・高卒の5割・大卒の3割が3年以内に離職する)、Basic Income構想とWorkfare構想の違い(making work payといわれる所得補助政策を社会全体に適用するかどうかの違い。Basic Income構想では、弱者に就労を強制するだけでは問題の解決にはならないと考え、情報社会は技術の発展によって物にあふれるはずなので低所得者に対してはdecent workのみを求め、人間的な生活の為に足りない部分は、税務署が税金を取る代わりに補助金を給付すべしということになり、財源措置が必要で低賃金職種を温存するというデメリットがある)、完全雇用の幻想、就労収入積立制度、最低賃金、勤労税額控除、厳格な合理性の基準の背景(違憲判断の基準を厳しくするか緩くするかを対象ごとに分ける必要がある。例えば表現の自由の制限についてはより制限的でない他の基準LRAがあれば違憲になるというように厳しく判断するが、経済的なものに対する制限については緩く判断し結果的に社会権をより重視してもよい)、
  <公的扶助制度の運用>社会保険と公的扶助の違い(対価性と財源)、ドイツの求職者基礎保障とハルツ改革(2002年から2005年にかけて、ドイツのシュレーダー政権下で行われた労働政策全般にわたる改革。元フォルクスワーゲン社労務担当役員のペーター・ハルツ氏に依頼し「ハルツ委員会」を立ち上げ、連邦雇用庁や日本のハローワークにあたる雇用局を改組して、社会権実現機能を抜本的に強化した。改革のポイントは、弱者保護政策についても数値目標の設定や成果の説明責任を求め、サービスの多様化・民間との競争を促した点にある)、受給者の労働能力の顕在化方法(補足性の原則を修正した働けば生活が良くなるような仕組みづくり)、雇用保険と生活保護の狭間、非正規労働者の雇用保険受給率、幕臣長谷川平蔵の人足寄場と英国ワークハウスの違い、老齢加算廃止と母子加算復活の背景、
  <厚生経済学>パレート最適、生産者余剰、消費者余剰、総余剰、蜘蛛の巣理論、市場の失敗、政府の失敗、応益負担と応能負担、配分的正義、公共の福祉、個人の責任(新古典派経済学)or社会の責任(ケインズ経済学)、ダーウィン進化論の本質(ハーバート・スペンサー流の社会進化論のような単なる適者生存論ではなく多様性の確保による永続性をはかる仕組み。働き者の蟻の集団には、必ず働かない蟻がいる。しかし、彼らは環境の激変により働き者が全て死んでしまったときに働き出して集団を存続させる。現代社会の学者はこの働かない蟻のような存在であるともいえる)、
第3回 分野
  憲法(統治)
 例題
  年金支給額・年金積立金の額(何年分の給付額を持つべき)や予定利率、生活保護・医薬品安全・原発安全や公務員・学生処分などの基準を政府は自由に決められるか。国民が明確性・安全性などを求めて国を訴えたが充分な立証ができなかった場合はどうなるか。
 キーワード
  <憲法保障>抵抗権、国家緊急権、憲法の番人、統治機構、三権分立、日本国憲法制定に伴う司法権概念の変化(違憲審査制が認められ、行政訴訟も裁判所が裁けるようになる)、司法消極主義、法律上の争訟、Marbury vs. Madison(違憲審査制が確立した米国の判例で、日本国憲法81条の事実上の親といえる。この事件は米国建国当初の連邦派Federalistと反連邦派 Anti-Federalistの対立が背景にあり、初代大統領George Washingtonと第二代大統領John Adamsは連邦派であったが、第三代大統領Thomas Jeffersonと第四代大統領James Madisonは反連邦派で、本件は連邦派から反連邦派への権力移行に関する政治闘争とみることができる。第二代大統領John Adams時代の末期、政権が反連邦派に移行してもなるべく連邦派の勢力を維持する為に、地方裁判官を連邦派で固めてしまおうと任期切れ前日まで任命を濫発した。しかし、結局、辞令交付が間に合わなかった。このような裁判官の一人が、この裁判の上告人Marburyであり、自分の任命は有効であると主張した。判決は上告人Marburyの主張の根拠になっている裁判所法は合衆国憲法違反であるので、上告人Marburyの主張は認められないとした。この判例により、米国では裁判所は法律の憲法適合性を判断できるという、違憲審査制が確立された。しかし、英国では現在でも、裁判所は「法律の憲法適合性を審査して憲法違反の場合には無効とする権限」を持っていない)、抽象的違憲審査制と付随的違憲審査制の違い(ナチスドイツによって大被害を受けたドイツ国民は、失敗の原因は「多数決によって基本原理までも否定できる仕組」を作ってしまった事にあったと考えた。そこで、ドイツ基本法93条で憲法裁判所は具体的な事件の有無にかかわらず憲法適合性の判断ができるという抽象的違憲審査制を明確に規定した。米国などの従来の違憲審査は、具体的事件が発生しなければ憲法判断ができないので付随的違憲審査制と呼ばれ、日本法でも「警察予備隊訴訟」で具体的な事件が起こっていなければ憲法判断はできないという判決が下され、この原理が確認された)、警察予備隊訴訟と訴えの利益、法令違憲・適用違憲、将来効判決、ドイツの憲法裁判所とフランスの憲法院(Conseil Constitutionnel)、自由民主主義と議会制民主主義、独裁と全体主義、法治主義と民主主義、自己決定権とパターナリズム、パターナリズム・専門家の尊重(餅は餅屋)と専門バカの弊害、庶民の直観を生かす仕組、
