心理学総合演習Ⅳ
担当者大江 朋子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [文学研究科 臨床心理学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 人は自分の置かれた社会文脈から自分や他者や社会をとらえていくが,それは些細な文脈によって変動することがある。それはまた,特定の文脈を個人に提供することができれば,個人の見方や行動を変えることが可能になることを意味している。この授業では,社会心理学とその周辺領域で扱う研究(社会的自己,社会的な認知と感情,自己制御,利他性と攻撃性,集団やコミュニティ,ソーシャル・サポート,コミュニケーション,文化と進化など)から比較的新しい知見を取り上げ,社会と個人の関係の柔軟性に着目しつつ,その関係を応用した心理学的な問題解決法を検討する。個人のなかで発生している問題を社会文脈に位置づけて考えていく姿勢は,個人の問題への対処ばかりでなく,調和のとれた社会を生み出すきっかけにもなるだろう。

授業の到達目標

・人の発達や進化の過程で現れるさまざまな社会的現象についての専門的な理論を説明することができる。
・個人の心身と社会との関係について議論することができる。
・社会のなかで生じる心理学的な問題の予防,支援,環境整備,情報提供などのあり方を提案することができる。

成績評価の方法および基準

 試験とプレゼンテーションから総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献

準備学修の内容

・発表担当者は,パワーポイントで作成した資料を用いて,他の履修者が内容をよく理解できるように,また,他の履修者からの質問や意見に対応できるように,事前に十分な準備をしておく。他の履修者は事前に該当箇所を読み,全体での議論の際には積極的に発言する。

その他履修上の注意事項

・社会心理学だけでなく,幅広い分野の知識を用いて議論するよう意識してほしい。
・資料配布および課題提出には,学内のネットワークシステムやホームページを利用する。

授業内容

授業内容
第1回授業内容について説明し,発表者の割り当てを行う
第2回社会的自己について学ぶ
第3回社会的な認知と感情について学ぶ
第4回自己制御について学ぶ
第5回利他性と攻撃性について学ぶ
第6回集団,家族,コミュニティについて学ぶ
第7回ソーシャル・サポートについて学ぶ
第8回コミュニケーションについて学ぶ
第9回文化と進化について学ぶ
第10回身体と社会性について学ぶ
第11回心理学的な問題解決を議論する1
第12回心理学的な問題解決を議論する2
第13回心理学的な問題解決を議論する3
第14回社会心理学の理論や方法を実証研究に取り込む方法を議論する(オンライン授業)
第15回各テーマを扱う意義と課題をまとめ,理解度を確認するための試験を行う