西洋史概説Ⅰ
担当者
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-101

授業の概要(ねらい)

受験勉強を終えたばかりの一年生諸君に必要なのは、第一に歴史を人類史的な視野でとらえることであり、第二に古典作品をじかに読んで、生の文章に触れることである。細かな知識はネットでいくらでも手に入る。大事なのは、個々の知識を総合して、自分なりの歴史像や世界観を作るということだ。そのための考え方、方法を提示して、思考力を伸ばすことがこの授業の最大の目標となる。
前期の授業では、地球の歴史から始めて人類史を大きな視野でとらえ返し、文明、国家、戦争、宗教、歴史意識といった基本的な事象を、その発生にさかのぼって根本から考察する。それと同時に聖書や叙事詩、歴史叙述など、主に西洋古代に書かれた作品の抜粋を読み、一字一句を丁寧に検討する。この両方の作業を通して、受験で覚えこんできた歴史像を作り直していきたい。

授業の到達目標

主題となった基本概念について、自分なりの表現で解説できること
古代史のキーワードを歴史的背景のなかで理解し、説明できること
以上をふまえて、西洋史を受験勉強とは違うやり方で描く能力を身につけること

成績評価の方法および基準

2回のミニレポート(25%×2)および期末試験(50%)による
ミニレポートは答案の書き方練習でもあるので、添削して返却し、できの悪い答案は何度でも書き直しを命じる
期末試験の答案は9月の最初の授業で返却する

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特定のテキストは使用せず、毎回史料のプリントを配布する
参考文献授業のテーマごとに紹介する

準備学修の内容

次の授業までに前回のプリントとノートを読み直しておくこと

その他履修上の注意事項

毎回の授業で小さな課題を出して答案用紙に書いてもらい、その提出をもって出席を認定する
ぼんやり座っている暇はないので、そのつもりで

授業内容

授業内容
第1回(オンライン)
オリエンテーション
歴史を学ぶ意味について・自己紹介を兼ねた私の研究紹介
第2回感染症と文明、新型コロナと現代資本主義
第3回ビッグヒストリー:地球の歴史と気候危機
第4回文明の誕生、国家と戦争の起源
第5回一神教の誕生:『旧約聖書』を読む
第6回古代叙事詩の誕生:ホメロス『イリアス』を読む 
第7回歴史意識の発生と歴史叙述:ヘロドトス『歴史』を読む 
第8回古代ギリシアの民主政:トゥキュディデス『歴史』を読む
第9回(オンライン)
アケメネス朝ペルシアからアレクサンドロス帝国へ
第10回ローマはいかにして世界帝国となったか
第11回ジェンダー視点で見直す古代史
パルテノン神殿の図像解釈、クレオパトラの人物像
第12回「ローマの平和」を問い直す 
第13回キリスト教の成立
第14回西ローマ帝国の滅亡と中世ヨーロッパ世界の成立
第15回前期のまとめと期末試験