  <裁量行為>行政行為、立法裁量、要件裁量・効果裁量の歴史、自由裁量・覊束裁量と覊束行為・裁量行為の関係、マクリーン事件、伊方原発訴訟、日光太郎杉事件、全農林警職法事件(最高裁昭和48年4月25日大法廷判決:1958年に岸信介内閣が、警察官の権限を大きくする為の警察官職務執行法改正を行おうとしたが結局断念した。この改正に反対する為の争議行為を煽った国家公務員に対して、全逓中郵事件で合憲限定解釈を採用していた公務員の労働基本権制約を全面的に合憲とし、当該公務員の有罪を決定)、神戸税関事件(最高裁昭和52年12月20日第三小法廷判決:公務員の労働基本権の制約については2度の判例変更があり、全逓中郵事件では合憲限定解釈を採用したが全農林警職法事件では全面的制約を合憲とした。この判例でも、裁量権濫用の場合のみ違法なので本件懲戒免職処分を適法とした)、余目町個室付浴場事件(最高裁昭和53年5月26日第二小法廷判決:風俗営業をさせないために後から児童遊園認可処分をすることは、平等の理念に反するだけでなく営業の自由を侵害するもので行政権の著しい濫用と言える)、エホバの証人事件(最高裁平成8年3月8日第二小法廷判決:宗教上の信条から剣道実技の授業に参加できない学生に対し代替措置を行うことなくなされた退学処分は、裁量権を乱用したもので違法である)、堀木訴訟、
  <統治行為>司法権の限界、条約優位説、砂川事件、苫米地訴訟、成文法主義・判例法主義、大陸法・英米法、
  <部分社会論>警察法改正無効事件(最高裁昭和37年3月7日大法廷判決:1954年に吉田茂内閣が、会期延長して市町村警察を廃止する法案を強行採決した点について衆議院規則に適合しているかが争われたが、裁判所は国会を尊重する為、その議事手続きについては判断すべきではないと判示)、警察法改正無効事件と全農林警職法事件の違い(共に警察に関する政治的立場の違いに起因する事件であるが論点は議院の自律権と公務員の労働基本権と全く違う)、富山大学成績認定無効事件と昭和女子大事件、板曼荼羅事件、
  <年金財政>マクロ経済スライド、修正積立方式、予定利率の引き下げ、AIJ事件、保険業法改正、「付加保険料」と「純保険料」、ミセス・ワタナベ、
第4回 分野
  行政法(行政争訟)
 例題
  いつまでたっても役所が、0歳児用の保育所を作らない・株式会社立保育所開所の認可を行わない・学校における虐め対策を行わない・医療計画に従わないで病院を開設したら保険医療機関の指定をしてくれない・予防接種で発病したのに助けてくれない等の場合、役所に義務履行確認・損害賠償の請求ができるか。
 キーワード
  <行政訴訟>裁判を受ける権利(自力救済禁止の見返り。訴えの利益・当事者適格・提訴期間がポイント)、特別裁判所の禁止(独立行政委員会準司法手続の実質的証拠法則や戦前日本の二二六事件・米軍ソンミ村虐殺事件における軍法会議に注意)、民事訴訟と行政訴訟の違い(行政訴訟は官と民が縦の関係で争うという構造の違いから、行政行為は執行不停止で公定力があり、職権証拠調べも行われ判決には第三者効がある。両者の境界線は微妙だが、公務員の給与支払い請求訴訟は実質的当事者訴訟・土地収用に基づく損失補償の訴えは形式的当事者訴訟という行政訴訟であり、土地収用がもめて土地返還請求すれば争点訴訟と呼ばれる民事訴訟になり判決に第三者効はない)、行政不服審査法、行政手続法、原告適格、抗告訴訟、取消訴訟・義務付訴訟・差止訴訟、裁量行為、立法不作為に対する違憲審査、不作為違法確認の訴え(独禁法における措置要求は当たらないとするのが判例)、無名抗告訴訟の発展(2004年改正で義務付訴訟・差止訴訟を新設し当事者訴訟の条文に確認の訴えも明記して、法文の谷間に落ちていたケースを救済)、抗告訴訟と当事者訴訟の違い(当事者訴訟は役所と私人が横の関係で争い法律関係を確認するが、抗告訴訟と異なり裁量は認められず執行停止既定の準用もない)、民衆訴訟、市民訴訟(米国)と住民訴訟(日本)の違い、国立マンション訴訟、異議申し立て、自由選択主義、不服申立前置主義、公定力、第三者効、職権証拠調べ、
  <執行>民事保全法、仮処分、執行停止、仮の義務付け、
