英米法Ⅱ
担当者中江 章浩教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングFUL-302

授業の概要(ねらい)

 多元的な価値を認めながら法による支配を実現することは可能なのでしょうか。現代社会の課題の一つは、普遍的な正義はあるのかということだと思います。「平等」という言葉ひとつをとっても、社会が異なれば意味するところが全く異なることがよくあります。異なる価値観の衝突は、年金や生活保護などの社会の富の分配やパレスティナ問題などの民族・人種問題として現れます。生存権を保障しながら、自由競争を基本原理とする社会において、社会保障の制度設計や移民の受入の是非などの形で、このテーマが鋭く問われています。民族・社会・個人によって正義・価値観のものさしが異なるところに、この問題の原点があるのでしょう。正義・価値観のものさしの違いの原点は、「平等」と「自由」についての優先順位の違いだと思います。そこで、本講座では、現代社会の具体的な事例を題材に、自由と平等のバランスのとり方について考えることを目標にしています。また、内容は中江ゼミに直結し、全学部の方が受講できますので、ふるってご参加ください。

授業の到達目標

 英米法の民事法分野を理解する。

成績評価の方法および基準

 レポート(1回)、授業の出席、授業中の発言などを総合して評価しますが、出席を重視します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『法の国アメリカを学ぶ』福田守利著 (有斐閣)
教科書『アメリカ法判例百選』(有斐閣)
参考文献『資本主義・社会主義・民主主義』シュンペーター著(東洋経済新報社)

