刑法各論Ⅰ
担当者久保田 隆教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [政治学科]
科目ナンバリングCRL-203

授業の概要(ねらい)

 本講義では、殺人罪や窃盗罪、放火罪といった個別の犯罪類型の成立要件や、それらの犯罪の相互関係について学びます。春期の「刑法各論Ⅰ」では、主に、個人的法益に対する罪(財産犯を除く)、および、国家的法益に対する罪を扱います。

授業の到達目標

①刑法各論の全体像を把握し、各犯罪類型を正確に位置づけることができる。
②各犯罪の成立要件と典型事例を学び、問題となる行為が何罪に当たるのかを理由とともに説明できる。
③各犯罪の区別に関する判例・学説を学び、限界事例を適切に処理できる。
④①〜③を踏まえたうえで、特に時事問題の検討を通じて、社会を見る眼を養う。

成績評価の方法および基準

【対面授業の場合】学期末試験(95%)および授業への貢献度(5%)によって評価します(授業への貢献度については、出席状況や授業態度、担当教員からの質問への応答などをもとに判断します)。
【オンライン授業の場合】学期末レポート(70%)およびリアクションペーパー(30%)によって評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『刑法各論〔第3版〕【新・論点講義シリーズ2】』井田良=佐藤拓磨弘文堂
教科書『刑法各論判例50!』十河太朗=豊田兼彦=松尾誠紀=森永真綱有斐閣
参考文献『入門刑法学・各論〔第2版〕』井田良有斐閣
参考文献『講義刑法学・各論〔第2版〕』井田良有斐閣
参考文献『刑法Ⅱ 各論』亀井源太郎=小池信太郎=佐藤拓磨=薮中悠=和田俊憲日本評論社
参考文献『刑法各論〔第7版〕』西田典之=橋爪隆〔補訂〕弘文堂
参考文献『判例プラクティス刑法Ⅱ 各論』成瀬幸典=安田拓人=島田聡一郎〔編〕信山社
参考文献『刑法判例百選Ⅱ〔第8版〕』佐伯仁志=橋爪隆〔編〕有斐閣

準備学修の内容

 毎回、授業の最後に翌週の授業の内容を予告しますので、上記「教科書」(『刑法各論〔第3版〕【新・論点講義シリーズ2】』)の該当箇所を読んで予習してきてください。
 さらに、授業後には、わからなかった点やもっと深く知りたいと思った点について、上記参考文献を使って復習するようにしてください。また、授業中に登場した重要な判例については、上記「教科書」(『刑法各論判例50!』)をはじめとする判例教材(「参考文献」掲載のものも含む)の該当箇所に目を通すと、より理解を深めることができます。

その他履修上の注意事項

・「刑法総論I・Ⅱ」をすでに履修済み、または、並行して履修していることが望ましいです。
・授業では、毎回レジュメを配布します。
・六法を毎回必ず(!)持参してください(小型のもので構いません)。
・質問や相談は、授業後の休み時間に受け付けます(オンライン授業の場合は、リアクションペーパーに記載してください)。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション 刑法各論の全体像|春期の内容の概観|基本概念(保護法益など)
第2回生命・身体に対する罪① 概説|殺人罪|「人」の意義(堕胎罪|臓器移植法)
第3回生命・身体に対する罪② 自殺関与罪・同意殺人罪|殺人罪との区別
第4回生命・身体に対する罪③ 概説|暴行罪と傷害罪|傷害致死罪
第5回生命・身体に対する罪④ 過失致死傷罪|自動車運転死傷行為処罰法(「あおり運転」問題を含む)
第6回生命・身体に対する罪⑤ 生命・身体に対する危険犯(遺棄罪)|安楽死・尊厳死|生命・身体に対する罪の総括
第7回自由に対する罪① 概説|脅迫罪|強要罪|逮捕・監禁罪
第8回自由に対する罪② 略取・誘拐罪|人身売買の罪
第9回自由に対する罪③ 強制わいせつ罪|強制性交等罪(近時の法改正をめぐる動向を含む)
第10回自由に対する罪④ 住居侵入罪
第11回人格的法益に対する罪 信書開封罪|秘密漏示罪|名誉毀損罪|侮辱罪(SNSにおける誹謗中傷問題を含む)
第12回信用・業務に対する罪 信用毀損罪|業務妨害罪
第13回国家的法益に対する罪① 概説|国家の作用に対する罪(公務執行妨害罪|司法作用に対する罪)
第14回国家的法益に対する罪② 国家の作用に対する罪(汚職の罪)|国家の存立に対する罪(内乱罪|外患に関する罪|国交に関する罪)
第15回【対面授業の場合】春期のまとめと期末試験/【オンライン授業の場合】期末レポートの講評