  <役所の不作為を違法として損害賠償を認めた判例>筑豊塵肺訴訟(最高裁平成16年4月27日第三小法廷判決)、熊本水俣病訴訟(最高裁平成16年10月15日第二小法廷判決)、
  <役所の不作為を違法とせず損害賠償を認めなかった判例>宅建業法事件(最高裁平成元年11月24日第二小法廷判決)、クロロキン網膜症訴訟(最高裁平成7年6月23日第二小法廷判決)、
  <賠償と補償>集団予防接種事件、予防接種訴訟における違法性の認定(損害賠償or損失補償)、子宮頸がんワクチン集団訴訟、
  <行政委員会>教育委員会、教育長、会計検査院が除外される理由、人事院、
  <政治学>選挙、政党、マスコミ、圧力団体、請願・陳情、世論形成、政治的無関心、投票行動、
  <保育所>認可保育所、認可外保育施設、認証保育所、人員配置基準、保育料、措置から契約、割振方式の転換、待機児童、乳児・幼児・少年、 
第5回 分野
  国際法
 例題
  くも膜下出血で病院に担ぎ込まれた、治療費が払えないほど貧乏な留学生・外国人労働者・在日朝鮮人は、公的に治療費を払ってもらえるか。また、原発反対運動に参加した英会話教師の在留資格更新・日本人の父親から生後認知を受けた混血児の日本国籍取得はどうなるか。
 キーワード
  <外国人人権の一般理論>国連憲章、国際人権規約、世界人権宣言、ILO条約、子供権利条約、人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、難民条約、普遍的人権主義、基本的人権の原理、基本的人権の限界、包括的基本権と法の下の平等、アファーマティブアクション、日本人と地球人、グローバリズムの本質、情報革命、緊急医療、定住者と多国籍企業社員の人権、
  <国籍>国籍法、両系主義への国籍法改正、認知のみによる国籍取得、国籍法3条1項違憲訴訟、胎児認知によって国籍取得を認めた理由、二重国籍、国籍と市民権、無国籍問題、帰化申請、国際結婚、国籍剥奪論、ドイツ戦後処理、EU法と極右政党の躍進、生地主義と血統主義の鬩ぎ合い(民族国家ドイツの生地主義化と移民受け入れ政権の不人気)、
  <出入国管理>国籍と出入国管理、在留カード(中長期在留者に交付されるICカード。これにより外国人登録証明書は廃止された)、特別永住者(サンフランシスコ平和条約国籍離脱者及びその子孫は申請なしで活動・期間制限のない在留資格が認められた。長らく在日外国人の大半を占めていたが、近年、帰化や少子高齢化によって減少中)、マクリーン事件と森川キャサリーン事件の違い(共に在日外国人の出入国管理に関する事件であるが、マクリーン事件は一時滞在の英会話教師の在留資格の更新問題であり、森川キャサリーン事件は外国人定住者である日本人の配偶者の再入国の問題)、裁量権と外国人の人権、在留期間中の行動制限と在留資格更新の判断基準、観光立国・国際テロリズム・シリア難民とEU(近年、日本への観光客に対するビザ要件が緩和されているが、シェンゲン協定で国境の自由な移動を認めた欧州連合ではイスラム過激派によるテロリズムの脅威から国境管理を強化しようとしている)、在監者・法人・奴隷・霊長類・ペットの権利と環境権、出入国管理及び難民認定法、別表の構造(自由労働の可否で分類)、定住者、永住者、特別永住者、サンフランシスコ平和条約、外国人労働者、安易受け入れの問題点(実力のない自国若者に特権を与えて、外国人労働者の上に胡坐をかかせた湾岸諸国の停滞)、不法就労助長罪、不法滞在者5年半減計画、技能実習、外国人登録制度廃止と在留カード(Residence Card)、観光立国、中国人個人観光客、医療滞在ビザ、
  <在日外国人>孫正義(中国系在日韓国人から帰化して日本国籍を持つ。ソフトバンク創業者)、パックン(Patrick Harlan 妻が日本人なので日本人の配偶者としての在留資格。タレント)、
第6回 分野
  民法(総則物権)
 例題
  医師でないビジネスマンが病院のトップになれるか。また、病院団体は反対者がいても、自由に法人化や政治献金ができるか。
 キーワード
  <法人の本質と種類>法人本質論と法人をつくる意義(有限責任と永続性)、法人否認説・法人実在説・法人擬制説の違い、自然人と法人、公法人・私法人、商法改正と会社法制定の背景、株式会社と持分会社(合名・合資・合同会社)、Non Profit Organization、営利法人・公益法人・中間法人の違い、医療法人と社会福祉法人、NPO法制定の歴史、会社法、政党法、
  <法人の設立>役所と法人の関係、免許、特許・許可・認可・認証・届出、特許主義・許可主義・認可主義・準則主義・自由設立主義、許可と認可の違い、天下りと公益法人改革の歴史(NPO法が議員立法で作られ、中間法人法・一般社団法人法と発展。天下りの原因になっている役所の法人設立に関する許認可権を制限する為、法人設立については準則主義が原則となったが、税制優遇を得る為の公益認定権限は役所に残り、準則主義が適用される公益法人の中に医療法人・社会福祉法人等は含まれないことになった)、
