担当者 | 鈴木 智弘教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経済学研究科 経営学専攻] | |
科目ナンバリング |
人的資源管理論特講Ⅱは、特講Ⅰ(21年前期)で学んだ人事マネジメントシステム(K・Sモデル:角宮正義・鈴木智弘モデル)を元に、現実の企業経営に活用できるHRMについて講義すると共に、受講者との討論を通じて理解を深めてゆきたいと思います。人的資源管理論特講Ⅰ(21年前期)の履修を前提としますが、未履修者にも理解できるよう工夫します。K・Sモデルは、日本を代表する人事コンサルタントである角宮正義氏と担当教員の鈴木智弘が、共同作成した、育成を目的とした人事マネジメント・システムです。
米国型企業システムを世界標準(Global・Standard)として、日本企業に押しつける動きが21世紀に入ってから顕著になっています。人事マネジメント・システムは、経営目標、経営戦略のサブシステムです。何を目的とするのかによって、どのような人事マネジメント・システムが最適かどうか異なります。米国型企業システムでは、短期的な企業収益を目的とする場合が多く、その場合、人材育成に時間が必要となり、コストも増加するため、育成型の人事マネジメント・システムよりも、労働市場での取引価値を重視する人事マネジメント・システムを採用する企業が目立ちます。しかし、どのような人事マネジメント・システムが、適正なのかは、各々の企業の経営目標や経営環境によって異なり、労働市場での取引価値を重視する人事マネジメント・システムは、資金力のある企業には採用可能でしょうが、わが国の企業に適切なものかどうかは不明です。
この講義は、簡単に労働市場から労働者を調達できず、解雇も難しいという特性を持つ、我が国の労働市場の中で、ビジネスを行う中小企業では、現有の従業員を育成することで競争力を高めることが重要と考え、育成型の人事マネジメント・システム((K・Sモデル)を核に説明します。
初歩的なツール取得と異なり、大学、特に大学院では、「この授業を履修したから、直ぐに、何々ができるようになる」などということは、希有です。しかし、この講義では、受講者に、以下のことに到達することを求めます。
1.人事マネジメントシステム(K・Sモデル)についての理解すること
2.人的資源管理論を、経営戦略の中に位置付けて考えられるようになること。
毎回の授業への参加状況(50%)、期末レポート(50%)
レポートの評価基準は、
1.設題に的確に答えているのか?
2.全社戦略の中に、人事戦略を的確に位置付けているのか?
3.社会環境の変化と人事戦略を的確に位置付けているのか?
4.専門用語を正しく使用しているのか?
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 特に指定しません。 | ||
参考文献 | 人的資源管理論【理論と制度】 | 八代充史 | 中央経済社 |
アメリカ管理論の観点で言えば、HRMも、工場管理手法であったテーラーの科学的管理法を企業経営全体に拡張し、定量分析を基本とする「大テーラー主義」(アンゾフ、ポーター、BCGやマッキンゼー)と、メイヨー、レスリスバーガーの人間関係論から派生する「ケイパビリティ派」のどちらに重点を置くのかによって、分析フレーム、施策が異なります。
しかし、基礎的な学習を怠った経済評論家とか人材コンサルタントと称する者の著作には、木に竹を接ぐ、その場しのぎが目立ち、その施策の多くは早期で陳腐化しています。本来、大学院は、基礎学習の上に、自分の知見を身につける場ですので、自分の頭で、しっかり考えられるよう、授業の復習をしっかり行って、参加してください。
特になし。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 人事マネジメント・システム(K・Sモデル)の概要1 |
第2回 | 人事マネジメント・システム(K・Sモデル)の概要2 |
第3回 | 目標管理 経営・企業環境と連動した人事のビジョン、戦略、方針の策定・再構築 |
第4回 | 要員管理の基本1 |
第5回 | 要員管理の基本2 |
第6回 | 賃金制度1 |
第7回 | 賃金制度2 |
第8回 | 格付制度比較1 |
第9回 | 格付制度比較2 |
第10回 | 職能等級資格制度1 |
第11回 | 職能等級資格制度2 |
第12回 | 人材育成 |
第13回 | 組織風土と組織文化1 |
第14回 | 組織風土と組織文化2 |
第15回 | 「期末レポートの講評」(オンデマンド授業) |