入門ミクロ経済学Ⅱ
担当者
単位・開講先選択必修  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングECT-102

授業の概要(ねらい)

 他者が欲しがるものをつくって売ることで得たお金で、自分がほしいものを買ってつかえる世の中で私たちは生活している。何をどれだけつくって売るか、何をどれだけ買ってつかうかは自分で自由に決められる。全員が自分のことだけを考えて取引する世の中は果たしてよいものなのか。よいにせよ悪いにせよその善悪はどのような基準で判断できるのか。本科目では、入門ミクロ経済学Ⅰを前提として、自己の幸せ追求と豊かな社会の構築がどこまで両立するかについて学ぶ。

授業の到達目標

 身のまわりの事象をミクロ経済学の専門用語にあてはめて考えられる。
・消費者の意思決定問題を、限界支払用意と価格を比較して解き、個別需要曲線、市場需要曲線を導出できる。
・企業 (生産者) の利潤最大化問題を、価格と限界費用を比較して解き、個別供給曲線、市場供給曲線を導出できる。
・「利潤」と「正味便益」を適切につかいわけられる。
・均衡点では総余剰が最大になることを数値例で説明できる。

成績評価の方法および基準

 毎回の授業開始前にLMSを通じて提出される予習課題、毎回の授業中のグループワーク、第1回から第14回の授業終了直前に提出される確認テスト、毎回の授業終了後もっとも早い週末にLMSを通じて提出される宿題による (100パーセント)。
 成績評価に用いる素点は、LMS上で計算・表示される各テストでの得点の単純な足し算ではない。履修修正後に受講を開始するなどの理由でLMSのコース登録が遅れた履修者も、遅れを取り戻して内容を理解できれば、その後のテストの結果によっては100点をとれる。しかし、授業時間内外で毎回テストを行うこともあり、遅れれば遅れるほど挽回するには厳しい闘いとなる。履修登録忘れや他クラスでの抽選漏れにより、授業開始後に本クラスを履修する予定の未登録者はできるだけ早く担当教員に連絡せよ。対面授業の場合は次回授業、オンライン授業の場合は第2回履修登録または履修修正に先立ってLMSへのコース登録を行うことがある。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 特に指定しない。タイトルが『(入門) ミクロ経済学』などとなっている本のうち、「消費者 (需要) 行動」「生産者 (供給) 行動」「限界支払用意 (限界支払許容額、限界効用、限界評価etc.)」「限界費用」「消費者余剰」「生産者余剰」「総余剰」「資源配分」「均衡点 (市場均衡、競争均衡、価格均衡etc.)」という用語が見出しや本文に登場する部分は参考になるかもしれない。たとえば、伊藤元重 (2015)、『入門経済学』第4版、日本評論社では、pp. 53-103、N・グレゴリー・マンキュー (2019)、『マンキュー入門経済学』第3版、東洋経済新報社では、pp. 182-210が対応している。詳しくは第1回授業で説明する。第1回授業で配布するハンドアウトの「コマシラバス」節で、各回の到達目標、授業の概要、参考書のリストと第何回の授業の内容がどの本の何ページに対応するかを示す。
参考文献

準備学修の内容

 毎回の授業の予習として、2時間以上をかけて、上記「コマシラバス」節を読んで次の授業で取り扱われる内容を把握し、参考書の対応部分を参照せよ。そのうえで、予習課題答案を授業開始前にLMSで提出せよ。
 毎回の授業の復習として、2時間以上をかけて、その授業で重要と思った点を中心にノートに整理し、内容を検討せよ。それをふまえて、確認テストをやりなおし、宿題答案を週末にLMSで提出せよ。さらに、参考書の演習問題を解け。
復習、特に問題演習は重要である。ノートや参考書を読むだけで問題は解かない、という勉強ではだめである。問題は解き方を読むだけでなく、ペンをもってノートに解きなおせ。問題を解けば自然にわかってくることは多い。わかっていることとわからないことを明確に区別し、理解できていない解説を紙に何回でも再現せよ。

その他履修上の注意事項

 入門ミクロ経済学Ⅰと同様、内容を大幅に削減している。しかし、内容量は入門ミクロ経済学Ⅱの方が多い。「限界」という発想に慣れるのに時間がかかり、生産技術の性質から供給曲線を導出するまでのステップが多いからである。それらを省略すると雑な説明になり、「市場経済は私たちにとってよいものか」との問いに答えられなくなる。授業担当者としては、後者にはぜひとも答えたい。できるだけ厳密な議論、正確な説明を行いたい事情もあり、わかりやすさ、やさしさを犠牲にしている感はある。そうはいっても、「どんなに勉強してもちんぷんかんぷん」にはならない (ようにしたい)。難解なものの、できればその難しさを楽しみながら、最後まで受講してほしい。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション
第2回 限界支払用意
第3回 正味便益と個別需要曲線
第4回 市場需要曲線
第5回 消費者余剰
第6回 生産と費用
第7回 供給量の決定 (オンライン授業2021年10月30日)
第8回 個別供給曲線と正味便益
第9回 市場供給曲線
第10回 生産者余剰
第11回 正味便益と利潤
第12回 均衡点と総余剰
第13回 価格とは何か
第14回 均衡点における総余剰最大化
第15回 さまざまな資源配分と総余剰最大化の意義