地域情報論Ⅱ
担当者野本  敬教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングSOC-108

授業の概要(ねらい)

通常私たちは「地域」をあらかじめ決まったまとまりと考えがちです。しかし実際は、地域区分とは長期的な人間の営みに関わり形成されてくる枠組みでもあります。
この講義では中国西南部の「消え去った」民族世界について学びます。歴史上、一時は確かに存在した西南中国の「民族世界」が、その後中国の一部に変容することで表面上は「消え去り」、しかし別の形でその命脈が保たれ続ける現象をみることで、中国における統一と多元性、「民族」と「地域」の変遷について考察します。

授業の到達目標

北方民族のように分離・独立傾向を明確に示しこそしないものの、中華体制内に統合されてなお独自の文化や社会構造を維持し続ける南方民族の歴史を通じて、明瞭に区分されないまでも確かに存在した「民族地域」について学びます。
一枚岩と見なされがちな「中国」という存在を、多元的な歴史をもとに考えることで、柔軟で多様な理解を培います。

成績評価の方法および基準

期末試験またはレポート(50%)及び平常点(50%)より評価します。平常点はLMSの課題履行状況から判断します。
評価に関わる試験またはレポート・課題の解説については、LMS上で解答例や評価観点を解説することにより行います。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献特定のテキストは使用しません。授業は資料配付を中心に、時にパワーポイント等も使用しつつ進めます。
参照すべき文献についてはその都度紹介します。

準備学修の内容

授業内で提示した内容を、紹介された参考文献などを通じ各自で理解を深めることは必須です。(1時間~30分程度)
授業の進行と並行して一定の単元毎にLMSを利用した理解度を測る課題を設定するので、授業時間外に実施してください。
そのためにも復習には一定の時間が必要です(30分程度)。
具体的な要領については授業時に随時提示していきます。

その他履修上の注意事項

資料はLMS掲示により配付の予定です。
教室内では、脱帽、スマートフォンなど電子機器は使用を控え、私語を慎むなど講義の妨げにならないよう静粛にして下さい。
授業時間中で説明できる事項には限りがあるので、背景や関連事項などについては図書館で関連する本を読むなど各自の能動的な学習が必要になります。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:中国の「一統」
第2回中国の多元性と統一の論理①:「中華王朝」とその拡大
第3回中国の多元性と統一の論理②:「中華帝国」の統合
第4回中国の多元性と統一の論理③:中華民族多元一体論
第5回中国の民族認識【オンライン開講予定】
第6回「多元」の実態:中華王朝と地方政体
第7回「土司」とは何か①“間接統治”政権という視座
第8回「土司」とは何か②「中国化」以前の社会態制
第9回明清時期イ族「土司地域」の動態①イ族土司政権群の登場
第10回明清時期イ族「土司地域」の動態②隆盛と習合
第11回明清時期イ族「土司地域」の動態③変容と対立
第12回明清時期イ族「土司地域」の動態④反乱とその結果
第13回清朝時期イ族「土司」の動態①解体と王朝統治下での動態
第14回清朝時期イ族「土司」の動態②中国化への適応
第15回まとめ・「歴史」の復権と創出