準備学修の内容

 指定した教科書を事前に読んでおくこと。
 このシラバスの授業計画の中に書かれている問についての自分なりの答をまとめておくこと。

その他履修上の注意事項

 考えるための道具として法律の条文を使いますので、必ず、小六法を持参してください。

授業内容

授業内容
第1回 使用するテキスト『法の国アメリカを学ぶ』(福田守利著 有斐閣)に従って、次の順序で、毎回の授業を行いますが、教科書の記述を単になぞるような授業をするのではなく、以下の問を切り口とする対話方式の授業を心がけます。
 家族法と生殖医療
第2回 不法行為概説
第3回 名誉棄損
第4回 商標権の侵害
第5回 著作権の侵害
第6回 特許権の侵害
第7回 製造物責任
第8回 反トラスト法
第9回 雇用と法
第10回 契約法概説
第11回 申込と承諾
第12回 約束に基づく禁反言
第13回 未成年者の契約
第14回 詐欺防止法
第15回 準拠法
 ○アメリカ法における不動産登録制度と日本法における印鑑登録制度は、考え方に違いがあるか
 -キーワード-
  英米法の物権変動:deed、Notice Recording Statute、notice type、race type、Conveyance、Risk of Loss、Freehold、Torrens Title System、Recording System、
 ○家の建築を工務店に頼んだが、完成直後に大震災で倒れてしまった。しかも、運悪く、倒壊する際に通行人にけがを負わせてしまった。家の代金・通行人の治療費は誰が払わなければならないか
 -キーワード-
  債権と物権 契約 契約存続中の関係 牽連性 危険負担 債権者主義、債務者主義、同時履行の抗弁権 不法行為 損害賠償額の算定 因果関係 地震保険 売買 担保責任 現代的不法行為(消費者契約法・訪問販売・PL法・自賠責)、請負、完成不能、工作物責任、国賠法2条、飛騨川バス転落事件、多摩川水害訴訟、
 ○会社(届出)は銀行(特許)より作るのを難しくすべきか
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  資本主義と明治維新 特許 許可 認可 認証 届出 自由設立主義 官の仕事 役所と法人の関係
 ○高校の同窓会で、社長となった同級生から、その会社が新製品を発売することを聞いた。そこで、全財産をかき集めて、その会社の株を10%買って大もうけした。許されるか
 -キーワード-
  金融商品取引法 証券取引法 公開買付 インサイダー取引 風説の流布 株価操作 有価証券報告書
 ○住宅供給公社が阪神・淡路大震災の災害復興住宅として建てたマンションを半額に値下げしたのは違法として、値下げ前にマンションを購入した住民が損害賠償を求めた場合の法律関係
 -キーワード-
  相撲協会の年寄株の売買を禁止することの意味、契約とは何か、契約存続中の関係、事情変更の原則、目的不到達、経済的不能、等価関係の破壊、意思主義、解除と契約改訂、継続性原理、再交渉義務の効果、公的性格の公社 適正価格 市場価格、相当賃料、サブリース、
 ○生殖医療:A子は念願かなって初恋の人B男と40歳で結婚した。高齢出産となるためC子に代理母を頼みD子が生まれたがC子はD子を連れて姿を消してしまった。A子がD子を取り戻すにはどうしたらよいか
 -キーワード-
  母子関係の基軸:遺伝子・意図・出産のいずれか、代理母、仮腹、ベビーM事件、契約順守と予測可能性、子の福祉、依頼人夫妻、代理母の翻意、産みの苦しみ、日本産婦人科学期ガイドライン、厚生科学審議会生殖補助医療部会、生殖補助医療に関する法律、いのちの法と倫理、不妊治療、
 ○生殖医療:クローン人間はなぜいけないのか
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  雌の動物学的強さ ミトコンドリア・イヴの歴史的意味 ミトコンドリアDNA 共通祖先伝説 多地域進化説の敗北 コンラート・ローレンツの攻撃遺伝子 強制説と反強制説 未成年者飲酒禁止法の趣旨 悪法は法か ソクラテスの弁明 死刑の意味 応報刑と教育刑 刑罰の意味 死刑廃止国 現代日本人の感情
 ○生殖医療:タレントの向井亜紀さんと元プロレスラーの高田延彦さん夫妻が米国人女性に代理出産を依頼して生まれた双子の出生届を受理するよう求めた裁判で、最高裁は、「現行民法の解釈では、卵子を提供した女性と子の間の母子関係は認められない」との初判断を示したが、これをどう考えるべきか
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  生命倫理 代理母 子供の受取拒否・取り合い クローン人間 キメラ 環境破壊 人間の生き方 ライフサイエンス 科学哲学 進歩思想 人間性 歴史観 進化論 科学的知識 人口対策 欺瞞的自然愛 記述の理論 制御の理論 自然と人間の接点 臓器移植 脳死 遺伝性疾患 宗教
 ○登記を持たない善意の転得者・登記を持つ悪意の転得者の保護は、転得者の出現が、原権利者の詐欺理由による取消の前後で変わるか
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  民法の精神 私的自治の意味 対抗問題 登記の公信力 ドイツ登記制度 司法書士 抵当権と登記 公示機能 物権の効力 物権的請求権 費用負担 物権法定主義 物権変動 意思主義 形式主義 物権行為独自性説 有償性の原理 相続と登記 即時取得 明認方法 占有権
 ○なぜイスラムではマホメットの風刺画を描くことが問題なのか
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  「政教分離制度」の3類型「寛容型」・「中立型」・「否定型」、人の法と神の法 表現の自由 偶像禁止 神を冒涜する表現の自由の有無
 ○なぜフランスでは、ナポレオン法典が生まれ、動物愛護を叫ぶ人が移民排斥を叫ぶのか
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  ナポレオンとフランス革命 実存主義と構造主義・現象主義 ニーチェとサルトル フーコーとハイデガー 償還払い方式 官僚大国 ジュペプラン 社会党 EU 大統領と首相 暴力団などが仲介する売春や他の低賃金労働を「現代の奴隷制」と位置づけ 奴隷貿易禁止法成立、2元論的世界観(自然と人間の融合)、動物愛護は1元論的世界観(人間の環境支配)、アフォーダンス、
 ○なぜローマ法は現代社会に影響を与えることが出来るのか
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  法と道のローマ帝国 ローマ法学の実際的性格 ローマ法学の歴史的展開
 ○日本ではなぜすんなり世が変わるのか
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  版籍奉還・農地改革と三位一体 将来への自信と展望の有無 日本的集団主義とパターナリズム、歴史にみる変革の2類型 鎌倉幕府型と明治維新型 外圧による存亡の危機の有無 変革に要する時間
 ○日本ではなぜ塾に行く人が多いのか
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  中・韓の受験戦争と官僚制 現代最大の既得権 天下り先のランク 科挙と魯迅 受験勉強の害悪 東大生のメンタリティー キャリアとノンキャリア
 ○日本ではなぜ談合がなくならないのか
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  17条憲法と金権政治 政治と金 官製談合 自由主義と功利主義 和の政治における優劣のつけ方 冠位十二階=徳と自由主義 政治と行政の関係