  <法人の管理運営>法人ごとの設立方式・金(法人税・配当)の扱い・内部統制(機関・管理者資格)の違い、法人の組織と理事、定款と寄付行為、役所の監督から法人自体の内部統制へ、会社役員と株主における情報の非対称性、日本版SOX法、金融商品取引法、社外取締役要件強化、
  <法人の権利能力と統制力>八幡製鉄政治献金事件、国労広島地本事件、三井美唄炭鉱労組事件、南九州税理士会政治献金事件(最高裁平成8年3月19日小法廷判決:公益法人で強制加入の税理士会のする政治献金は、法人の目的範囲外の行為であり会員に協力義務を強制できない)、群馬司法書士会復興支援寄付金事件、日本医師会と日本医師連盟、民主主義・自由主義と資本主義の衝突(頭数・資本の普通決議・特別決議・特殊決議に見られる多数決原理修正と違憲審査に見られる多数決原理否定)、国民の義務と徴兵制、法人の不法行為責任、権利能力・意思能力・行為能力の違い、私権、人格権、財産権、管理権、
  <病院の管理運営>日米の病院経営の違い(配当禁止・医師のみ管理者に固執する日本)、組織の盛衰、ジンギスカン軍の組織原理、技師長と事務長、技術部門と管理部門、ラインとスタッフ、ドイツ参謀本部哲学と日本の軍部大臣現役武官制・文民条項、
第7回 分野
  民法(債権)
 例題
  国民健康保険の保険料を払わない、病院に行ったことがない男の同居する妻や子供は、それを払わないといけないか。夫だけが債務免除を受けたり、時効完成直前に債務を承認したら求償はどうなるか。また夫には今住んでいる家しか財産がない場合、国には消費増税しか対策はないのか。
 キーワード
  <債権の本質>自然債務とカフェ丸玉事件、物権と債権の違い(債権は物権より排他性が弱く他人の権利を侵害する危険性が小さいので自由に作らせてよいが物権は法が決めたものしか作れない/物権法定主義)、債権の発生と消滅(契約・不法行為・不当利得・事務管理で発生し、債権の内容を実現して消滅させる弁済・代物弁済・供託と内容実現不必要で消滅させる相殺・更改・免除・混同や時効・取消・解除など権利一般の消滅原因に基づく消滅に分けられる)、債権の目的から考える金銭債権・種類債権・選択債権の違い、代替執行、間接強制、履行遅滞、代償請求権、不完全遅行、
  <債権管理>責任財産の保全としての債権者代位権・債権者取消権、絶対的効力、相対的効力、共有・合有・総有から考える多数当事者の債権債務、分割債権、不可分債権、連帯の推定、連帯債務と不真正連帯債務の違い(不真正連帯債務には連帯債務と違って時効完成・免除の絶対効はないが、債務支払者は他の債務者に対して求償権がある場合があるとするのが判例)、不真正連帯債務の意味と具体例(公害のような共同不法行為や市バス事故のような使用者責任においては、加害者間に密接な連携はなく被害救済が重要なため連帯債務ではなく不真正連帯債務であるので、弁済や供託などによって実質的に被害の救済が行われる事由以外は、債務者の一人に生じた事由が他の債務者にも効力を及ぼして救済額が減額される絶対効は認められない)、保証債務、アパート経営と連帯保証、共同保証、保証人の求償権、保証人の代位権否認・自白・連帯保証・抗弁権、
  <社会保障財政>被扶養者、被保険者、国民健康保険の本人と家族、老人の負担の仕方、応益負担、応能負担、健康保険・国民健康保険の負担哲学の相違(健康保険では世帯主のみが被保険者となって保険料を支払い、家族は被扶養者として保険料を支払う必要はない。一方、国民健康保険には被扶養者の概念がなく、子供でも被保険者になるが、所得割・均等割など合計として計算される保険料は、所得なしとして計算されるため安くなる)、国民年金・厚生年金の負担哲学の相違、各社会保険の基礎単位の違い、国保・国民年金の滞納率、地域保険における稼得者負担急増の現実(被保険者中の低所得者割合が多いため国民平均的な所得があるだけで年額50万円の保険料を払うケースが多い)、資産・所得・消費への課税、政府調達改革、予算消化優先意識、
第8回 分野
  民法(債権)
 例題
  外で働きたいという母親が急増したので、建売・注文・中古住宅を市立保育園に転用したが、元気すぎる子供の声で近隣住民が鬱病になってしまった場合、契約締結後引渡までの間に大震災で建物が倒されてしまい倒壊する際に通行人を怪我させてしまった場合、建物代金・治療費は誰が負担しなければならないか。また、引渡の半年後、この建物の玄関部分が、新種の強力白蟻により空洞化していることが判明した場合、契約解除できるか。このリスクを私的保険・公的保険でカバーできるか。
