エリアマネジメント論Ⅰ
担当者今野 久子教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [観光経営学科]
科目ナンバリングTPA-301

授業の概要(ねらい)

 都市・地域が成長から成熟の時代を迎えて、まちづくりの重心が行政主体の開発から市民に身近な維持管理へと移り、コミュニティの課題も人口減少・超高齢化に伴い多様化している。こうしたなかで近年、良好な環境や地域の価値を維持向上させるための住民・事業主等による取組みが「エリアマネジメント」として体系化・提唱されている。一方、大学には、「学生による地域課題解決への参画や地域との相互交流」が求められ(※注1)、実践例も増えつつある。
 本講義では、「エリアマネジメント」の体系をもとに、市民主体の組織的なまちづくりに関する基礎的理解を促すとともに、学生の視点から身近なまちづくり(大学の地域交流・貢献)への関心と課題解決力の醸成を目指す。具体的には、先ず、背景となる地域社会とコミュニティを取巻く潮流を概観したうえで、「エリアマネジメント」や「大学の地域交流・貢献」の活動分野・テーマを学ぶ。その知見をもとに身近な地域での具体の活動テーマについて考察する。能動的学修を促すため課題レポートの作成を課す。(※対面学修の場合は、個人の課題レポートに基づきグループワークを行う)。
 コロナ禍によりまちづくりの各場面にも大きな影響がみられ、今後の変化の方向が模索されている。今後のまちづくりを考える基礎として、これまでに蓄積されてきたまちづくり・エリアマネジメントの動向や知見の理解が重要であると考えられる。新たな取り組みは試行段階といえるが、有効な事例・知見等を見極め適宜紹介することを想定する。
 なお、受講者の関心等をもとに必要に応じ関係者をゲスト講師として招聘、あるいは現地視察を行う機会をつくる。受講者や社会の状況、学修内容を勘案して適宜、対面学修またはオンライン学修とする。
※注1:『第2期教育振興基本計画(平成25~29年)』における「大学COC構想」など。COCはCenter of Community(地域コミュニティの中核的存在)の略。

授業の到達目標

 ①地域社会とコミュニティを取巻く潮流について基礎的事項を理解し、現在の地域・コミュニティの課題(関心ある領域)について説明することができる。
 ②「エリアマネジメント」について基礎的事項を理解し、市民の主体的・組織的なまちづくりの活動分野・テーマ(関心ある領域)について説明することができる。
 ③「大学の地域交流・貢献」について概況を理解し、身近な地域への適応・展開に向けた活動テーマについて自らの意見を述べることができる。

成績評価の方法および基準

評価は、各回の授業内容を振り返り自分の意見を記述する授業ノートが50%、課題レポートが50%の配分によって総合的に評価する。(※グループワークを行う場合は、課題レポート30%、レポートに基づくグループワークへの参加・積極的貢献20%とする)。
授業ノートの未提出4回以上、あるいは課題レポートを未提出の場合は、単位取得不可なので、厳重に注意すること。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書以下の資料・参考書を適宜用いるほか、授業のなかで必要に応じて適宜紹介する。
教科書エリアマネジメントに関するホームページ掲載資料(エリアマネジメント推進マニュアル等)国土交通省
参考文献(2008)『地域と大学の共創まちづくり』小林英嗣他学芸出版社
参考文献(2015)『最新エリアマネジメント―街を運営する民間組織と活動財源』小林重敬学芸出版社
参考文献(2018)『まちの価値を高めるエリアマネジメント』小林重敬+一般財団法人森記念財団学芸出版社
参考文献(2012)『多摩ニュータウン物語 オールドタウンと呼ばせない』上野淳・松本真澄鹿島出版会
参考文献(2005)『ニュータウンの未来』秋元孝夫多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議(pdf版無償配布)

準備学修の内容

まちづくりは、日常生活のあらゆる分野が総合的に関連するため、日頃から新聞、雑誌、メディア情報等を通して地域・社会の現状に広く関心を寄せるようにしてほしい。
グループワークでの検討は、進捗等に応じて適宜、授業外の時間で行うものとなる。

その他履修上の注意事項

〇春・秋学期を通じて理論と具体的考察の両面から体系的理解を得られるよう構成しているため春・秋学期の通年受講が望ましい。
〇授業ノートの未提出が4回以上は単位取得不可、提出期限後は受理できないので、厳重に注意すること。
〇課題レポートを未提出の場合は単位取得不可、提出期限後は受理できないので、厳重に注意すること。
〇受講者や社会の状況、学修内容を勘案して、適宜、対面学修またはオンライン学修とする。また、受講者の理解関心や進捗等により学修スケジュールを若干修正する可能性もあるので、十分留意されたい。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション
  ※オンライン
第2回 地域社会とコミュニティを取巻く潮流①
  コミュニティの姿と価値感
第3回 地域社会とコミュニティを取巻く潮流②
  国土政策と都市計画・まちづくり
第4回 地域社会とコミュニティを取巻く潮流③
  市民参加とまちづくり
第5回 「エリアマネジメント(国土交通省の提唱による市民の主体的・組織的なまちづくりの体系。以下同様)」の定義と全体概況
第6回 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ①
  計画・ルールの策定
第7回 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ②
  共有物・公物等の維持管理
第8回 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ③
  環境・地域活性化に関する活動
第9回 「エリアマネジメント」の活動分野・テーマ④
  サービス・コミュニティ等のソフト中心の活動
第10回 「大学の地域交流・貢献」の事例①
  特産品を活かした地域活性化
第11回 「大学の地域交流・貢献」の事例②
  高齢化団地再生・世代間交流
第12回 課題レポートまたはグループワーク(身近な地域での具体の活動の考察)①
  テーマの検討
第13回 課題レポートまたはグループワーク(身近な地域での具体の活動の考察)②
  活動方針の検討
  ※オンライン
第14回 課題レポートまたはグループワーク(身近な地域での具体の活動の考察)③
  活動メニュー・概要の検討
第15回 成果発表、授業の総括