欧米文化Ⅰ-Ⅱ
担当者上田 仁志教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングEUL-102

授業の概要(ねらい)

 【短編小説に見るイギリス】
 短編小説を素材にイギリスの歴史・社会・文化を学ぶ授業です。本セメスターでは、イギリス文学史のおおまかな流れをたどり、各時代の作家・作品の特色や社会背景を知るとともに、いくつかの短編小説をじっくりと読み味わうことで、そこに描かれたイギリスの社会や文化の一端を感性的に把握する力を養います。イギリス文学史で、短編小説が大きな発展をとげるのは十九世紀末のワイルド、キプリング、コンラッドの頃です。二十世紀に入ると、モーム、ロレンス、ジョイス、マンスフィールドらが登場し、ハクスリー、ボウエン、グリーンらが続き、第二次世界大戦後は、スパーク、レッシング、シリトー、トレヴァーらが活躍します。これらの小説家の作品の中には、伝統を重んじる一方で革新的な面を示すイギリスの社会と文化が息づいています。本セメスターでは、小説に描かれた「家族のかたち」にも注目します。授業は講義形式に終始するのではなく、参加者による文章作成や意見発表を交えて進めます。自分の意見を述べるためには予習が欠かせません。参加者は授業前課題をきちんと行うことが求められます。なお、取り上げる作家・作品は変更する場合があります。

授業の到達目標

 1.文学作品を読み、知らない言葉や事項について調べる習慣を身につける。
 2.文献や資料に基づき、作家の生涯や作品の時代背景について説明できる。
 3.作品のテーマや表現技巧を的確に説明できる。
 4.作品について、根拠を示して、自分の意見や考えを表現できる。

成績評価の方法および基準

 1.全15回の授業中10回以上の出席を成績評価のための必要最低条件とします。出席はカードリーダーの記録となります。
 2.成績評価は、平常点(課題等の提出物や意見発表)50%、中間・期末テスト50%を目安とし、総合的に判定します。
 3. 新型コロナウイルスの感染状況によっては、授業の形態、方式が変更になることが考えられます。その場合は、LMSで連絡します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教材は配布します。
参考文献
参考文献

準備学修の内容

1.配布教材(短編小説)を通読する。
2.LMS上で、教材内容(ストーリーや人物、時代背景など)に関する質問(10問)に答える。

その他履修上の注意事項

1.オリエンテーションを含む第1回目の授業は重要です。必ず第1回目の授業から出席してください。
2.出席は「完全カードリーダー制」です。入室時と退室時に学生証をカードリーダーに当てて読み取らせてください。学生証忘れや学生証の当て忘れにはくれぐれも注意してください。
3.忌引きを含む公欠については、指定の手続きをした場合に限り、通常の出席として認定します。
4.開始時刻から10分を過ぎた入室は遅刻になります。遅刻は3回ごとに欠席1回としてカウントします。
5.交通機関の遅延などの不可抗力による遅刻については、授業時にその旨を申し出た上で、指定の手続きをした場合に限り、通常の出席として認定します。
6.授業中の私語やスマートフォンなどの操作、居眠り、無断で教室に出入りする、その他、授業の効果を妨げる一切の行為は厳禁です。注意しても改善が見られない場合は出席としてみとめません。
7.状況により、座席を指定する場合があります。
8.LMSで予習課題を実施するため、インターネットが使える環境が必要です。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション/イギリス文学史における短編小説の流れと位置づけについて解説する:ディケンズ、ハーディ、スティーヴンソン、ワイルド、ドイル、キプリング、コンラッド、ウェルズなど。
第2回典型的な短編作家サキ(ヘクター・ヒュー・マンロー)の1回目:代表的短編『開いた窓』を読み、ストーリーテリングの妙味を味わう。英国上層中産階級の生活について知識を得る。
第3回サキの2回目:社会風刺的な短編『ビザンチン風オムレツ』を通して、上層中産階級の暮らしぶり、および時代風潮としての社会主義について知識を得る。
第4回サキの3回目:短編『ガブリエル‐アーネスト』を通して、上層中産階級の暮らしぶり、および文化背景としてのキリスト教やギリシャ・ローマ神話について知識を得る。
第5回サイエンス・フィクションの創始者の一人、H・G・ウェルズの1回目:ユーモラスな短編『新加速剤』を読み、SF小説の特色を知る。時代背景としての科学の普及について知識を得る。
第6回ウェルズの2回目:短編『奇蹟を起した男』を通して、SF小説の醍醐味を味わうとともに、背景にある宗教的価値観について知識を得る。
第7回ウェルズの3回目:代表的なファンタジー短編『塀についた扉(魔法の園)』を通して、ヴィクトリア時代の社会風潮について知識を得る。
第8回オンライン授業:セメスター前半のまとめと中間テスト:春期前半の授業内容(英国の階級制度、ヴィクトリア時代の社会風潮など)をまとめる。中間テスト(オンライン)を実施する。
第9回19世紀末の代表作家オスカー・ワイルドの1回目:童話『幸福な王子』を読んで、社会風刺と友愛のテーマを知る。アンデルセン童話との比較を行う。
第10回ワイルドの2回目:短編『カンタヴィルの幽霊』の前半を読んで、ユーモラスなストーリー展開を味わうとともに、英国と米国の国柄の違いについて知識を得る。
第11回ワイルドの3回目:短編『カンタヴィルの幽霊』の後半を読んで、さまざまな象徴にこめられた宗教的メッセージを読みとる。
第12回W・W・ジェイコブズの古典的ホラー短編『猿の手』を通して、下層中産家庭の家族関係を読みとる。背景にある社会不安の要因について知識を得る。
第13回世界的に人気の高い探偵作家アガサ・クリスティの1回目:短編『金持の夫人の事件』を読んで、階級制度と労働者階級の価値観について知識を得る。
第14回クリスティの2回目:短編『リスタデール卿の謎』を読んで、上流階級の価値観、とくに家に対する考え方について知識を得る。
第15回秋期セメスターのまとめと期末テスト:セメスター後半の授業内容(階級によるの価値観の違い、英米の違い、さまざまなジャンル小説など)をまとめる。期末テストを実施する。