 キーワード
  <危険負担>債権と物権、契約、契約存続中の関係、牽連性、同時履行の抗弁権、債権者主義、債務者主義、FOB、CIF、損害保険、地震保険、東京海上ホールディングス、二重ローン問題、民法575条の果実収取権と危険負担の関係、
  <担保責任>売買、瑕疵担保と追奪担保、錯誤と担保責任、特定物と不特定物(見込み注文による大量生産が資本主義の特徴)、瑕疵担保責任に関する2つの考え方、法定責任説(瑕疵担保責任とは、特定物に限って1年間の無過失責任を法律上特別に認めたものであるので、不特定物受領後は債務者に対して過失責任しか追求できない)、契約責任説(瑕疵担保責任とは、契約責任一般に対する特則を規定したもので不特定物も対象になるので、不特定物受領後も債務者に対して1年間、無過失責任追求できる)、特定物のドグマ、履行利益、信頼利益、代金減額請求権、解除権の不可分性、宅地建物取引業者、住宅瑕疵担保履行法(耐震強度構造計算書偽装事件の反省により作られた、民法上の瑕疵担保責任より重い10年間の責任を規定する法律)、請負、完成不能、請負の担保責任、warranty against defects、
  <不法行為>過失責任主義、損害賠償額の算定、因果関係、一般不法行為と特殊不法行為、民事法の弱者保護と社会法の発展(産業革命の進展による社会構造の変化に対応するため無過失責任論が台頭し、社会保障法や労働法などの社会法分野が発展した。民法の中でも借地借家分野や供用関連瑕疵による土地工作物責任の拡大などで弱者保護を強化しており、国賠法では公の営造物として救済範囲も拡大している。消費者契約法・訪問販売・PL法・自賠責などはこの考え方が発展したもの)、公法・私法の区別と不法行為法における注意の程度・損害賠償の範囲(過失とは注意義務違反であり、行為者の能力を基礎としなければならないはずであるが、私法においては、それを被害者だけとの相対的・主観的なものにするのではなく、善管注意義務と呼ばれる社会一般の絶対的・客観的なものにして、過失を客観化することが必要である。その代り、因果関係によって、損害賠償の範囲の段階で限定するべきである)、
  <営造物責任>結果責任・無過失責任・過失責任の違いと高知落石訴訟(最高裁昭和45年8月20日小法廷判決:瑕疵とは結果責任ではないが、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることで過失の存在を必要とせず予算不足も賠償責任を免れる理由にならない)、国賠法2条、所有者と占有者の責任関係、公の営造物と土地工作物の違い、飛騨川バス転落事件、和歌山故障車両放置事件、大東水害訴訟、多摩川水害訴訟、大阪福島駅点字ブロック未設置訴訟、テニス審判台転倒事件、徳島遊動円棒事件、伊丹空港訴訟(最高裁昭和56年12月16日大法廷判決:空港自体は安全であっても騒音が大きい場合、近隣住民など利用者以外の第三者に対して供用関連瑕疵に基づく損害賠償請求が国賠法2条によって認められる)、新幹線騒音訴訟、
  <保険法>第三の保険、大数の法則、福祉と保険、現代的不法行為、
第9回 分野
  民法(親族相続)
 例題
  遺族年金・家・お金をあげるからと言われたので、妻子ある男性と10年同居した女性が、男性の死後、本妻から返還を求められた場合、これを返さなければならないか。なお、今住んでいる家は本妻が勝手に保存登記して第三者に売却しており、この女性には株式運用の才があるので資金総額を10倍に増やしたが、ホストクラブで半分使ってしまっていた。また、彼女が既に本妻に任意に返還していた・男性が遺言や信託証書を作成していた場合はどうなるか。
 キーワード
  <不当利得>善意者の権利(善意占有者は189条で果実・利息分を取得できるが、善意不当利得者は703条で現存利益を返還しなければならないから果実・利息分を取得することはできない。最高裁昭和38年12月40日小法廷判決は、消費貸借契約が無効になった場合は民法189条ではなく703条により、法定利息分を受益者の介入なしに得られた現存利益として返還すべきとする。従って、利息分は不当利得返還請求権の範囲内と解釈すべきである。しかし、受益者の個人的な裁量で財産を増やした場合の増加分の返還については、判例はなく学説も分かれている)、信頼利益と履行利益の違い(信頼利益は、契約を結ぶ為の目的地までの交通費など「払う必要の無かった費用(損失)」の事(消極的契約利益)で、履行利益は転売利益などの「受け取れなかった物の価値」の事(積極的契約利益)。瑕疵担保責任について法定責任説をとると、賠償範囲は信頼利益のみでよい)、治療費と逸失利益、法定利息と運用利益、利息と果実、現存利益、制限行為能力者の返還範囲(大審院昭和7年10月26日第三民事部判決:民法121条但書に言う現存利益には生活費・医療費・既存債務の弁済が含まれる。通説は、手元に金銭があればたちまち浪費する可能性の大きい者を保護することが制度趣旨なので、制限行為能力者が悪意で浪費した場合でも現存利益なしとなる)、不法原因給付、不法原因の比較、反射的利益、愛人契約と登記抹消請求権(最高裁昭和45年10月21日大法廷判決:愛人契約締結のような反社会的行為を行った贈与者は給付した物の返還を請求できず、その反射的効果として目的物の所有権は贈与者の手を離れて受贈者に帰属する。従って受贈者は所有権に基づいて贈与者に対して登記抹消請求することが許される)、
