国語科教育基礎研究
担当者橋本 和顕教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 初等教育コース]
科目ナンバリングESS-105

授業の概要(ねらい)

 言葉の力の育成は、教育活動全般にわたって身につけさせたい重要課題である。その言葉そのものを扱う国語科教育において、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」のそれぞれの領域の具体的な教材を通して、その力を学び直すことにする。学び直すとは、学習者の視点からだけではなく、指導者の視点に立つことでもある。教材を捉える力を養い、様々な言語活動を体験していくことで、豊かな学びを構築する力を身につけたい。さらに「国語の特質・伝統的な言語文化」「書写・表記力」等の基礎的・基本的な内容への必要性についても学ぶことにする。
 また、学習指導の実際に生きるような指導力の育成も欠かせない。確かな力を引き出すための指導技術にも目を向ける。絵本の読み聞かせや説明文の深め方、作文以外にどのような書く活動があるのか、話し合いの指導って何をしたらよいのかなど、小学校教材をもとにして探究することにする。
 授業においては、より具体的な教材、分かりやすい教材を活用して、これまでに身につけた言葉の力を振り返ることができるような展開を中心として、ディスカッションやグループワークなど、参加型の授業を構築する。小学校教員を目指すための第一歩として、国語科教育のあるべき姿を理解して、今ある自己の力量をさらに高めていく手立てを明確にして、教科「国語」の魅力を再発見できるようにする。

授業の到達目標

 国語科教育の「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」「国語の特質と伝統的言語文化」などの領域における豊かな言語活動を体験しながら、学習者の視点と指導者の視点とをもつために、教材分析を試み、発表することができる。自己の教材研究力の伸張を図り、国語科概論、教科指導法(国語)につながるような言語能力を伸ばすために、授業を想定した、問いを構成することができる。

成績評価の方法および基準

 授業内の活動の様子(30%) 授業内の提出物(40%) レポート(30%) テーマ 『自己のこれまでの国語科の学びをどのように改善していくか 課題発表会を通して学んだ言語活動の分析力』など。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『小学校学習指導要領解説国語編』文部科学省
参考文献

準備学修の内容

 ・扱う教材や関連教材について考察を深め、課題の発表に向けての準備等を繰り返し実施して、授業に備えること
 ・小学校教材における文学的文章や説明的な文章に関心をもって読むこと
 ・資料保管やノート整理の仕方を心掛けて、自己の学びの習慣化を図ること

その他履修上の注意事項

 自己の国語力を理解するためにも、授業の中で取り入れている具体的な内容に対して積極的な関わりを求める。参加型の授業として展開していくので、受講者の意識で授業の楽しさと充実度が上がるよう、前向きな態度を期待する。「書くこと」を取り入れる場面が多いので、日頃から文章力向上に努めてほしい。
 授業相互の密接な関連性や学力の積み上げの必要から、全15回の授業に出席する努力をすること。

授業内容

授業内容
第1回 国語科教育基礎研究とは (LMS)
 ・文字・語句語彙 ・表記力を振り返ろう ・言語感覚を豊かに
第2回 「読むこと」で身につけたいこと(1)
 ・絵本をどのように読むか
第3回 「読むこと」で身につけたいこと(2)
 ・文学的文章をどのように読むか
第4回 「読むこと」で身につけたいこと(3)
 ・説明的文章をどのように読むか
第5回 「書くこと」で身につけたいこと(1)
 ・はじめ、なか、おわり ・日記指導
第6回 「書くこと」で身につけたいこと(2)
 ・様々な文種を理解する ・紹介文を書く
第7回 「話すこと・聞くこと」で身につけたいこと(1)
 ・スピーチ力をどのようにつけるか ・3分間スピーチで話し方 ・聞き方を振り返ろう
第8回 「話すこと・聞くこと」で身につけたいこと(2)
 ・論理的思考で討議法を身につけよう ・討議法
第9回 小学校から中学校までの文字・漢字指導 ・学年別配当漢字、常用漢字を理解する(LMS)
 ・文字の書き方を振り返る ・筆順の原則を理解する
第10回 伝統的言語文化に親しむ
 ・古典教材の魅力 昔話神話伝承 文語調の短歌俳句 易しい古文漢文
第11回 発表活動を通して(1) 発問を磨く
 ・広く問う発問、深く考える発問 ・本質に迫る発問
第12回 発表活動を通して(2) 板書力の育成
 ・板書の基礎・基本 ・全体の構成 ・デザイン化
第13回 読書指導の展開(1)
 ・ブックトーク ・読み聞かせ
第14回 読書指導の展開(2)
 ・読書会で学び合う
第15回 国語科教育基礎研究のまとめ
 ・新学習指導要領を構造的に読む