中国文化講読Ⅰ
担当者陳  佑真教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングCHL-201

授業の概要(ねらい)

〇『論語』から考える人間と社会
 今から2500年ほど前、戦乱の時代を生きた孔子は、武力に頼らず思いやりや礼儀によって平和な世の中を作ろう、と考え、弟子たちと中国各地を旅しました。そして孔子の死後、その言葉は『論語』として整理されて東アジア中で読み継がれ、日本文化の形成にも大きな影響を与えました。たとえば、「自分がされて嫌なことは人にしてはいけない」という言い方や、十七条憲法の「和をもって貴しとなす」も、実は昔の日本人が『論語』の格言の中から選択して、自らの文化に取り入れてきたものなのです。
 『論語』に残されたのは、孔子という古代の知の巨人が苦しみながら述べた等身大の言葉の数々です。人間とは、社会とは、という生き方の哲学を含むそれらの言葉は、これから社会に羽ばたく皆さんの人生を豊かにする助けとなるはずです。
 また、『論語』には簡潔でインパクトあるパワーワードがちりばめられています。古典特有の表現に親しみながら、私たちが日ごろ無意識に使っているコトバの源に眠る世界にも触れてみましょう。

授業の到達目標

☆1:『論語』の思想について説明できるようになる。
☆2:『論語』の言葉に基づく東アジアの伝統的な思想について理解を獲得する。

成績評価の方法および基準

授業への積極的な参加(100%)によって評価します。意見や質問を積極的に提示してくださることを重視します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 プリントを配布します。
教科書
参考文献 書物としての『論語』や解釈史につきより深く学びたい方のための参考書としては、以下のものをおすすめします。
参考文献『論語―心の鏡(書物誕生 あたらしい古典入門)』・橋本秀美岩波書店
参考文献 また、漢文の原典読解にチャレンジしてみたい方には以下のものをおすすめします。
参考文献『漢文の話』・吉川幸次郎ちくま学芸文庫
参考文献『漢文法基礎』・加地伸行講談社学術文庫

準備学修の内容

『論語』には多数の注釈書や和訳があります(ガイダンスで詳しくご紹介します)。ぜひ事前にそれらを比べてみて、それぞれの解釈の違いを味わってみてください。そして、思ったことを教室で聞かせてください。一人ひとり全く異なる感想を抱くのが古典の面白さです。

その他履修上の注意事項

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:教員自己紹介・授業概要説明(LMS配信)
第2回孔子の生きた時代(対面授業)
第3回孔子の生涯(対面授業)
第4回『論語』学而篇選読―「和をもって貴しとなす」―聖徳太子の座右の銘、本当はどんな意味?(対面授業)
第5回為政篇選読―「民免れて恥無し」―刑罰か礼儀か、それが問題だ(対面授業)
第6回八佾篇選読―「礼は後か」―美人の条件(対面授業)
第7回里仁篇選読―「朝に道を聞けば夕べに死すも可なり」―理想の時代はもう来ない?(対面授業)
第8回公冶長篇選読―「丘(わたし)の学を好むにしかざるなり」―よくできることではなく、学び続ける姿勢が大事(対面授業)
第9回前半のまとめ(LMS配信)
第10回雍也篇選読―「今、汝はかぎれり」―自分の限界をきめつけないこと(対面授業)
第11回述而篇選読―「述べて作らず」―オリジナリティを考える(対面授業)
第12回泰伯篇選読―「民、得て称える無し」―えっ、誰にも褒められないことが最高?(対面授業)
第13回子罕篇選読―「君子多なるか?多ならざるなり」―多才って褒め言葉じゃないの?(対面授業)
第14回郷党篇選読―「孔子の郷党におけるや、もの言うことあたわざる者のごとし」―孔子が考えた人間関係の極意(対面授業)
第15回全体のまとめ(対面授業)
※重要なのは、最後まで読み切ることではなく、疑問をもって積極的に議論することです。各回の内容には、授業の進行ペースや皆さんの関心の傾きに応じて調整を加えることがあります。