  <資本主義と正義>利息制限法、超過利息の返還、過払い金と不当利得、「ヤミ金元本返済不要」判決、制限超過利息返還請求事件(最高裁昭和43年11月13日大法廷判決:利息制限法の制限利率を超過して任意に支払われた利息は元本に充当され、元本も完済された場合は不当利得として返還請求できる。 最高裁平成11年1月21日第一小法廷判決:サラ金業者を利息制限法で規制しすぎた為、そもそも借金ができなくなり困窮者が増えたとして、1983年に貸金業法を制定されグレーゾーン金利支払が有効とされたが、任意の利息支払なので有効な弁済という為には、銀行口座払込で弁済を行う場合でも、貸金業者側が受取証書を交付していなければならない)、二重譲渡と登記、二重譲渡の刑・民分析、民法改正案の内容(民事法定利息を現在の5%から3%に低下させ、個人保証の責任範囲を制限し、短期消滅時効が適用されるケースを整理する)、
  <婚姻>重婚的内縁関係と遺族年金、年金の趣旨、相続分、生活維持関係、女性の自立・個人主義と子育て、出生率の行方、夫婦別姓、
  <相続財産>終活、相続人、相続債権者、遺言、遺贈、死因贈与、遺留分減殺請求権、遺言執行者の職務権限(共同申請が原則である登記業務においても相続による移転登記は登記権利者が単独で申請することができる。しかし、遺言執行者は相続人の代理人と看做され、相続させる旨の遺言がある場合の遺言執行者でも、受益相続人に所有権移転登記を取得させることが遺言施行に必要な行為として遺言執行者の職務権限に属するとするのが判例)、信託(英米法においては、契約より古くから存在する概念で、契約成立の為に必要とされる約因の存在も要求されない。信託設定者から受託者に信託財産の所有権を移転する形で守り、信託成立後は、信託目的に反する行為は信託設定者や受益者の意思であっても否定される。将来自分や受託者が「信託財産に関係のない部分で多額の債務を負ってしまった場合でも信託財産は差押えられない」という倒産隔離機能もある。日本においては2006年に信託法が全面改正される形で導入され、遺言や信託宣言だけでなく契約によっても成立させられるようになった。受託者に対しては忠実義務や情報提供義務が厳しく課され、違反した場合は値上がり益など履行利益の賠償まで求められる。遺言信託、家族信託など様々なパターンがあるので、終活ブームの中で広く活用されることが望まれる)、遺言と信託の違い(本人の死亡と同時に一括で遺産を渡して、それでおしまいというのが遺言。しかし信託では、年金のように毎月定額を渡してほしい等の通常の遺言では対応できないニーズに応えられ、判断能力が低下した後でも、積極的な資産運用(株式投資や賃貸不動産の取得等)をしたいという成年後見では対応できない財産管理のニーズに応えられ、不動産の共有化に伴うリスクも回避できる等の利点がある)、reverse mortgage、忠実義務、
第10回 分野
  経済法・商法(会社法)
 例題
  営利法人が病院経営でき、医療・年金の保険者になれ、新規参入が多数ある中で国民が自由に選べるようにすべきという意見は正しいか。その際の税金・国の監督・内部統制はどうなるか。例えば、病院トップが病院再建の為、第三者の債務を保証する為に病院敷地に抵当権を設定することができるか。
 キーワード
  <法人の税金>医療法人の税率と普通法人・公益法人・公共法人、公益認定法、営利・非営利の違い、パス・スルー課税(法人等の利益に対して課税せず、その構成員の所得に対して課税する制度)、一人法人、公益事業、特定医療法人、特別医療法人から社会医療法人、医療法人と公共法人の関係、法人税率引下げの意義、労働課税と資産課税の衝突、税金の歴史、
  <利益相反>双方代理と自己契約、特別代理人(特別代理人は関係者の推薦人から選定される状況にある為、関係者の影武者であることが多いので、裁判所の許可を介在させる等の制度的な改正が望まれている)、利益相反の判断基準(親権者の利益相反行為と共通する問題。行為の動機・目的・結果など一切の事情を考慮して判断すべきとする実質説と行為の外形で客観的に判断すべきという外形・形式説が対立。判例は外形・形式説に立った上で、心裡留保に基づく代理権濫用法理で修正するという考え方。自ら相続放棄をすると同時に子を代理して相続放棄をさせたり、子の所有する不動産を親権者が子を代理して第三者に対する債務の担保に供することは許されるが、子と親権者が連帯保証人である第三者に対する債務の担保に供することは許されないとする)、競業避止義務、相対的無効、直接取引と間接取引、会社法と機関の種類、代表訴訟と取締役会の承認、
