教科指導法(国語)
担当者坂本 喜代子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 初等教育コース]
科目ナンバリングESS-304

授業の概要(ねらい)

 本授業は、小学校国語科における教育目標、必要な資質・能力の理解を深めるとともに、国語科の意義や指導法について具体的に学ぶ。学習指導要領に示された国語科の目標や内容と、背景となる理論と関連させて探求していく。
国語の学習は、「言葉の力」を身に付けることが大きな目標であるが、言葉によってものの見方・考え方を深めたり、他教科の学習に生きて働く言語活用能力を身に付けたり、言語生活の幅を広げたりするといったさまざまな役割を担っている。そこで、言葉の学習に関する基礎・基本を、具体的な教材や授業事例を通して理解していく。また、具体的な国語科授業を想定し、授業設計を行う方法を身に付ける。さらに、対話的学びを通して自分自身の「言葉の力」の伸長を図る。

授業の到達目標

(1)学習指導要領における国語科の目標及び主な内容並びに全体構造を理解している。
(2)個別の学習内容について指導上の留意点を理解している。
(3)国語科の学習評価の考え方を理解している。
(4)国語科の背景となる学問領域との関係を理解し、教材研究に活用することができる。
(5)子供の認識や思考、学力などの実態を視野に入れた授業設計の重要性を理解している。
(6)国語科の特性に応じた情報機器及び教材の効果的な活用法を理解し、授業設計に活用することができる。
(7)学習指導案の構成を理解し、具体的な授業を想定した授業設計と学習指導案を作成することができる。
(8)模擬授業の実施とその振り返りをとして、授業改善の視点を身に付けている。

成績評価の方法および基準

・毎時間の課題:対話的な学びを通して得た気付きを論理的に書いてまとめる。(30%)
・教材研究レポート:2つ以上の文献を比較して読み教材研究レポートとしてまとめる。(30%)
・学習指導案の作成と模擬授業(30%)
・テスト:学習指導要領の内容と国語科学習用語の意味を理解し論述する。(10%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『小学校学習指導要領解説 国語編』(2017)文部科学省
教科書『小学校教師の専門性育成』(2020) 帝京大学初等教育研究会編現代図書
参考文献『小学校国語科授業研究 第五版』(2018)田近洵一他編教育出版
参考文献『文学の教材研究―”読み”のおもしろさを掘り起こす』(2014)田近洵一他編教育出版
参考文献『国語科における対話型学びの授業をつくる』(2012)鶴田清司・河野順子明治図書
参考文献

準備学修の内容

・授業で扱う教材と該当する学習指導要領の内容を事前に読んでくること。
・模擬授業は、一人ずつ実施する。学習指導案と教材を工夫して作成する。
・授業のポートフォリオ(学習記録、ノート)を作成し、今後の学びに役立てる。

その他履修上の注意事項

・小学校教員免許取得希望者の受講科目とする。
・授業は指定席とし、グループワークを中心とする。積極的にディスカッションに参加することが求められる。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション:小学校国語科教育の概要とその問題について学ぶ。【到達目標(1)】
・授業の目標、内容、進め方、成績評価について理解する。
・小学校国語科の目標と内容の概要を理解する。
第2回「指導と評価」を生かした授業設計について学ぶ。【到達目標(3)(5)】
・指導と評価の一体化について理解する。
・国語科における評価規準と評価方法について理解する。
第3回国語科の教材研究:「読むこと」①説明的文章について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「読むこと」の学習過程(構造と内容の把握、精査・解釈、考えの形成、共有)を理解する。
・論理的思考力を育成する指導法について考える。
第4回国語科の教材研究:「読むこと」②文学的文章について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「読むこと」の言語活動について理解する。
・語りの構造を読むことについて考える。
第5回国語科学習指導案の1時間の構成と意味について学ぶ。【到達目標(5)(7)】
・国語科学習指導案の構成と内容を理解する。
・子供の実態に対応した教師の指導について考える。
第6回国語科の教材研究:「話すこと・聞くこと」①合意形成について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「話すこと・聞くこと」の学習過程について理解する。
・対話的な学びについて考える。
第7回国語科の教材研究:「話すこと・聞くこと」②討論について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「話し合うこと」の学習過程について理解する。
・「話し合うこと」の言語活動について考える。
第8回模擬授業①「読むこと」の学習指導案を作成し模擬授業を実践する。【到達目標(7)(8)】
・「読むこと」の模擬授業を実施し相互評価により改善案を考える。
・学習者の視点から国語科授業を再考する。
第9回国語科の教材研究:「知識及び技能」①言葉の特徴や使い方に関する事項・情報の扱い方に関する事項について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「知識及び技能」の内容を理解する。
・「思考力、判断力、表現力等」の内容と関連付けて具体的な指導法を考える。
第10回国語科の教材研究:「知識及び技能」②我が国の伝統文化に関する事項について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「伝統文化」の内容を理解する。
・「思考力、判断力、表現力等」の内容と関連付けて具体的な指導法を考える。
第11回国語科学習指導案の単元の構成と意味について学ぶ。【到達目標(6)(7)】
・国語科学習指導案の単元指導計画の構成と内容を理解する。
・言語活動を通して指導事項を身に付ける国語科学習について考える。
第12回国語科教材研究:「書くこと」①取材・構成について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「書くこと」の学習過程について理解する。
・図表を用いた「書くこと」の学習について考える。
第13回国語科教材研究:「書くこと」②考えの形成・記述・推敲・共有について学ぶ。【到達目標(2)(4)】
・「書くこと」の言語活動について理解する。
・「書くこと」の指導と評価について考える。
第14回模擬授業②「知識及び技能」の学習指導案を作成し模擬授業を実践する。【到達目標(7)(8)】
・「知識及び技能」の模擬授業を実施し相互評価により改善案を考える。
・前回の模擬授業から得た改善の視点からの変容について考える。
第15回まとめ及びテスト:これからの国語科教育について考える。【到達目標(1)(2)(3)】
・国語科学習指導要領の内容及び全体構造を理解し、習得した学習用語を用いて説明する。
*オンライン(LMS)実施