授業は、ティーム・ティーチングの形態で行う。 教育の基礎理論を踏まえた上で、児童生徒理解及び教育相談の基礎的な内容や方法、援助資源アセスメントの実際、 関係諸機関との連携・協働等について理解し、日常の教育活動に教育相談の姿勢・態度を活かし、個に応じて適切に指導する実践力の育成を目指す。不登校やいじめの防止、様々な学校不適応対策を軸に、児童生徒を理解する意味や方法についての理解を深め、子どもの心に寄り添ったケアを実践できる能力をケースカンファレンスの模擬実習や相談場面のロールプレイング等実習を通して受講者自ら体験的に理解する。また、児童生徒が抱える課題や困難の背景要因を把握・理解するための心理教育的アセスメント、教育相談・カウンセリングの方法・技法について習得する。さらに、学校内における教育相談体制、教職員･保護者･地域との連携･協働の在り方を体験的に学び、特別支援教育 やキャリア教育の視点も含め、医療との連携や相談機関等との連携を元に校内においてどのようにマネージメントしていけ ば良いかについて具体的な指導計画を考察する。
＜A類学生＞
・児童生徒理解及び学校教育相談の基礎的な内容や方法、いじめ等への対応、援助資源アセスメントの実際、関係諸機関との連携・協働等について理解し、日常の教育活動に教育相談の姿勢・ 態度を活かし実践できる。
＜B類学生＞
・保護者・地域・関係諸機関との連携・協働を視野に入れた教育相談のあり方について理解を深め、児童生徒理解と 教育相談の高度な技能を習得し、学校や教育相談担当教員に対して適切に指導助言することができる。
・児童生徒理解、心理教育的アセスメント、教育相談、特別支援教育に関する理解度（報告、レポートなど）（60％）と、演習に取り組む姿勢と意欲（40％）を基に評価する。
参考図書としてあげた「学校心理学」を熟読し、子どもの心の理解、適切な支援について理解し、教職大学院の他の授業で本講座の内容を反映できるよう努めてほしい。
子どもを理解するとは、自分の内面を見つめることである。特に演習を行うときは、オープンマインドで臨み、他の受講者と心を開いて語り合う姿勢を大事にしてほしい。
| 回 | 授業内容 |
|---|---|
| 第1回 | オリエンテーション（LMS・講義） 授業の流れについて理解する。児童生徒の心の問題、様々な学校不適応の現状と課題についての講義。受講者が課題意識を共有する。 |
| 第2回 | 不適応とは何か（講義とディスカッション） 子どもの心理発達の課題と不適応の起こるメカニズムや防衛機制について理解したうえで、これらの不適応や防衛規制についての事例を出し合い理解を深める。 |
| 第3回 | 学校における教育相談の意味（講義と演習） カウンセリングの理論体系や、教育相談の基礎知識について学び、カウンセリングマインドの本質について理解する。学校現場で教育相談を実践していく上での課題を協議する。 |
| 第4回 | 開発的教育相談演習 １～感受性訓練 （演習） 感受性訓練の演習を通して、感受性を研ぎ澄ますことの意義を学ぶとともに、心の動きを実感する演習を行う。 |
| 第5回 | 開発的教育相談演習 ２（講義と演習） 数種類のグループワークの演習を体験し、その狙いと技法と意義を体験的に学ぶ。 |
| 第6回 | 事例検討（講義と演習） 事例検討を行うなかで、初期対応・教育相談の重要性を理解し、子どもや保護者に真摯に向き合うことの難しさを話し合う。 |
| 第7回 | 教育相談の技法 １（講義と演習） 傾聴の基本技法をロールプレイング演習を通して身に付ける。 ・A類学生：傾聴訓練により、簡単な技法を身に付け、使えるようになる。 ・B類学生：トレーナーとして簡単な傾聴訓練の研修を行うことができる。 |
| 第8回 | 教育相談の技法 ２（講義と演習） 傾聴技法を使った簡単な模擬教育相談を行う。 ・A類学生：傾聴技法を適切に使い、模擬教育相談ができる。 ・B類学生：模擬教育相談訓練のトレーナーとして助言ができる。 |
| 第9回 | 学校が行うチーム援助（LMS・講義） 児童生徒の理解とケアのためには、組織的な対応が不可欠であることを学び、その基本となる援助チームの構築と支援方針・支援計画の作成が必要であることを理解する。また、学校をめぐる関係諸機関の役割を理解し、適切な連携の在り方について考える。 |
| 第10回 | ロールプレイング演習 １ （演習） 演習題（発達障害等への対応）から、実際の相談場面、初期対応などの場面設定をし、相談の模擬体験を行う。 |
| 第11回 | ロールプレイング演習 2 （演習） 演習題（いじめ被害等への対応）から、実際の相談場面、初期対応などの場面設定をし、相談の模擬体験を行う。 |
| 第12回 | ロールプレイング演習 ３ （演習） 演習題（性非行・被害等）から、実際の相談場面、初期対応などの場面設定をし、相談の模擬体験を行う。 |
| 第13回 | ロールプレイング演習 ４ （演習） 演習題（自殺企図・摂食障害等）から、実際の相談場面、初期対応などの場面設定をし、相談の模擬体験を行う。 |
| 第14回 | ロールプレイング演習 ５ （演習） 演習題（児童虐待・家出等）から、実際の相談場面、初期対応などの場面設定をし、相談の模擬体験を行う。 |
| 第15回 | まとめ この授業で学んできたことを振り返り、教職の意義、教育の基礎理論を踏まえて児童生徒の理解とはどういうことかを考える。 |