 <公正な競争>独占禁止法、規制産業、公益事業における競争、不可欠設備、自然独占、ユニバーサルサービス、範囲の経済性、参入障壁、サンクコスト、社会的規制、経済的規制、市場の失敗、公共の利害、公共の福祉、独禁法適用除外制度、電気通信事業法、電気事業法、再販制度と社会保険の違い、
  <New Public Management>社会的規制、福祉国家、政府の失敗、新しい公共、強制競争入札、独立行政法人、運営費交付金、特殊法人、Private Finance Initiative、バウチャー、指定管理者、
  <Managed Care>HMO(Health Maintenance Organization)、PPO(Preferred Provider Organization)、MI(Managed Care indemnity)、DRG/PPS(Diagnosis Related Goups/Prospective Payment System)、ブルークロス・ブルーシールド、メディケア・メディケイド、ジェネリック医薬品、国民皆保険、医療施設・医療計画・医療マンパワー、保険法、保険者機能、
第11回 分野
  テーマ研究
 例題
  2050年における日本の年金のあり方
 キーワード
  少子高齢化・国民負担率・年金一元化・確定拠出年金・マクロ経済スライド・未加入未納問題・学生納付特例・学生無年金障害者・OASDHI・401K・強制貯蓄制度・社会保障総合口座・スウェーデン方式・賦課方式と個人勘定・税方式・生計維持・国民年金・年金分割・遺族年金・3号被保険者
第12回 分野
  テーマ研究
 例題
  2050年における日本の医療のあり方
 キーワード
  国民皆保険・営利法人の参入・混合診療・保険免責・医薬分業・診療報酬点数表・情報の非対称性・保険者機能・独立方式・政府管掌健康保険・喫煙と保険料率・終末医療・安楽死・尊厳死・健保と自賠責・不服申立制度・国民健康保険・短時間労働者・被扶養者・第3者のためにする契約
第13回 分野
  刑法(総論)
 例題
  末期癌の父親の様子が、本人の意識はないが、苦しそうに見え、直る見込みも無いので、主治医に塩化カリウムを注射してもらった場合、人工呼吸器を医師に外してもらうように兄から言われた弟が自分で外した場合、罪になるか。また、脳死状態になった場合に臓器移植することは許されるか。
 キーワード
  <安楽死>終末期医療、名古屋安楽死事件、東海大学安楽死事件、老人医療費の実態、安楽死合法化の理論(患者本人の苦痛を除去することは緊急避難や自己決定の法理によって違法性がなくなるという違法性阻却説と、「苦痛を除去するという目的の為なら違法でなくなる」とすることは危険すぎるので期待可能性がなくなるにすぎないという責任阻却説が対立)、正当行為、正当防衛、緊急避難、嘱託殺人、自殺幇助、消極的安楽死(人工呼吸器の電源を入れないなど、延命措置を中止して死期を早める不作為型のもの)、間接的安楽死(モルヒネを投与するように、患者の苦痛を除去するための措置を取るが、それが同時に死期を早める可能性がある治療型のもの)、積極的安楽死(塩化カリウムを注射して心停止を起こさせることのように、緊急避難と自己決定の法理によって患者を苦痛から解放する為に端的に生命を断つもの)、胃瘻の中止という消極的安楽死、終末期鎮静と安楽死の違い、尊厳死、医師の裁量権(行政庁の裁量行為に対する対応と同じく、その濫用を戒めると共に専門家に対する一定の尊重姿勢が必要)、明示の意思表示(事前に、患者本人による明示の意思表示を社会的に認知する仕組み作りが必要)、オランダ安楽死法、緩和ケア、モルヒネ、アスピリン、ホスピス、生涯医療費、森鴎外と脚気原因・高瀬舟(医療政策を所管する官僚であった森鴎外は、脚気の原因について細菌説に固執し多くの兵士を死亡させてしまったが、文学者としては、「高瀬舟」でいち早く安楽死問題を扱う)、植物状態、多臓器不全(MOF; multiple organ failure)、急性高カリウム血症、
  <脳死>脳死判定、竹内基準、
  <臓器移植>臓器売買、
  <被害者の同意>有効な同意、同意の有効要件、同意暴行、推定的同意、危険の引受け、実質的違法性阻却、
  <共犯と錯誤>共犯の本質、犯罪共同説と行為共同説の違い、堕落説と惹起説の違い、実行従属性と要素従属性、従犯の処罰根拠、共同正犯の過剰、共謀共同正犯と間接正犯の違い、共犯と身分、真正身分犯と不真正身分犯の違い、
