入門ミクロ経済学Ⅰ
担当者
単位・開講先選択必修  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングECT-101

授業の概要(ねらい)

 ミクロ経済学は、ものをつくり (生産)、つくったものを他者とやりとりし (交換)、つかう・楽しむ (消費) 世の中での私たちの幸せについて考える学問である。生産と消費は一人でも行える一方で、交換には相手が必要である。さらに、多くの場合、「交換」には、ものとお金のやりとり(売買) がともなう。ミクロ経済学の主な対象は売買といってよい。ここで、「経済学とはお金もうけだけを考える学問だ」と考えてはならない。私たちは消費から幸せを感じる。また、消費するには誰かが生産する必要がある。したがって、生産、交換、消費のプロセスすべてを視野に入れなければならない。本科目では、売買の当事者が自らの幸せを第一に考えるときの行動の傾向を直観的、経験的に理解し、さまざまなものの価格と取引量の変化を同じ原理で説明できることを学ぶ。

授業の到達目標

 身のまわりの事象をミクロ経済学の専門用語にあてはめて考えられる。
・完全競争市場において市場参加者が価格受容者になる理由を、仮定を組み合わせて説明できる。
・「需要量」と「需要」、「供給量」と「供給」を適切につかいわけられる。
・現実の経済現象における様々な財・サービスの価格と取引量の変化を、需要曲線と供給曲線を用いて説明できる。

成績評価の方法および基準

 毎回の授業開始前にLMSを通じて提出される予習課題、毎回の授業中のグループワーク、第1回から第14回の授業終了直前に提出される確認テスト、毎回の授業終了後もっとも早い週末にLMSを通じて提出される宿題による (100パーセント)。
 成績評価に用いる素点は、LMS上で計算・表示される各テストでの得点の単純な足し算ではない。履修修正後に受講を開始するなどの理由でLMSのコース登録が遅れた履修者も、遅れを取り戻して内容を理解できれば、その後のテストの結果によっては100点をとれる。しかし、授業時間内外で毎回テストを行うこともあり、遅れれば遅れるほど挽回するには厳しい闘いとなる。履修登録忘れや他クラスでの抽選漏れにより、授業開始後に本クラスを履修する予定の未登録者はできるだけ早く担当教員に連絡せよ。対面授業の場合は次回授業、オンライン授業の場合は第2回履修登録または履修修正に先立ってLMSへのコース登録を行うことがある。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 特に指定しない。タイトルが『(入門) ミクロ経済学』などとなっている本のうち、「需要と供給」という用語が見出しや本文に登場する部分は参考になるかもしれない。たとえば、伊藤元重 (2015)、『入門経済学』第4版、日本評論社では、pp. 17-38、N・グレゴリー・マンキュー (2019)、『マンキュー入門経済学』第3版、東洋経済新報社では、pp. 5-13、pp. 99-134が対応している。詳しくは第1回授業で説明する。第1回授業で配布するハンドアウトの「コマシラバス」節で、各回の到達目標、授業の概要、参考書のリストと第何回の授業の内容がどの本の何ページに対応するかを示す。
参考文献

準備学修の内容

 毎回の授業の予習として、2時間以上をかけて、上記「コマシラバス」節を読んで次の授業で取り扱われる内容を把握し、参考書の対応部分を参照せよ。そのうえで、予習課題答案を授業開始前にLMSで提出せよ。
 毎回の授業の復習として、2時間以上をかけて、その授業で重要と思った点を中心にノートに整理し、内容を検討せよ。それをふまえて、確認テストをやりなおし、宿題答案を週末にLMSで提出せよ。さらに、参考書の演習問題を解け。
復習、特に問題演習は重要である。ノートや参考書を読むだけで問題は解かない、という勉強ではだめである。問題は解き方を読むだけでなく、ペンをもってノートに解きなおせ。問題を解けば自然にわかってくることは多い。わかっていることとわからないことを明確に区別し、理解できていない解説を紙に何回でも再現せよ。

その他履修上の注意事項

 ミクロ経済学に興味がない人が途中でくじけないように、本クラスでは内容を大幅に削減している。削った部分は「すぐに必要ではないものの今後勉強を深めていくとつかわざるを得なくなる」性質のものである。必要な内容は残してある。
 ミクロ経済学を学べば日常生活だけでは思いつかないものの見方や考え方が身につく。本クラスの履修がミクロ経済学を学ぶ最後の機会になる人も、ミクロ経済学の知識を基礎に今後の人生を楽しんでほしい。
 2021年2月1日現在では、本クラスは「原則として対面授業として開講される」ことになっている。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染状況が悪化したり、履修登録者数が多かったりするとオンラインでの開講となる。その場合には、ZoomやYouTubeライブなどを用いた同時双方向型は行わない。LMSを通じたオンデマンド型の授業を予定している。つまり、1限、3限、5限といった時限にはあまり意味はなく、所定の期間内であればいつでも、何度でも受講可能である。
 履修登録前に本クラスの授業がどのように行われるかを知りたい人もいるだろう。履修修正期間終了までの期間限定で、大学の教員紹介サイトから、LMSコース登録時点で利用可能になる動画 (Vimeo利用、今後の動向により内容等の変更の可能性あり) の一部にリンクを貼っておく。履修するか迷っている人は参考にされたい。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション
第2回 トレードオフ、機会費用、合理性、インセンティブ
第3回 価格受容者の想定と需要
第4回 需要曲線と需要の法則 (オンライン授業2021年5月1日)
第5回 需要量と需要
第6回 需要は変化したか
第7回 需要曲線のシフト
第8回 価格受容者の想定と供給
第9回 供給の法則と供給曲線
第10回 供給量と供給
第11回 供給は変化したか
第12回 供給曲線のシフト
第13回 均衡点
第14回 曲線のシフトと均衡点の変化
第15回 需要と供給で解く経済問題