担当者 | 奥村 徹 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [初等教育学科 こども教育コース] | |
科目ナンバリング | JLE-102 |
日本語教員の資格を目指す学生のために開講される。日本語教員とは、日本語母語話者ではなく、第二言語として、つまり母語以外の言語として、日本語を習得する必要がある人々を助ける職種であり、当然、専門的な知識・能力が必要とされる。
近年、日本国内でも、小学校・中学校などに、家族とともに来日した外国人子弟への日本語学習支援が課題として意識されるようになった。様々な取り組みが実施にうつされているが、まだまだ、専門的な人材が不足しているといわれている。
また、海外に留学・仕事などで滞在する機会が増えてきて、その際に、現地で日本語を習得したい人から、日本語の指導を頼まれるということも、多いようだ。その場合でも、一定程度の基本的な素養は必要だろう。
実際に、日本語教員の仕事につくかどうかは別として、キャリア構築の武器として、特に、教育系の学生が大学時代に取っておく資格として、有望であろう。
日本語教員の資質として、学習者の困難に対する柔軟な対応力、異文化理解の能力は必須だろう。春季は、言語のしくみを手掛かりに、異文化理解の観点を磨く。つまり、世界の言語の中での、日本語の位置を探っていく。日本語は、人類の言語の一種であり、当然、言語一般の持つ特性を持ち合わせている。日本語しか知らなければ、世界の言語の特徴を「日本語の特性」として、誤解してしまう「井の中の蛙大海を知らず」という恥ずかしい状態に陥る。それでは、人に教えるどころではないのだ。
広く、言語を知り、日本語の特徴も知る、その手掛かりになることを狙いとする。
授業中には、ペアワークや、グループ討論などを行う。すなわち、単なる受け身の知識ではなく、実践的な現場での応用力も身につけることを目指す。また、毎回、リアクションペーパーを集め、教員はそれに毎回、回答を行うことにより、双方向的なコミュニケーションを重視し、それぞれの学生の興味に応じた指導を目指す。
秋季は、狭義の文法論について、突っ込んだ紹介をする予定である。
人類の共通の財産である言語の特性を、日本語を例として、理解する。抽象的な概念的な知識としてではなく、具体的な実践的な知恵として、日本語の語彙・音韻・アクセント・文字などについて、学習者にわかりやすく、説明できる能力を身につける。
毎回、授業後に感想・質問・その他を書かせる。また、定期的に確認テストを行い、定着度を見る。2回のレポート提出を予定している。
毎回の感想30%、確認テスト20%、レポート2回合計30%、総復習テスト20%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 『入門ことばの科学』、ISBN4-469-21187-7 | 大修館書店 |
テーマごとに、調べて提出する宿題、小レポートを課す予定である
教育学部以外の学生は、日本語教員課程の登録が必要である
回 | 授業内容 |
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第1回 | 授業説明、言語の起源 |
第2回 | 人類の言語に共通の性質1 分節性、生産性、恣意性 |
第3回 | 人類の言語に共通の性質2 転位、構造性 |
第4回 | 世界の言語の家族=語族 |
第5回 | 日本語の起源に関する研究 |
第6回 | 語彙論1 ものと言葉 |
第7回 | 語彙論2 現代日本語の語彙の構造 固有語と借用語 和語、漢語 |
第8回 | 語彙論3 翻訳漢語、カタカナ語 |
第9回 | 音声学 音声を作る仕組み、母音と子音 |
第10回 | 日本語音韻論 日本語で使われている音 |
第11回 | 現代日本語のアクセント |
第12回 | 言語変化1 昔の言い方と今の言い方 |
第13回 | 言語変化2 進行中の変化 ら抜き言葉など |
第14回 | 文字論 |
第15回 | 総復習 |