 ○日本ではなぜ天下りがなくならないのか
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  報酬後払いシステムにおける公益法人 許認可を用いた人事支配 非課税と非効率 外形標準課税と消費税 年金一元化 ハーバード卒業生の就職先 企業と国民性 二重構造の日本社会 カースト制と同和問題 中・韓の受験戦争と官僚制 現代最大の既得権 天下り先のランク 科挙と魯迅 受験勉強の害悪 東大生のメンタリティー キャリアとノンキャリア
 ○日本ではなぜ仏壇と神棚が一緒にあるのか
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  神仏習合とムガール帝国 対立原理調和の2類型 情報環境の違い
 ○日本ではなぜ法学部出の役人が多いのか
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  元老・東大法学部と日本官僚制 法科万能の意味 科挙と高等文官試験 牧民官 先頭ランナーの舵取り 後衛と前例主義 政治と行政のあり方 日本官僚制の特色 官に頼る国民性 陪審制と参審制の歴史
 ○日本では地方の時代が始まるか
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  国と地方の歴史(廃藩置県 内務省と知事任命制 GHQと地方自治 三割自治 地方分権推進一括法 法定受託事務 自治事務 機関委任事務の廃止 三位一体 平成の大合併) 超伝導の青葉城 地方主権の具体例 中国人観光客とエコ大国
 ○日本で明治維新はなぜ成功したか
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  薩長同盟と国連中心主義 錦の御旗の意味 天皇制と正統性原理 歴史にみる変革の2類型 鎌倉幕府型と明治維新型 外圧による存亡の危機の有無 変革に要する時間 城壁のない都市 絶対的正義感のない日本社会 版籍奉還・農地改革と三位一体 将来への自信と展望の有無 日本的集団主義とパターナリズム 健全野党は外国 総与党体制と同質社会 外国人犯罪と島国効果 ガラパゴス諸島と進化論 帰化人と南蛮人 蛇頭とマフィア
 ○日本と世界の憲法・民法・刑法は、どう違うか
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  集団的自衛権・教育権・法令審査権・公民権運動・政教分離 選択的夫婦別氏制度・皇室典範と女帝・女系・母系社会・氏と姓・イスラム法の婚姻・近親婚の範囲・家族法における取消と無効・法律婚主義・破綻主義・possesio・Gewere・意思主義・所有権の移転時期・登記の効力・対抗要件主義・公信の原則・公示の原則・危険負担・債権者主義
 ○日本の権力は弱いか
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  大蔵省と神祇官 権力の本質 徴税・治安・外交 GHQと官僚 パターナリズムの伝統とcatch up時代の特質 「お上」の意味
 ○日本の税金は高いか
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  脱税率と節税 シンガポール方式 官僚の手数料とIT社会 天引きと郵貯・年金積立金 納税意識の欠如と腐敗の程度
 ○日本の常識は世界の非常識なのか
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  情報革命と日本の特性 農業革命と金属文化の同時到来 産業革命と民主主義の同時到来 情報革命とcatch up時代終了の同時到来 マージナルな同質社会 文明開化と武道の型 文明の衝突と弱者の対応
 ○日本の目指すべき国の形はなにか
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  アングロサクソン型・アルペン型・東アジア型・中南米型・イスラム型 多民族共存
 ○日本の役所はなぜ法学部出が多いのか
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  元老・東大法学部と日本官僚制 法科万能の意味 科挙と高等文官試験 牧民官先頭ランナーの舵取り 後衛と前例主義 政治と行政のあり方 日本官僚制の特色 官に頼る国民性 陪審制と参審制の歴史
 ○日本はアメリカと中国のどちらと組むべきか
 -キーワード-
  中国の将来と対中長期政策の必要性 中華思想の歴史 日清戦争と対中観 モンロー宣言とブロック経済 太秦と夷荻政策 対中政策・日米安保とアジア版EU
 ○日本は国連常任理事国になれるか
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  未来志向平和主義 アルカイダとパレスティナ 日本版CIAの必要性 憲法改正と令外官の伝統、
 ○日本は太平洋戦争では間違っていたのか
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  年金協定・自由貿易協定と大東亜共栄圏 断髪令・断髪離婚と神風 辮髪と和魂洋才 西体中用 異人と外人 日韓併合 在日朝鮮人 北朝鮮と拉致問題 空港建設に見る日本の体質と対応策 40年周期説 戦略なきことを逆手に取る戦略 多神教文化と国際社会 和魂洋才 奈良の大仏と鉄砲伝来 明治維新と戦後復興
 ○日本人はなぜ本音と建前を使い分けるのか
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  コンプライアンスと令外の官 摂関政治と幕府政治の法的根拠 未成年者飲酒禁止法と行政指導 国際化による法治主義の進展
 ○年20%を超える金利を認めないことは正しいか
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  利息制限法 最高裁の過払い請求容認 職業選択の自由 徳政令 貸金業者倒産数 グレーゾーン金利 金融収縮 サブプライムローン
 ○普通車と軽自動車は、物権変動において違いがあるか
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  所有権の意義:民法の精神、近代私法の3原則、私的自治の意味、アマゾン裸族の所有観念、所有権と入会権、中国憲法10条(都市の土地は国家所有・農村の土地は集団所有)、物権変動一般:意思主義、形式主義、物権行為独自性説、有償性の原理、登記の公信力、対抗問題、94条2項の類推適用、ドイツ登記制度、抵当権と登記、公示機能、物権の効力、物権的請求権、費用負担、法務局、司法書士、不動産登記法、物権法定主義、無効・取消・解除・撤回、取消と登記、相続と登記、時効と登記、即時取得、明認方法、占有権、
 ○民間の癌保険において告知義務違反の立証責任は誰にあるか
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  立証責任の配分、告知義務、民間保険と公的保険、
 ○無謀運転をしてきた対向車を、避けようとした18歳の貧乏学生が運転する車に、通勤途上で轢かれてしまったとき、どうすれば賠償を求められるか
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  不法行為の要件、正当防衛・緊急避難の刑民比較 立証責任の相違 過失相殺、刑法と不法行為の責任能力 監督義務者 使用者 第3者のためにする契約、医療保険 自賠責保険、労災保険、通勤災害、損益相殺、保険代位、求償権、責任保険、損害保険、社会保険、三共自動車事件、