授業の概要（ねらい）

　「東洋」は広大であり、そこに住む人のありようもその歴史のかたちも様々である。その一方で、一般に東洋各地の諸社会は、近代以降の西洋との歴史的交わり（しばしば植民地支配・被支配関係というかたちをとってきた）を通じて自らを定義し変容し、あるいは定義され変容させられてきた。「西洋とは異質な東洋」なるものは、西洋との接触以前から既にそこにずっとあったわけではなくて、西洋とは異質な（異質であるべき）何ものかとして、他ならぬこの西洋との出会いを通してかたちづくられてきたものなのである。
　このことをふまえ、東洋の社会・文化をより具体的にとらえるために、本講義では西洋との接触のもとで展開してきた南アジアの近代、とりわけインドのそれを取り上げる。今なお「カースト社会」というイメージが内外に根強いインド社会のありようは、西欧近代との交渉を通していかに形づくられてきたのだろうか。私たちが現在抱くインドのイメージ（それはしばしば一面的で貧しいものにとどまりがちである）は、そもそもいかにして形成されてきたのだろうか。
　ひときわダイナミックに変貌しつつある現代インドにも目配りしながら、講義と折々の討議やグループワークを通じて、インド世界についての歴史的かつ多面的な理解の形成をめざしていく。

授業の到達目標

・歴史のなかで「社会」を捉える態度を獲得する。
・東洋／南アジア／インド世界についての基礎的知識を獲得する。
・東洋／南アジア／インドをそのなかに適切に位置づけた「世界」像を修得する。

成績評価の方法および基準

　毎回授業後に課す課題の合計点から算出する平常点（40％）、授業内容に関するテスト（40％）、レポート課題（20%）を総合して評価する。

教科書・参考文献

準備学修の内容

・授業内容についての疑問・コメントを毎回書きとめてフィードバックする。
・毎回の授業内容を振り返り、テストを受験する。

その他履修上の注意事項

　授業の中で折にふれて提起する問いかけに積極的に応答する姿勢で臨んでほしい。私語厳禁。

授業内容