地方史研究Ⅰ
担当者深谷 幸治教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [史学科]
科目ナンバリングJPH-239

授業の概要(ねらい)

 この地方史研究という授業は、さまざまな地方、あるいは地域として認識され区分される、それぞれの個性を持った一定の範囲の土地について、場所ごとに積み重ねられてきたその歴史・地理的特質・文化的差異などについて講義し、また説明していくものである。
 地方・地域とはいろいろな定義が考えられるが、この授業では担当教員が実際に現地に足を運び、たとえ一部であってもその現場の風土・生活・文化などを実見・体験してきた場所を素材として取り上げ、原則として授業時間毎に一つの地方・地域に関する説明を行っていく方式で進める。今年度はそれに該当する「地方」をややミクロな範囲とし、取り上げる地方ごとに一回の授業を使って講義していく。

授業の到達目標

 地方・地域の歴史・地理・文化等の諸相につき、担当教員が分析し説明していく講義を通じて、受講学生がそれらで取り上げられた、あるいは自らが居住する地方・地域の特質を認識し、知識・知見として取り入れることを目標とする。それらを基礎として、学生が専門的分野の演習への対応や卒業論文の構想などに際し、この授業で説明するような視点・手法・内容を手かがりとして生かしていくことができるようにする。

成績評価の方法および基準

 出席は成績評価の前提となる必要条件である。それを満たした上で、授業中の受講態度や前期最後の時間に実施する試験の解答内容を勘案して、成績を評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは使用しない。授業に必要な各地方・地域の情報を掲載したプリントを担当教員が作成し、毎時間それを学生に配布する。
教科書
参考文献『都道府県史シリーズ』47巻山川出版社

準備学修の内容

 受講を希望する各学生は、自らの興味がある地方・地域に関する関係書籍を多読しておくこと。この授業では、内容理解の都合上、地理的な知識をある程度持っていることが不可欠となるので、普段から地図を見る、旅行をして実地にその場所を知る、などといった形でそれを深めておくこと。

その他履修上の注意事項

 地方史・地域史に興味を持つ学生にとっては有意義な授業と考えるので、そうした学生の積極的な参加を期待する。
 また以下の授業内容はあくまで予定であり、状況によっては変更されることがあるので、承知しておいてもらいたい。

授業内容

授業内容
第1回 講義の方針などについて説明する。基本的なことは上記の説明の通りなので、初回から講義を開始する。今年度1回目は淡路島の地理(地誌)と歴史を扱う。
第2回 伊賀・甲賀。それらはなぜ忍者の里と考えられるようになったのか。
第3回 伊豆。伊豆半島は関東なのか、東海なのか。
第4回 伊勢。神が住まう土地であり、日本神道の醸成地。
第5回 宇都宮。北関東の主要都市であり、また帝京大学とも関係する土地。
第6回 大阪。秀吉以後の大坂の町だけでなく、古代からその歴史をたどる。
第7回 金沢。北陸の主要都市、その発展に関わる宗教的背景と政治的背景。
第8回 神戸。古代から港町、現在でも港町。
第9回 薩摩。日本本土最南端の特性を見る。
第10回 庄内。出羽南部の豊かな平野、干渉する周辺勢力。
第11回 関ヶ原。なぜ関ヶ原の戦いは歴史上3回も存在したのか。
第12回 仙台。伊達政宗が創った新たな都市。
第13回 利根川。視点を変えて、土地ではなく川という「地域」の歴史をたどる。
第14回 東海道。上と同じく土地ではなく、道という「地域」はどうか。
第15回 全体のまとめと総括、試験。