第14回 分野
  刑法(各論)
 例題
  府中・聖蹟桜ヶ丘間の定期を持っているので、新宿・笹塚間の切符を買って乗車し聖蹟桜ヶ丘駅で他人に密着して改札を通過した学生は、いつからどんな罪になるか。新宿・笹塚間と府中・聖蹟桜ヶ丘間の料金の合計が新宿・聖蹟桜ヶ丘間の料金と同じであると勘違いしていた場合はどうか。また、捜査官に誘発されて、覚醒剤のつもりで麻薬を輸入した場合、どう罰するべきか。
 キーワード
  <財産犯>財産犯体系と処分行為、法三章からの犯罪体系複雑化(漢帝国の高祖劉邦が、これまでの秦の始皇帝の法家思想に基づく複雑法制を否定し、「殺人・強姦・窃盗しか罰しない」と宣言したことを意味する。しかし、財産犯において窃盗罪しか犯罪構成要件を作らないと、被害者に処分行為をさせる狡賢い人間を野放しにすることになるので、やはり詐欺罪を作成することが必要)、詐欺、横領、窃盗、財物、財産上の利益、煙管乗車、折り返し乗車、フェアライドシステム(自動改札機で入場処理と出場処理を交互に行わなければ改札を通過できないようにするシステム)、実行の着手時期と行為無価値、機械に対する欺罔行為、無意識の処分行為と事実的処分行為、煙管乗車における乗車駅基準説・下車駅基準説と処分行為における処分意思に関する考え方(結果無価値に基づく不要説と行為無価値に基づく必要説が対立。歴史における上昇期はともかく、国際的に地盤沈下しやすい下降期には官僚機構の暴走を抑えるため不要説が適切であると思われるが、不要説だと「置き引き」は、持去りの甘受という処分行為があるため窃盗罪は成立せず欺罔行為もないため詐欺罪も成立しないことになる。キセル乗車における乗車駅基準説・下車駅基準説の対立は処分行為における処分意思に関しての不要説・必要説の反映であり深い考察が必要)、利益の移転、電子計算機使用詐欺罪、鉄道営業法違反、
  <故意>Mens Rea、Actus Reus、Intent、Recklessness、Negligence、Murder、Manslaughter、責任主義、違法性の意識、責任説、制限故意説、未必の故意、認識ある過失、法律の錯誤、規範的構成要件要素、事実の錯誤、方法の錯誤、打撃の錯誤、
  <過失>傷害致死と過失致死、過失の構造、旧過失論・新過失論・新々過失論の違い(過失の範囲となる認識・予見可能性を法益侵害的に責任要素として結果予見義務違反と見るか、倫理違反的に違法要素として結果回避義務違反と見るかの違いで、過失認定の範囲が異なる。自動車の一般化に伴う交通事故増加が過失致死犯急増に繋がった為、過失範囲を狭くするため新過失論が生まれた。その後の公害・薬害の増加に対応するため、発生源を罰しようと過失範囲を広くする為の新新過失論が生まれたが、危惧の範囲は不明確であるという批判が強い)、結果予見義務、結果回避義務、予見可能性、管理監督過失、不注意の競合、信頼の原則、
  <証拠>証明力と証拠能力、おとり捜査、
第15回 分野
  刑法(各論)
 例題
  万引きを繰り返す女子中学生(施設に居住)を懲らしめるため、裸にして写真を撮った福祉施設職員の行為は、どんな罪になるか。この行為を親が行った場合は、児童虐待になるか。また、飲酒をすると病的酩酊に陥って暴力をふるう性癖がある者が飲食店で飲酒中に包丁で店員を刺殺した場合は、いつからどんな罪になるか。
 キーワード
  <犯罪論>結果無価値、行為無価値、人の死亡という三つの結果の評価(殺人・傷害致死・過失致死に対する刑罰差の原因)、違法性の本質、法益侵害、規範違反、二元的行為無価値論、主観的構成要件要素における主観的違法要素と責任要素、不法領得の意思が責任要素である理由、傾向犯、表現犯、目的犯、抽象的危険犯、具体的危険犯、放火罪、偽証罪、通貨偽造罪、主観的正当化要素、偶然防衛、不能犯、具体的危険説、客観的危険説、
  <性犯罪の体系>強制猥褻罪、強姦罪の成立と淫行条例(合意があっても13歳未満の女子との性交は強姦罪を成立させるが、18歳未満者との自由恋愛については青少年保護育成条例によって県ごとに取扱いに差がある)、年長青少年との性交における年齢の錯誤、強要罪、愛人契約と自然債務、援助交際と純愛、醜男女批判、侮辱と名誉毀損、
  <責任能力>心神喪失、心神耗弱、刑事未成年、精神障碍者、知的障碍者、統合失調症、措置入院、鑑定、弁識能力と統御能力、障碍者の行為能力、刑法と不法行為の責任能力、障碍者自立支援法、身体障碍者、監督義務者、不法行為の要件、認知症、成年後見制度、後見と認知症、原因において自由な行為、二重の故意、同時存在の原則、故殺と謀殺、
  <児童>児童虐待、性的虐待、児童自立支援施設、児童養護施設、乳児院、少年院、里親制度、監護、懲戒、親権喪失宣告、